夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

コスト計算

2014年12月11日 | 日記・エッセイ・コラム



衆院選を目前に政党間の「原発」の捉え方が争点になっているかのような報道がある。
大きく存続派と廃止派とに分かれているようだが、具体的な論議は聞こえてこない。

どんなエネルギーにも設備投資とランニングコスト、最終的には店じまいまでの費用計算を行ってはじめてコストパフォーマンスがわかる。
火力発電には石油資源が必要だろうし発電設備は老朽化する。
風力や水力も、なんらかの犠牲を払って実現するし、生態系への影響も無視できない。

地底の熱資源を利用する地熱発電では、組み上げた熱水で蒸気タービンを稼働した後で地中に使用水を還元するという配慮をしている。

原発は「ハイテクを装ったローテク」との印象を拭えない。
核分裂は自然界になかった現象であり、熱水でタービンを回す原理は蒸気船の頃からあった。

問題は使用済核燃料の廃棄技術が確立されていなくて美しい地球のどこかに永久に埋め込まなくてはならないことだ。
以前書いたように私の住む近隣に過去の実験施設があり高級住宅地として知られているその地に使用済み核燃料が処理できないまま封印されている。

福島での惨事は天災がきっかけであったにせよ、被害を拡大したのは技術が確立されていないからこその人災だ。
廃炉のための技術開発努力は必要だが、それが確立できていないまま再稼動したいという主張はまさに政治的だ。

あるフランス料理店での話。
フランス人シェフと日本人妻が経営するこのお店、本場フランスでレストランを経営するシェフの父上まで来日して開店した。
ところが、福島の原発事故以来フランス人シェフはさっさと故国へ帰ってしまったという。

この辺りが床に落ちた食物をささっと払って口にすることができる日本人と(いや失礼私だけかしら)
欧米人との違いだろう。
原発を他国へ売りに出かける国フランスですらこの潔癖性なのだから、当時来日中の音楽家たちが故国から帰れとの指示のもと一斉に帰ったのは当然だ。

そんな難しいことを考えなくともクリスマスを前にした商店街や住宅地でイルミネーションが輝いている。

原発を再稼働しなくったってちゃんと発電供給できているじゃないか。

電力料金の値上げという形で我々庶民が、一企業の不始末のツケを払ってはいるものの、それでイルミネーションが輝いているのを庶民はちゃーんと見ている。

どの政党に入れるかは寒々しい限りだが、せめてものコスト意識を持った政治家に票を入れたいものだ。



アメリカン・ガールズ・バンド

2014年12月11日 | 音楽


バンドの生態ってものに興味が尽きない。

音楽を通じた友達から始まって仲間になり、情報の共有体、ステップアップの踏み台となり、時に利害関係が生じたり、離れたり、再結成したり、、と。
イケメンのバンドは女性ファンの憧れの的で、ガールズ・バンドには案外女性ファンがいたりする。

オリジナル曲中心のバンドは面白い反面、つかみどころがなかったりする。
とりわけソロ・シンガーのパフォーマンスは、何回かお聴きしないことにはその魅力に近づけないかもしれない。
コピーバンドは知っている曲と言う安心感があるけれども「オリジナリティがないじゃん!」と言われそうだ。

初めて聴くバンドのサウンドに、どのようなフレーヴァーとかテイストが含まれているかが、最初の判断だろう。
もちろんヘアスタイルや服のセンス、メンバー間のバランスなど複合的な要素があるだろうし、ルックスも重要だ。

ガールズ・バンドの場合、どうしても演奏テクニックが気になってしまうといったら叱られるだろうか。
アラ探しをするのでなく、お嬢様の学芸会といったレベルを超えていて欲しいと願うから。
可愛いとか美しいという要素もあるが、先ずはサウンドありきだ。

さてノラ・ジョーンズ他3人のバンド「Puss N Boots」、「長靴を履いた猫」バンドだそうな。
フェンダーのムスタングかミュージックマスター、マーチンのフォークギター、レトロなセミアコベースを抱えたお三方。
カントリー系の味わいがあり即座にバンドの持つリズムの世界に引き込まれる。

楽器の持ち替えをするようで、ベースがドラムスに、エレキベースがウッドベースにと、口うるさい叔父樣方の対策をきちんと講じている。
二人のコーラス、たった二声でも充分いけるのは、夫々に力量があることと音楽に対する理解が深いからだろう。

アメリカのバンドには、ブルースやジャズ、ゴスペルやフォーク、カントリーやロックなどあらゆる音楽要素が混在していることが多い。
我々日本人はそれを羨ましいと思わないでむしろフリーハンドを持っていると解釈すべきだろう。
(でも、羨ましい、、)

もうひとつガールズ・バンドの特権は「気負わなくて良い」こと。
バンドの音楽性とか方向性とかもちろん重要だが、そんなに気負わなくてもいい。
好きにやればいいし、物好きな叔父樣方が頼まなくともやって来る。

さて何十年か振りにガールズ・バンドを養成したくなってきた。

美しい猛者を募集しなければ。


2014.7.23.







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YouTube: Puss n Boots Perform 'GTO' Live for Taste of Country


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YouTube: Puss N Boots - "Don't Know What It Means" (Lambkini Exclusive)


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YouTube: Twilight performed by Puss n' Boots


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YouTube: Puss 'n' Boots xmas party @ the Bell House feat Minnie Tonka




No Fools No FunNo Fools No Fun価格:¥ 1,223(税込)発売日:2014-07-14
Live in Poland 2007Live in Poland 2007価格:¥ 1,780(税込)発売日:2013-09-12



ギャビィとチキン・スキン・ミュージック

2014年12月10日 | 音楽



70年代数々の名盤を世に送り出した「パニニ・レコーズ」を話題にしたところ、思い出したようにNさんが2003年のバックナンバー「Switch」誌を持って訪ねてくれた。
「サウンド・オブ・アロハとともに旅するオアフ、マウイ、そしてハワイ」と題する紀行の4頁は、パニニ・レコーズの創設者の一人「Steve Siegfried」へのインタビュー記事だ。

ライ・クーダーとギャビィ・パヒヌイと間に、どのような出会いがあったのか、興味深い。
アルバム「Chicken Skin Music」での2曲、ギャビィとアッタ・アイザックスの二人が初めてライとレコーディングする光景を、映像で見てみたいものだ。

「Steve Siegfried」は、大学に通いながらアラモアナにあった「House of Music」という音楽ショップでアルバイトをしていた。
レコードや楽器、音楽関係の書籍、楽譜等がおかれてハワイ音楽好きには最新のアルバムを探すスポットでもあった。

子供の頃からハワイの伝統的ミュージックに親しんでいた彼は、お店にエディ・カマエがやってくることを聞いた。
やがてエディに会うことができた彼は、尊敬するギャビィのことを熱く語ってついにギャビィを紹介してもらう。

70年代初期は日本もハワイもハワイ音楽が衰退していた。
日本では商店街や夏場にかかるBGMとして供給され続け目新しいものはなかった。
ハワイでもメインランドのオファーで作られるツーリスト向けのレコーディングに微々たるギャラで使われハワイのミュージシャンたちは傷ついていたという。
そんな状況のなかで若干20歳そこそこのSteveは「本気で素晴らしいアルバムを作りたいんだ!」とエディに熱く語る。

そしてエディはギャビィ、ジョー・マーシャル、デヴィッド・ロジャース、モエ・ケアレに声をかけて、71年アルバム「Sons of Hawaii」ができた。
ボックスに入った1枚のLPレコードとブックレット、美しいイラストとミュージシャンたちの似顔絵で彩られたパニニ・レコーズ最初のアルバムは素晴らしかった。



あの当時こうしたコンセプトのしっかりしたアルバムが作られたことに驚いた。
何より「これをビジネスとして捉えてミュージシャンたちにきちんとお金を払い、できるだけ多くの人に聴いてもらいたい」というSteveの志と熱情に恐れ入る。

そしてギャビィのアルバムを作りたかったSteveは、あのブラウン・アルバム「Gabby」を72年リリースした。

この「Gabby」アルバムは、現地ハワイの人たちにショックを与えた。
「自分たちにこんなに素晴らしい音楽があった」ことを知り、「ローカル・ミュージックを軽んじてきた」ことを反省した。

ギャビィは一晩で「ハワイで最も有名なハワイ人」になった。
そしてそれが「ハワイアン・ルネサンス・ムーブメント」につながっていった。

さてバカンスでハワイに行ったライの奥様スージーは、ブラウン・アルバム「Gabby」をお土産に買った。
これを聴いたライ・クーダーは「ぶっ飛んだ」

ハリウッドのエージェントを通じて招かれたギャビィのギターを聴いたライは、瞬時に「これはスゴイ!」と。
そしてハワイに向かったライは、ワイマナロでギャビィたちと毎日セッションすることになる。

スラックキーというオープン・チューニング奏法に初めて出会ったライはギャビィの弾き方がわからなくて、演奏を何時間も聴いていたそうだ。
どん欲な素晴らしい生徒であったというライは、ギャビィの演奏を本当に楽しそうに聴いていたらしい。
そして二人は素晴らしい音楽仲間だった。

ギャビィが死んでからもライは「ギャビィとの出会いがなかったら今の自分はない」と、ことあるごとに言ったそうだ。
ギャビィから直接習ったフレーズはライブで出て来るし、以降のハワイ以外の地の音楽の旅もすべてギャビィから始まった。

「Chicken Skin Music」はライの「音楽巡礼の旅」の原点だという。

これで70年代、五月雨のようにレコードショップに並んだLPレコードたち、ギャビィとライの関係が鮮明になった。

ハワイ音楽ファンは、ライ・クーダーの「Chicken Skin Music」の「Chloe」や「Yellow Roses」を聴いてギャビィやアッタを再認識した。
ライ・クーダーファンの方がこれらを先に聴いていたりしたあの時代が懐かしい。

まるで異なるジャンルから来た音楽ファンたちがこのアルバムを通じて熱弁をふるい友達になったりした。


スライドギターの雄が、ギャビィというレジェンドに出会い、ハワイアン・スラックキー・ギター、ハワイアン・スティール・ギター、ウクレレそして「ハワイの心」を歌う彼を愛した。
ギャビィがどんなにぶっ飛んでいたか、という逸話は数知れない。
招かれたパーティに行かないで、誰だか知らない席でとんでもない演奏を繰り広げたり、と。

ミュージシャンとミュージシャンとの友情、ジャンルや奏法を超えた音楽によるつながりが数枚のアルバムとして残っている。

ギャビィも愛したというマウイ島のハナに住む「Steve Siegfried」という人の人生が素晴らしい。














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YouTube: The Gabby Pahinui Hawaiian Band - Pu'uanahulu 1974 YouTube


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YouTube: Gabby Pahinui - Hi'ilawe 1947, Luau Hula (1972)


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YouTube: THE GABBY PAHINUI HAWAIIAN BAND - IPO LEI MANU 1974 - YOUTUBE


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YouTube: Sons of Hawaii " Molokai Nui Ahina " Sons of Hawaii




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はるき堂

2014年12月09日 | 音楽


「はるき堂」と聞いたら甘いもの屋さんか、本屋さんかと思うだろう。
これがランチを出すお弁当屋さんであり、夜は居酒屋になり、はたまたバンドの名前だとなると何がなんだかわからなくなる。

ひょんなことでお邪魔してトイレに入ったら2冊の本が並んでいた。
「はるき堂」とは、どうやら村上春樹の「はるき」からきているようだ。

立川駅の南口を10分ほど歩いた街並みの一角にあるお店は、八重洲や新橋の路地裏を思い起こす。

ふらっと入って一杯やっていると、常連さんがやってくる。
待ち合わせたわけでもないのに、一人二人と顔を並べて四方山話が始まる。

居酒屋で飲んでいるうちに意気投合して音楽をやろうかという話になったのか、音楽を通じての飲み友達か、
どうやらそんなところらしい。

10人も座ると身動きが取れなくなってしまうような空間は、映画「三丁目の夕日」の一シーンを見ているようでもある。

「ハルキ堂バンド」は、このお店を経営するSさんとYさんとで展開するユニット。

遠藤賢司とか、高田渡とかあの時代のフォークソングを思わせる曲調あり、妙にメロディラインのきれいなポップス風があったり。
嬉しそうに演歌調へ行きたがるSさんのギターからは攻撃的なフレーズが出てくる。

さてアン・ルイスの「グッバイ・マイラブ」を歌い始めたIさんに、三丁目の常連さんたちの心が一つになる。
言い出しっぺのYさんがいなかったのが残念だが、クラプトンあり、ジョン・フォガティあり、酔った勢いで出てくるロック、オールディーズの数々。

イーグルスにせよクラプトンにせよ「アンプラグド」バージョンを出している。
アコースティック・ギターでロックのヒットを歌うのは聴いて心地良い。

このいつまでも尽きない映画の一シーン、毎日のように上映されているのだろう。

芸達者なみなさんの顔を思い浮かべながら帰途についた。






ベースのグルーヴ

2014年12月09日 | 音楽


久しぶりに「Ampeg」の真空管の音を楽しんだ。

60年代、70年代のアメリカ製のミュージカルアンプはとにかく重くてでかい。
レオ・フェンダーが「頑丈に作る」ことを身上としたように当時のアメリカ製は耐久性、堅牢性において優れている。

エレクトリック・ギターは、ギター・アンプを歪ませることによって「Fuzz Tone」を生み出し、これを発見したのはチェット・アトキンスだと言う。
広く世に知られるようになったのはビートルズの「Revolution」だったと記憶しているが、クリーン・トーンをわざわざ歪ませることで表現の可能性を拡げた。
そして今や小さなエフェクターで簡単にどんな音でも創りだすことができる。

エレクトリック・ベースは1951年レオ・フェンダーの発明。
コントラバスの立奏から開放されギターのように様々な奏法が可能になった。
ソリッド・ボディで作られたプレシジョンはクリアで充分なサステインが得られ、エレクトリックベースの基本形を最初に作り上げた。
60年以上経った今なお現役という観点でレオの才能に感嘆する。

初期のビートルズがフェンダーを使わなかったのは、当時高くて買えなかったという事情もあったようだ。
が、カールヘフナーやリッケンバッカーを使ったことでかえってユニークさが増していた。
セミアコ・ボディのベースもギブソンはじめ各社から随分発表されたが、主流にはならなかった。
唯一ポールが使用したカールヘフナーがトレードマークとして生き続けている。

今やベース専用のエフェクターによってシンセベースなどあらゆる音が簡単に出せるようだ。
が、作られた音はすぐ飽きてしまい、結果的にシンプルなベース音に立ち帰る。

真空管の持つ「歪み」は、ベースの低音を心地よく出してくれる。
が、重い真空管アンプを持ち運ぶのは現実的でないので、Tube Ampのシミュレーター効果のあるDI代わりの「Sans Amp」でもあれば充分だ。

さてベースとドラムスの関係において「シンコペーション」が重要だとするスコラの映像をまた見てしまった。

ベース奏法やリズムの大方が完成されたかのように見えるジェームス・ジェマーソンの時代、コードネームを見るだけで即興で弾いてレコーディングしていたという件には驚く。
そして「グルーヴ」を出す上でベースの奏法、16分音符のミュートした音とシンコペーションが重要だと言う。

バンドの「グルーヴ」は、ベースだけでなくドラムスやギター、はたまたボーカルまで含めた相乗効果だということを再認識するこの頃だ。



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YouTube: Bass Sounds


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YouTube: Bass Sounds extended coda


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YouTube: Series: Sounds of Success - Höfner Electric Bass | euromaxx


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YouTube: Hofner Verythin bass - CT Sound Test


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YouTube: 3ベースが作るリズムと旋律


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