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くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

機械仕掛けの青い鳥(21)

2019-04-21 20:32:46 | 「機械仕掛けの青い鳥」
「それにしても、どうなっちまってるんだ、まったく」と、ニンジンは苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「あの青い鳥だよ」と、ソラは言った。
「できれば、信じたくないけどな」と、ニンジンがうなずいて言った。
「間違いないよ。魔女が探しているほどの鳥だから、なにか秘密があるんだろうとは思ったけどさ、こんな妙な力を持ってたなんて、考えもしなかったよ――」ソラは、大きくなった自分の姿を、まじまじと見ながら言った。「それよりニンジンは、ぜんぜん知らなかったの?」
「知ってるわけがない」と、ニンジンは首を振った。「でも考えてみりゃ、もしもあらかじめ依頼人から話を聞いていたとしても、鼻で笑って相づちを打つだけで、そんな話はまじめに聞こうともしなかったろうな」
 ソラ達が、こくりとうなずいた。
「それに、おまえの言うとおりさ」と、ニンジンは二人に耳打ちをするように言った。「おばちゃんが謎をかけるように言ってたんだが、生き物の中には、危険が迫ると、風を切るように早足で逃げたり、砂の中に潜って隠れたりするやつがいるように、身の危険を感じると、体を透明にしたり、時間を飛び越えたりする生き物がいたとしても、おかしくだろうってね」
「――おばちゃんって、魔女のこと」と、ソラが言った。
「そうさ。おまえ達は気味悪がって、魔女とか言ってるんだろ」と、ニンジンが言った。「あんまり子供は好きじゃないみたいだから、悪く思われるのも仕方がないんだろうけど、シルビアさんはああ見えて、いい人だよ」
「ふーん」と、二人は関心がなさそうに首をかしげた。
「ウミが拾ってきたあの鳥が、もしかしたら、そんな変な力を持ってるって事なの」と、ソラが言った。
「だろうな。人知れず研究されてたってくらいだから、その可能性がないとは言い切れないな……」
「じゃあこの体も、青い鳥が自分を守るために、ぼく達に呪いとか、魔法とかをかけたってこと?」と、ソラが困ったように言った。
「どうかな――」と、ニンジンは腕組みをして言った。「人に幻覚を見せるガスを発するとかっていう方が、なんか現実味があるけどな」
「ひょっとしたらわたし達、ずっとこのままの姿でいなきゃいけないの――」と、ウミが声を震わせた。
「しっ」と、ソラがウミに小声で言った。「おまわりさんに見つかっちゃうかもしれないよ」
 ウミは、ぎゅっと唇を噛んだ。
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