6
ソラとウミは、ゴウゴウと耳元に吹きつける風の音で目を覚ました。
「まぶしい……」
顔を上げたソラが、目を射るように刺す光を手でさえぎった。
「お兄ちゃん、ここどこ?」
と、ウミが目を擦りながら言った。
チチッ、チチッ――。
「えっ」
と、ソラは鳥の鳴き声に気がつき、キョロキョロと辺りを見回した。
二人がいるのは、どこか狭い倉庫の中か、薄暗い工場の中のようだった。青い空をどこまでも見渡せるアーチ型のドームが、屋根の代わりに高い天井を覆っていた。機械オイルのようなツンと鼻を刺すにおいが、冷たい空気に混じって漂っていた。
「――お兄ちゃん、見て、青い鳥」
ソラが振り返ると、膝を折って腰を下ろしたウミが、胸に青い鳥を抱いていた。
「えっ、どこにいたの?」ソラが聞くと、ウミは足下の床を振り返りながら言った。
「すぐ後ろの床にうずくまっていたの。とっても、具合が悪そう……」
青い鳥は、うつろな目を開けたり閉じたりしていた。森の中を元気に飛んでいたさっきまでの姿が、まるで嘘のようだった。翼も傷ついているのか、ウミがそっとなでてやると、痛そうにチチッ、チチッ――と、小さく声を上げて嫌がった。
「ここ、どこ……」と、ウミが不安そうに言った。
「ちょっと待って」ソラは言うと、立ち上がってドームを見上げた。天井までは、下から見上げる限り、ビルの3階ほどの高さがあった。
「どこか、登っていけるところって、ないかな……」
ソラは、ところどころ鉄骨がつきだした硬い壁に近づいていった。
と、「うわわっ――」
床が、ぐぐんと大きく傾いた。
「――キャッ」
ウミが青い鳥を抱いたまま、滑るように床を動き、どしんと音を立てて壁に背中をぶつけた。
バランスを崩したソラは、両腕を振りながら前によろめき、後ろに反り戻って、また前によろめき、横に滑って倒れ、ゴツンと大きなこぶができるほど、硬い壁に頭をぶつけてしまった。
「イタタタタ……」
顔をしかめたソラは、こぶのできた頭を押さえながら体を起こすと、壁に手をついて立ち上がった。
「……ウミ、大丈夫?」
「うん、なんともないよ――」青い鳥を抱えたウミは、壁に背中をあずけたまま、力のない笑顔を浮かべ、やせ我慢をするようにうなずいた。
ソラとウミは、ゴウゴウと耳元に吹きつける風の音で目を覚ました。
「まぶしい……」
顔を上げたソラが、目を射るように刺す光を手でさえぎった。
「お兄ちゃん、ここどこ?」
と、ウミが目を擦りながら言った。
チチッ、チチッ――。
「えっ」
と、ソラは鳥の鳴き声に気がつき、キョロキョロと辺りを見回した。
二人がいるのは、どこか狭い倉庫の中か、薄暗い工場の中のようだった。青い空をどこまでも見渡せるアーチ型のドームが、屋根の代わりに高い天井を覆っていた。機械オイルのようなツンと鼻を刺すにおいが、冷たい空気に混じって漂っていた。
「――お兄ちゃん、見て、青い鳥」
ソラが振り返ると、膝を折って腰を下ろしたウミが、胸に青い鳥を抱いていた。
「えっ、どこにいたの?」ソラが聞くと、ウミは足下の床を振り返りながら言った。
「すぐ後ろの床にうずくまっていたの。とっても、具合が悪そう……」
青い鳥は、うつろな目を開けたり閉じたりしていた。森の中を元気に飛んでいたさっきまでの姿が、まるで嘘のようだった。翼も傷ついているのか、ウミがそっとなでてやると、痛そうにチチッ、チチッ――と、小さく声を上げて嫌がった。
「ここ、どこ……」と、ウミが不安そうに言った。
「ちょっと待って」ソラは言うと、立ち上がってドームを見上げた。天井までは、下から見上げる限り、ビルの3階ほどの高さがあった。
「どこか、登っていけるところって、ないかな……」
ソラは、ところどころ鉄骨がつきだした硬い壁に近づいていった。
と、「うわわっ――」
床が、ぐぐんと大きく傾いた。
「――キャッ」
ウミが青い鳥を抱いたまま、滑るように床を動き、どしんと音を立てて壁に背中をぶつけた。
バランスを崩したソラは、両腕を振りながら前によろめき、後ろに反り戻って、また前によろめき、横に滑って倒れ、ゴツンと大きなこぶができるほど、硬い壁に頭をぶつけてしまった。
「イタタタタ……」
顔をしかめたソラは、こぶのできた頭を押さえながら体を起こすと、壁に手をついて立ち上がった。
「……ウミ、大丈夫?」
「うん、なんともないよ――」青い鳥を抱えたウミは、壁に背中をあずけたまま、力のない笑顔を浮かべ、やせ我慢をするようにうなずいた。