夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

スティール・ギターの魔性

2015年12月19日 | 音楽


ボブ・ディランのステージにキーボードと背中合わせのようにFender Steel Guitarがセットされているのが気になる
見慣れたレモンイェローのようなハワイアンスティールがカントリーやフォークの世界で見かけると「あら!」と思う

アメリカの教会で使われていたと言う歴史もあるスティール・ギターが、ブルースやロック、フォークで使われていて何の不思議もない
ペダル・スティールという特別な世界もジェリー・バード、ビリー・ヒュー・レンしかり、ハワイでもお馴染みだ

弦をバーでスライドさせて弾く原理に変わりはないとしても、さすがに受ける印象が異なる
少なくとも膝の上で弾くか、抱えてボトルネックで弾くかの違いは何となくわかる

フランスのマルセル・ビアンキのクレジットには「スライド・ギター」としてあったりするが、出ている音を聴けば明らかにハワイアンスティール奏法だろう
ただし鋭角的なサウンドはハワイ音楽のそれではなくて、そう「スライド・ギター」のそれかもしれない、だからカッコイイ

ハワイのスティールギターの魅力を単音弾きでリバーブ一杯の「ビヨーン!」サウンドだと思われる方が多い
昔から商店街で流れていたあの懐かしい「B.G.M.」サウンドであるとするならそれは違うと言いたい

実際におやりになればわかるように、左手でバーを持ち、右手でピッキングすれば実に心地よいディストーションの効いた音が出る
リバーブでもかけようものなら何時間も弾いていたいと思うくらいの魔力がある

従って初心のスティールギター奏者はのべつまくなし弾いてしまう
注意する人がいないのでどの曲にも全編、消費税のように課税してしまう

しかし達人は、その魅力の真実を知っている
効果的なフィル・インとでもいうべきポイントを知っているからだ

またベース同様「低音成分」の重要性がある
Fender のギターアンプが優れているのは耐久性と、透明な高音に加えて低音の豊かさにある

常にクリーンサウンドが得られてなお歪みを作ることができるから表現力が大きくなる
ブライトでクリーン、粘り強くてコシがある、と言ったら褒めすぎかしら

さてハワイアンスティールを聴いてごらんなさい
指摘したこと以外の何かを感じ取れるはず

そう、ハワイアンスティールの魅力を勘違いしないで享受してほしい
そこには、深いものがあるのだから




bobby ingano - on a little street in singapore

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