「姉も師範の資格を持っていたのですが、勝野さんは何年教えていらっしゃるのですか」
「丁度3年になりました、まだ新米なんです」
「お弟子さんは何人位いらっしゃるの」
「60名を越えたところです」
「3年でその人数は悪くないわ、ねえ、健吾さん」
「ええ、その他に会場や会社の飾りつけの依頼も結構多いんですよ」
弥生は大人達の会話を聞き流しながら、勝野親子を観察していた。
千恵子は想像していたよりも地味で控えめな感じがして、母に似ていなくもない。
慎一はというと、端に座って場違いの所にいる様な格好で本を読んでいる。根暗なのかな、何の本だろうと見ようとしたが、見えなかった。
「弥生さんは、なにかクラブ活動をなさっているのですか」
千恵子が聞いてきた。
「いまはバレーボールをやっています」
「スポーツが好きなんですね、うちの慎一は本ばかり読んでいて、もう少し活動的だとよいのですけど」
「でも読書はいいね、いまの学生さんはインターネット中心で本はあまり読まなくなってきてるでしょう、慎一君、何の本を読んでいるの?」
健吾の質問に、慎一は重そうに口を開いた。
「シャーロックホームズです」
「ああ、ホームズね、僕もよく読んだな・・第一作は緋色の研究、でしょう」
「そうです」
「この子は学校の校内誌というんですか、そこによく推理小説のようなものを投稿しているんです」
「ようなものじゃなくて、推理小説だよ、まだまだ未完成だけど」
「じゃあ、慎一君は将来小説家希望なんだ」
「なれるか分かりませんけれど、書物に関わる事をやっていきたいんです」
「いまから目標を持っているんだから、大したものだよ、僕の友人の中にも出版関係の人はいるから、将来役に立てるかも知れないよ」
慎一が話すようになってきたので、健吾は嬉しそうだったが、弥生は不満足だった。
「丁度3年になりました、まだ新米なんです」
「お弟子さんは何人位いらっしゃるの」
「60名を越えたところです」
「3年でその人数は悪くないわ、ねえ、健吾さん」
「ええ、その他に会場や会社の飾りつけの依頼も結構多いんですよ」
弥生は大人達の会話を聞き流しながら、勝野親子を観察していた。
千恵子は想像していたよりも地味で控えめな感じがして、母に似ていなくもない。
慎一はというと、端に座って場違いの所にいる様な格好で本を読んでいる。根暗なのかな、何の本だろうと見ようとしたが、見えなかった。
「弥生さんは、なにかクラブ活動をなさっているのですか」
千恵子が聞いてきた。
「いまはバレーボールをやっています」
「スポーツが好きなんですね、うちの慎一は本ばかり読んでいて、もう少し活動的だとよいのですけど」
「でも読書はいいね、いまの学生さんはインターネット中心で本はあまり読まなくなってきてるでしょう、慎一君、何の本を読んでいるの?」
健吾の質問に、慎一は重そうに口を開いた。
「シャーロックホームズです」
「ああ、ホームズね、僕もよく読んだな・・第一作は緋色の研究、でしょう」
「そうです」
「この子は学校の校内誌というんですか、そこによく推理小説のようなものを投稿しているんです」
「ようなものじゃなくて、推理小説だよ、まだまだ未完成だけど」
「じゃあ、慎一君は将来小説家希望なんだ」
「なれるか分かりませんけれど、書物に関わる事をやっていきたいんです」
「いまから目標を持っているんだから、大したものだよ、僕の友人の中にも出版関係の人はいるから、将来役に立てるかも知れないよ」
慎一が話すようになってきたので、健吾は嬉しそうだったが、弥生は不満足だった。