「その辺にしておかないと、焼き鳥にして食べちまうよ!」
と、シルビアが言うのを聞いたとたん、それまでじっと様子をうかがっていた鳥たちが、一斉に声を合わせて鳴き始めた。
青い鳥そっくりな鳥に混じって、木から木へ、小鳥達がシルビアを中心に飛び交いはじめた。
「こら、おまえ達、いい加減におしったら――」
シルビアの言うことを聞く鳥は、一羽もいなかった。口々に鋭い鳴き声を上げる鳥達は、黒々と渦を巻く塊になって、大きくうねりながら空を舞っていた。
「今度こそうまく行くと思ったんだけどね――まったく、これで全部おしまいだよ……」と、ため息混じりに言ったシルビアの頭上で、
バツン―― 。
と、布が裂ける音が聞こえた。見ると、竜巻にも似た大きな群れを作った小鳥達が、空高く、青空の絵が描かれた布の縫い目にぶら下がり、足下の縫い糸を何度もつついて断ち切っていた。
ブチブチッと、音を立てて広がっていく裂け目へ、鳥達が次から次へと飲みこまれていった。
ゴ、ゴ、ゴ、ゴゴウ、ゴ、ゴ……。
強い風が、うなりを上げながら吹き始めた。
「くっそー。あたしゃあきらめないよ――」
くやしそうなシルビアの声だけが、風に乗ってどこからか聞こえてきた。
――――……
チチッ、チチッ……と、青い鳥が顔を上げて鳴きながら、興奮したように羽ばたいた。
頭上で舞い飛ぶ小鳥達に気がついたソラは、網を振るっていた手を止め、宙を見上げてつぶやいた。
「どうしちゃったんだろう……」
「自分達の住みかに帰ろう、こんな檻から抜け出そう。――みんな、そう言ってるの」と、マーガレットが独り言のように言った。
「鳥の言葉が、わかるの?」ウミが聞くと、マーガレットは黙ってうなずいた。
「さぁ、ウミちゃん達も早く、青い鳥についていって」
マーガレットが顔を上げると、青い鳥が三人の真上で、小さく弧を描きながら飛んでいた。
と、シルビアが言うのを聞いたとたん、それまでじっと様子をうかがっていた鳥たちが、一斉に声を合わせて鳴き始めた。
青い鳥そっくりな鳥に混じって、木から木へ、小鳥達がシルビアを中心に飛び交いはじめた。
「こら、おまえ達、いい加減におしったら――」
シルビアの言うことを聞く鳥は、一羽もいなかった。口々に鋭い鳴き声を上げる鳥達は、黒々と渦を巻く塊になって、大きくうねりながら空を舞っていた。
「今度こそうまく行くと思ったんだけどね――まったく、これで全部おしまいだよ……」と、ため息混じりに言ったシルビアの頭上で、
バツン―― 。
と、布が裂ける音が聞こえた。見ると、竜巻にも似た大きな群れを作った小鳥達が、空高く、青空の絵が描かれた布の縫い目にぶら下がり、足下の縫い糸を何度もつついて断ち切っていた。
ブチブチッと、音を立てて広がっていく裂け目へ、鳥達が次から次へと飲みこまれていった。
ゴ、ゴ、ゴ、ゴゴウ、ゴ、ゴ……。
強い風が、うなりを上げながら吹き始めた。
「くっそー。あたしゃあきらめないよ――」
くやしそうなシルビアの声だけが、風に乗ってどこからか聞こえてきた。
――――……
チチッ、チチッ……と、青い鳥が顔を上げて鳴きながら、興奮したように羽ばたいた。
頭上で舞い飛ぶ小鳥達に気がついたソラは、網を振るっていた手を止め、宙を見上げてつぶやいた。
「どうしちゃったんだろう……」
「自分達の住みかに帰ろう、こんな檻から抜け出そう。――みんな、そう言ってるの」と、マーガレットが独り言のように言った。
「鳥の言葉が、わかるの?」ウミが聞くと、マーガレットは黙ってうなずいた。
「さぁ、ウミちゃん達も早く、青い鳥についていって」
マーガレットが顔を上げると、青い鳥が三人の真上で、小さく弧を描きながら飛んでいた。