この本は「政治家も人々も、現実と理想を併せ持っていた時代。躍動する明治人の奇跡」という明治維新後の明治期だけをとらえた政治史です。
江戸時代の背景は、私自身、学校で習った程度しかわかりませんが、西欧の政治制度の導入という日本の政治的変革がよくわかります。明治維新という変革がいかに大きいものであるかと同時に、よく言われるように、いかに日本人が変化に対して柔軟であるかといった側面も感じました。そこには「民主主義の胎動」ともいうべき動きがあるのですが、今でも問題となるであろう本質的な民主主義の問題点が潜んでいるような気がしてなりませんでした。
最後の「現実主義的な政治を求める者たちもその立場を理想主義的に主張した。現実主義的な政治観も、現状を維持するためにではなくそれを着実に改良するためにとなえられたのである。」とは、まさに今でも変わらない状況がそこにはあると思います。
以上