春子の住む辺りは12月に入ってすぐ赤いさざんかも咲き始め、いよいよ冬本番を迎えようとしている。
例年ならばまた寒くなるのか、と少し鬱陶しくなるところだが、今年は何とか仕事をやりくりして年内に新潟に行かなければ、という気持ちで昂ぶっていた。
一方、寺井も春子の動向が気になって仕方がなかった。妻は相変わらず実家に帰ることが多く、独りよがりの都合のよさである。
年末が近づくにつれ仕事が忙しくなり、二人は会う時間が持てず、もう中旬になっていた。
春子は考えた末、毎日同じ事を繰り返す事務の仕事に見切りをつけることにした。
未練はなく、辞める覚悟でクリスマスから正月休みまでの休暇願いを提出した。
12月24日に出発し、年内に戻る予定だ。
寺井は電話かメールで毎日春子と連絡を取っていたので、24日の新潟行きに何とか同行しようと調整したが都合がつかなかった。
「大丈夫よ私、叔父さんに会って出来る限りの事を聞いて調べてくるから」
「そう、むこうは寒さが厳しいらしいから気をつけてね」
「ええ、必ず連絡しますから」
「待ってるよ、春子さんの便りが届くのを」
「待っててね、必ずよ、私を一人ぽっちにしないでね」
「いつでも連絡を取れる様にしておくから、安心して行ってきなさい」
春子は切符や宿の手配を済ませると、部屋を徹底的に片付けた。
街はクリスマスムード一色で、皆楽しそうに喋ったり買い物をしたり活気づいている。
私の来年はどうなるのかしら、もう会社も辞めているかも知れない。
でも先のことより私自身を知る事が一番大事、どうしようもなく困ったら寺井さんに頼ろう、と考えていた。
会社からの帰り道、春子は新宿西口を通りながら、先月寺井と食事をした夜を思い出していた。
あの日は楽しすぎて、まるで夢でも見ていたかの様な遠い昔に思えてくる。
例年ならばまた寒くなるのか、と少し鬱陶しくなるところだが、今年は何とか仕事をやりくりして年内に新潟に行かなければ、という気持ちで昂ぶっていた。
一方、寺井も春子の動向が気になって仕方がなかった。妻は相変わらず実家に帰ることが多く、独りよがりの都合のよさである。
年末が近づくにつれ仕事が忙しくなり、二人は会う時間が持てず、もう中旬になっていた。
春子は考えた末、毎日同じ事を繰り返す事務の仕事に見切りをつけることにした。
未練はなく、辞める覚悟でクリスマスから正月休みまでの休暇願いを提出した。
12月24日に出発し、年内に戻る予定だ。
寺井は電話かメールで毎日春子と連絡を取っていたので、24日の新潟行きに何とか同行しようと調整したが都合がつかなかった。
「大丈夫よ私、叔父さんに会って出来る限りの事を聞いて調べてくるから」
「そう、むこうは寒さが厳しいらしいから気をつけてね」
「ええ、必ず連絡しますから」
「待ってるよ、春子さんの便りが届くのを」
「待っててね、必ずよ、私を一人ぽっちにしないでね」
「いつでも連絡を取れる様にしておくから、安心して行ってきなさい」
春子は切符や宿の手配を済ませると、部屋を徹底的に片付けた。
街はクリスマスムード一色で、皆楽しそうに喋ったり買い物をしたり活気づいている。
私の来年はどうなるのかしら、もう会社も辞めているかも知れない。
でも先のことより私自身を知る事が一番大事、どうしようもなく困ったら寺井さんに頼ろう、と考えていた。
会社からの帰り道、春子は新宿西口を通りながら、先月寺井と食事をした夜を思い出していた。
あの日は楽しすぎて、まるで夢でも見ていたかの様な遠い昔に思えてくる。
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