「持ってきたスナック菓子、まだ余ってなかったっけ」あぐらをかいて肘をつき、頬杖を突きながらぼんやりと火を見ていたソラが、力なく言った。
ううん――と、ウミは首を振った。
「缶詰、ウミのリュックに入ってなかったっけ」
「ごめんなさい。缶切り、持ってこなかった……」
「――いいさ、ウミの分までお菓子食べたから、ぜんぜんお腹減ってないんだ」と、ソラのお腹が、パチパチと火のはぜる音をかき消すほど、グッグググッ……と大きく鳴った。
「あれれ……」ソラは、ぴんと体を起こすと、はずかしそうにお腹をさすった。「おかしいな、お腹いっぱいのはずなのに」
ウミは膝に顔を隠すと、シクシクと鼻をすすり始めた。ソラは、ぎゅっと唇をかみしめたまま、黙ってたき火の炎を見ていた。
ザク、ザク、ザック――……。
「――んっ」と、足音に気がついたソラが、暗い森の中に目を走らせた。
「誰? 足音……」ウミが鼻をすすりながら顔を上げると、ソラが唇の前に人差し指を立て、”静かに”と合図を送った。
ザクザクザック――と、下草を踏む足音が近づいてきた。
「あっ――」ソラとウミは、森の中にユラユラと光る明かりを見つけると、同時に小さな声を上げた。
どちらからともなく、二人は体を屈めながら、そっと火のそばを離れ、すぐ後ろに立っている木の幹の陰に隠れると、ゆらゆらと近づいてくる灯りの行方を、息をひそめながらじっと目で追っていた。
「こんばんは……」
ユラユラと炎が灯る古ぼけたランタンを手にして、暗闇の中から、心細そうな顔をしたマーガレットが、姿を現した。
「――あの子」と、ソラは思わずつぶやいた。
「誰なの?」と、ウミはソラの顔を見た。しかし、ソラが答えるより早く、ウミは木の陰から飛び出していた。
「こんばんは、どうかしたの……」
マーガレットは、ウミの姿を認めると、にっこりと微笑んだ。
「ううん。明かりが見えたから、誰かいるのかなと思って」
「あなた、どこから来たの?」ウミは、マーガレットの手を引き、たき火のそばに案内しながら言った。
ううん――と、ウミは首を振った。
「缶詰、ウミのリュックに入ってなかったっけ」
「ごめんなさい。缶切り、持ってこなかった……」
「――いいさ、ウミの分までお菓子食べたから、ぜんぜんお腹減ってないんだ」と、ソラのお腹が、パチパチと火のはぜる音をかき消すほど、グッグググッ……と大きく鳴った。
「あれれ……」ソラは、ぴんと体を起こすと、はずかしそうにお腹をさすった。「おかしいな、お腹いっぱいのはずなのに」
ウミは膝に顔を隠すと、シクシクと鼻をすすり始めた。ソラは、ぎゅっと唇をかみしめたまま、黙ってたき火の炎を見ていた。
ザク、ザク、ザック――……。
「――んっ」と、足音に気がついたソラが、暗い森の中に目を走らせた。
「誰? 足音……」ウミが鼻をすすりながら顔を上げると、ソラが唇の前に人差し指を立て、”静かに”と合図を送った。
ザクザクザック――と、下草を踏む足音が近づいてきた。
「あっ――」ソラとウミは、森の中にユラユラと光る明かりを見つけると、同時に小さな声を上げた。
どちらからともなく、二人は体を屈めながら、そっと火のそばを離れ、すぐ後ろに立っている木の幹の陰に隠れると、ゆらゆらと近づいてくる灯りの行方を、息をひそめながらじっと目で追っていた。
「こんばんは……」
ユラユラと炎が灯る古ぼけたランタンを手にして、暗闇の中から、心細そうな顔をしたマーガレットが、姿を現した。
「――あの子」と、ソラは思わずつぶやいた。
「誰なの?」と、ウミはソラの顔を見た。しかし、ソラが答えるより早く、ウミは木の陰から飛び出していた。
「こんばんは、どうかしたの……」
マーガレットは、ウミの姿を認めると、にっこりと微笑んだ。
「ううん。明かりが見えたから、誰かいるのかなと思って」
「あなた、どこから来たの?」ウミは、マーガレットの手を引き、たき火のそばに案内しながら言った。