フラを楽しむMさんから「He aloha mele」という曲を知っているかと問われた。
瞬時に思い浮かぶのは「ピーター・ムーン・バンド」の演奏だ。
「Malie」という鮮やかなグリーン系のジャケットは名盤だろう。
なんと長女の名前にアルバムタイトルをいただいた人がいるくらい当時のインパクトは大きかった。
改めて作曲者を調べれば「Iva Kinimaka」というミュージシャンの作。
もちろん多数のカバーがある。
何か語りかけているような曲調、しかしハワイらしさが溢れている。
いつまでもリフレインが続くようなそんな哀愁を帯びているようでもある佳曲だ。
「ピーター・ムーン・バンド」の演奏が印象に残っているのはボーカリストの声質がこの楽曲にぴったりだからだろう。
ねちっこくなくさわやか、主張するわけでもなく風のように歌う。
紹介できないが、「ケオラ・ビーマー」のアレンジも素晴らしい。
気品があって荘重、ガットギターの響きは、単純な「C」とか「 F」というコード以外の複雑なコードを使っているのではないかと思わせる。
それにしてもこの頃の「ピーター・ムーン」の活躍は目覚ましかった。
ちょうど「ライ・クーダー」の来日と前後していたかもしれないが、ライの超絶ギターテクとピーターのスパニッシュを思わせる高速リフは日本のギター少年たちの心をつかんだ。
派手なギターワークはやや引きたくなるような嫌いもあったものの「ピーター・ムーン・バンド」以降の精力的なアルバム発表を見ていると世界に向けて発信していることを認めざるを得ないような気がしてきた。
ドラムスやキーボード、ホーンを取り入れるなどそこまでしなくていいのにと思ったが、そこまでしてポピュラーになってほしいという思いがあるのかと考えを改めた。
結局ショーマンシップというのか、サービス精神の発露がそういうアレンジや演奏を生んだのだろう。
息をもつかせぬ演奏ぶりはそうした彼の思いが行き着くところだったのかもしれない。
ギャビィ・パヒヌイを師と仰ぎ、バックアップを貫き、ハワイ発ミュージックを世界に発信した。
そんな人が「オレが、オレが」という人でなかったということは残された映像を見てもわかろうというもの。
ジュニア、子供の仕上がりは、親の生き様とリンクするような気がするのだ。
Peter Moon Band: Slack Key Boogie Woogie
Hawaiian Soul by The Peter Moon Band
Peter Moon Band - Tropical Storm Videos ①
He Aloha Mele by The Peter Moon Band