「いつの間に潜りこんだか知らないが、この機体はもう、おまえのふる里には、帰らないんだぜ」少尉は、遠くに目を向けながら、笑みを浮かべた。「迫り来る敵艦に、身をもって攻撃をかける。この機体は今、そのために洋上を飛んでいるのさ」
チチッ、チチッ――と、青い鳥が返事をしたような気がして、外に目を向けていた少尉は、青い鳥に目を落として言った。
「そうか、おまえ、知っていたんだな。国のみんなを自分も守りたくて、俺と一緒に飛んでくれたんだろ?」
フフッ……。少尉は小さく笑うと、キリッとした目を前に向け、操縦桿を握る手に力をこめた。
「おーい、ここだよ、ここだってば!」
狭い隙間を抜けたソラとウミが、操縦席の横に立ち、少尉を見上げていた。二人は、目の高さにある座席に両手を掛け、うんと踵を上げて背伸びをしながら、競うように大きな声を出していた。自分達の体が小さくなっている事に気づいた二人は、そのことをなんとか少尉に知らせて、助けてもらおうとしていた。
「――ねぇ、違うってば、ぼく達だよ」と、ソラは地団駄を踏むように飛び跳ねながら、声を張り上げて言った。「その鳥が話してるんじゃない、ぼく達だってば、聞こえないの」
二人が見上げる少尉は、口元に笑みを浮かべたまま、黙って操縦桿を操作しているばかりだった。
「だめだ、もう喉がガラガラで、声が出ないよ」その場にしゃがみこんだソラが、床に手をつき、ゲホッゲホッと、苦しそうに咳をしながら言った。
「お兄ちゃん、もしかして私達、パイロットから見えていないのかもしれない」と、少尉を見上げたウミが、思いついたように言った。
「そうかもしれない。こんなに小さな体じゃ、まるで目立たないもの」と、ソラはあきらめたように言った。
「違うよ。それだけじゃなくって、私達、本当に見えないのかもしれない」
ソラが、ウミを見ながら言った。
「それって、どういうことさ――」
「パイロットが振り返った時、私じゃなくって、大きくなった青い鳥を見ていたんだもの」と、ウミは自信ありげに言った。「間違いないよ。元の大きさに戻ったから、青い鳥は見えるようになったけど、小さいままの私達は、パイロットの目に見えないんだよ」
「でも、体が見えなくったって、声ぐらいは聞こえそうなもんじゃないか」ソラは、不満そうに言った。
ウミは、怒ったような顔をしているソラを見ると、遠慮をするように目を伏せながら言った。
チチッ、チチッ――と、青い鳥が返事をしたような気がして、外に目を向けていた少尉は、青い鳥に目を落として言った。
「そうか、おまえ、知っていたんだな。国のみんなを自分も守りたくて、俺と一緒に飛んでくれたんだろ?」
フフッ……。少尉は小さく笑うと、キリッとした目を前に向け、操縦桿を握る手に力をこめた。
「おーい、ここだよ、ここだってば!」
狭い隙間を抜けたソラとウミが、操縦席の横に立ち、少尉を見上げていた。二人は、目の高さにある座席に両手を掛け、うんと踵を上げて背伸びをしながら、競うように大きな声を出していた。自分達の体が小さくなっている事に気づいた二人は、そのことをなんとか少尉に知らせて、助けてもらおうとしていた。
「――ねぇ、違うってば、ぼく達だよ」と、ソラは地団駄を踏むように飛び跳ねながら、声を張り上げて言った。「その鳥が話してるんじゃない、ぼく達だってば、聞こえないの」
二人が見上げる少尉は、口元に笑みを浮かべたまま、黙って操縦桿を操作しているばかりだった。
「だめだ、もう喉がガラガラで、声が出ないよ」その場にしゃがみこんだソラが、床に手をつき、ゲホッゲホッと、苦しそうに咳をしながら言った。
「お兄ちゃん、もしかして私達、パイロットから見えていないのかもしれない」と、少尉を見上げたウミが、思いついたように言った。
「そうかもしれない。こんなに小さな体じゃ、まるで目立たないもの」と、ソラはあきらめたように言った。
「違うよ。それだけじゃなくって、私達、本当に見えないのかもしれない」
ソラが、ウミを見ながら言った。
「それって、どういうことさ――」
「パイロットが振り返った時、私じゃなくって、大きくなった青い鳥を見ていたんだもの」と、ウミは自信ありげに言った。「間違いないよ。元の大きさに戻ったから、青い鳥は見えるようになったけど、小さいままの私達は、パイロットの目に見えないんだよ」
「でも、体が見えなくったって、声ぐらいは聞こえそうなもんじゃないか」ソラは、不満そうに言った。
ウミは、怒ったような顔をしているソラを見ると、遠慮をするように目を伏せながら言った。