シルビアは、マーガレット達の事で頭がいっぱいで、どこといって変わったところもない鳥の声には、気がつきもしなかった。
「それにしても頑固な鳥だね。マーガレットの手をわずらわせないで、さっさと家の中に入っちまえばいいんだよ」
チチッ、チチッ……と、かわいらしい鳥の鳴き声が、また聞こえた。
「私が出なきゃ、らちがあかないかねぇ。このまま本物の青い鳥が出てきてしまったら、こんがらがってまた逃がしちまうよ」
チチッ、チチチッ……。
「うるさいね、腹が減ったんなら、そこいら辺になにかあるだろうさ――」
双眼鏡をのぞいていたシルビアは、怒ったように言うと、はたと動きを止めた。
「……冗談じゃないよ」
と、シルビアは独り言のように言いながら、ゆっくりと双眼鏡から目を離し、小鳥の声が聞こえた方に顔を向けた。
「おまえ!」
と、驚いた鳥が、思わず逃げるように羽ばたいてしまうほど、目を見開いたシルビアが、大きな声を上げた。
「じゃああっちが、本物なのかい――」
小屋の中で鳴いていたのは、青い鳥そっくりにペイントされた鳥だった。一度はシルビアに腹を立てて森の中に逃げ出したものの、食べ物がなにもなく、腹をすかせて戻ってきたのだった。
「こうしちゃいらんないよ」シルビアは言うと、双眼鏡を放り投げて小屋を飛び出し、目にもとまらぬ早さで、木に掛けられていた梯子を下りていった。
チチッ――。
シルビアの後から、同じように小屋を飛び出した鳥は、するすると梯子を下りていくシルビアに近づくと、抗議をするように鋭く鳴いた。
「なんだいうるさいねぇ、おまえに構ってるヒマなんてないんだよ」
青い鳥にそっくりな鳥は、小さな目に怒りの色を浮かべ、シルビアの頭上を何度もかすめるように行き来した。
「危ないってば、なにするんだい。コノ、コノ……」
片手にゲンコツを作ったシルビアが、邪魔をする鳥をぶとうとしていると、その様子を見ていた森の鳥達が、一羽二羽と周りの木に集まりはじめ、声をひそめて互いに囁き合った。
「それにしても頑固な鳥だね。マーガレットの手をわずらわせないで、さっさと家の中に入っちまえばいいんだよ」
チチッ、チチッ……と、かわいらしい鳥の鳴き声が、また聞こえた。
「私が出なきゃ、らちがあかないかねぇ。このまま本物の青い鳥が出てきてしまったら、こんがらがってまた逃がしちまうよ」
チチッ、チチチッ……。
「うるさいね、腹が減ったんなら、そこいら辺になにかあるだろうさ――」
双眼鏡をのぞいていたシルビアは、怒ったように言うと、はたと動きを止めた。
「……冗談じゃないよ」
と、シルビアは独り言のように言いながら、ゆっくりと双眼鏡から目を離し、小鳥の声が聞こえた方に顔を向けた。
「おまえ!」
と、驚いた鳥が、思わず逃げるように羽ばたいてしまうほど、目を見開いたシルビアが、大きな声を上げた。
「じゃああっちが、本物なのかい――」
小屋の中で鳴いていたのは、青い鳥そっくりにペイントされた鳥だった。一度はシルビアに腹を立てて森の中に逃げ出したものの、食べ物がなにもなく、腹をすかせて戻ってきたのだった。
「こうしちゃいらんないよ」シルビアは言うと、双眼鏡を放り投げて小屋を飛び出し、目にもとまらぬ早さで、木に掛けられていた梯子を下りていった。
チチッ――。
シルビアの後から、同じように小屋を飛び出した鳥は、するすると梯子を下りていくシルビアに近づくと、抗議をするように鋭く鳴いた。
「なんだいうるさいねぇ、おまえに構ってるヒマなんてないんだよ」
青い鳥にそっくりな鳥は、小さな目に怒りの色を浮かべ、シルビアの頭上を何度もかすめるように行き来した。
「危ないってば、なにするんだい。コノ、コノ……」
片手にゲンコツを作ったシルビアが、邪魔をする鳥をぶとうとしていると、その様子を見ていた森の鳥達が、一羽二羽と周りの木に集まりはじめ、声をひそめて互いに囁き合った。