昨今の官僚や行政に対するバッシングについて少し考えを述べたいと思います。
今の事業仕分けやみんなの党のマニフェストのような極端な官僚切り、針小棒大に声高に叫ぶコメンテーター、有識者から一般の人たちまで、政治不信に連動して官僚や行政に対する不信を耳にしない日はないといってよいでしょう。当然のことながら多くの人は、それぞれの切り口で問題点を指摘しているのですが、一方的なまた偏った論点で批判することは、一方で全体の整合性を考えたとき問題も発生することを忘れていけないということです。特に、テレビが発信する影響力は大きく、発言者が発言力の大きさを認識しないまま、あたかもそれが全て正義であるというような発信は、安易な大衆誘導につながっていくことが十分に考えられます。すべて同じ論調で片づけられるようなものでもないからです。
確かに行政は肥大化しやすい体質の組織であることは間違いありません。あらゆる政治的要望に対して取捨選択をしながらも一方的にサービスを提供するという組織体は、膨張の一途をたどることは当然です。それは今に始まったことではなく古くから歴史が教えるところです。本来行政は、サービスの追加は他のサービスの削減をというゼロサムの組織であるべきなのですが、右肩上がりの税収によって膨張する組織の欠点は覆い隠されてしまいます。結果として膨張した組織を批判するのは簡単です。その膨張を許してきた政治に責任があり、要望し許してきた人すべてに責任があるわけですから、将来どうすべきかも私たちの責務でもあるわけです。
あるべき姿に戻すためにも行政改革という面では当然のことであり、大きな成長も望めないような状況で、本格的なサービスのカットも覚悟しなければならない時代になっているということです。その覚悟で税配分に臨む政治は、公正・公平な理念のもとに、しっかりした議論が必要だということです。結果はどうであれ、政治には体制翼賛的な行動は決して許されないというべきでしょう。
以上