5
「さようなら!」
ソラとウミは、やさしかった牧師にお別れを言うと、深々とお辞儀をして部屋を出た。
二人は、シェリルとの待ち合わせ場所に向かって、急いで階段を降りていった。
「踏みはずさないように気をつけて」ソラはウミに声をかけると、スタン――と、最後の段を飛び越え、両足をそろえて硬い舗装道路に着地した。
シェリルの乗っている車が、少し離れたところに見えた。
「ウミ、もう車が来てるよ」と、ソラはウミを待たず、急ぎ足で歩き始めた。
「ちょっと待って、お兄ちゃん――」と、ウミは先に歩き出したソラに向かって、怒ったように言った。
「大丈夫、急がなくったって平気さ」ソラは、にっこりと笑顔を浮かべて振り返った。
しかし、前に向き直ったとたん、ソラは「えっ」と急に言葉を途切らせ、ゆらゆらと足を止めた。
ブロロロロロォォォン――と、急発進する車の排気音が轟いた。
「えっ」と、ソラを追い越して立ち止まったウミが、口を半開きにして振り返った。
「あれって、シェリルさん、だよね……」
「……」
ソラは、小さくなっていく車に目を向けたまま、力なくうなずいた。
「どうしたんだろう」と、独り言のようにつぶやくソラの袖を、ウミがあわてたように引っ張った。
「ねっ、お兄ちゃん、あれ、あれ見て――」
遠く離れていった車を気にしながら、ソラがどこか上の空でウミを見ると、ウミは人差し指をピンと立て、なにもない宙を突き刺すように何度も指をさしていた。
ハッと目を見開いたソラは、息を飲みながら急いで顔を上げた。
「青い鳥だ!」
「――早く、お兄ちゃん」
ウミはソラの手を引くと、青い鳥の後を一目散に追いかけて行った。
「ちょっ、ウミ、そんなに強く引っ張るなって」
青い鳥は、二人を先導するようにゆったりと、心地よさそうに風に乗り、道路に沿って建ち並ぶ住宅の間を、行きつ戻りつ縫うようにして飛んで行った。
「待って、ねぇ、待ってー」
ウミは、ソラと並んで走りながら、青い鳥に向かって、大きな声で叫んだ。
つないでいた手を離し、歯を食いしばったソラは、「待てー」と、大きな声を上げながら、腕を力一杯振って走り、グイグイと青い鳥の真下に迫っていった。
「さようなら!」
ソラとウミは、やさしかった牧師にお別れを言うと、深々とお辞儀をして部屋を出た。
二人は、シェリルとの待ち合わせ場所に向かって、急いで階段を降りていった。
「踏みはずさないように気をつけて」ソラはウミに声をかけると、スタン――と、最後の段を飛び越え、両足をそろえて硬い舗装道路に着地した。
シェリルの乗っている車が、少し離れたところに見えた。
「ウミ、もう車が来てるよ」と、ソラはウミを待たず、急ぎ足で歩き始めた。
「ちょっと待って、お兄ちゃん――」と、ウミは先に歩き出したソラに向かって、怒ったように言った。
「大丈夫、急がなくったって平気さ」ソラは、にっこりと笑顔を浮かべて振り返った。
しかし、前に向き直ったとたん、ソラは「えっ」と急に言葉を途切らせ、ゆらゆらと足を止めた。
ブロロロロロォォォン――と、急発進する車の排気音が轟いた。
「えっ」と、ソラを追い越して立ち止まったウミが、口を半開きにして振り返った。
「あれって、シェリルさん、だよね……」
「……」
ソラは、小さくなっていく車に目を向けたまま、力なくうなずいた。
「どうしたんだろう」と、独り言のようにつぶやくソラの袖を、ウミがあわてたように引っ張った。
「ねっ、お兄ちゃん、あれ、あれ見て――」
遠く離れていった車を気にしながら、ソラがどこか上の空でウミを見ると、ウミは人差し指をピンと立て、なにもない宙を突き刺すように何度も指をさしていた。
ハッと目を見開いたソラは、息を飲みながら急いで顔を上げた。
「青い鳥だ!」
「――早く、お兄ちゃん」
ウミはソラの手を引くと、青い鳥の後を一目散に追いかけて行った。
「ちょっ、ウミ、そんなに強く引っ張るなって」
青い鳥は、二人を先導するようにゆったりと、心地よさそうに風に乗り、道路に沿って建ち並ぶ住宅の間を、行きつ戻りつ縫うようにして飛んで行った。
「待って、ねぇ、待ってー」
ウミは、ソラと並んで走りながら、青い鳥に向かって、大きな声で叫んだ。
つないでいた手を離し、歯を食いしばったソラは、「待てー」と、大きな声を上げながら、腕を力一杯振って走り、グイグイと青い鳥の真下に迫っていった。