夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

魂とグルーヴ

2015年07月14日 | 映画


病気療養中の Sくんからのお便りに映画の紹介があった。
映画館に行けるようになったのなら良かった、快復基調にあるのだろう。

Sくんが我々のバンドの前に現れたのは、何年前のことになるのだろう。
いやあまりにも様々な人たちが現れたし全員にお会いしているわけでもないが、数え切れないくらいの人たちが現れたものだ。

当初はハワイのトラディショナル&コンテンポラリーをやっていることから興味を持った人たちが集まってきた。
Webはもちろん携帯電話もない頃、人づてに知り合った人たちが音楽を通じて友となる。

知り合う場所はもっぱらレコード店だった、それもハワイもののレコードを置いてあるお店で。
「君、それ好きなの?」てな感じで話しかけ、会話が始まる。

練習と称して毎週集まっていたバンドに本当に様々な人が来たものだ。
なかでも当時高校生だったPちゃんはユニークだった。

高校生なのにレコードを何万枚も持っているというし、どうやらお宅にはお手伝いさんがいるらしい。
彼の紹介で当時早稲田にあった「John Boy's Restaulant」に出かけることになった。

なんの予備知識もなく向かった木造アパートの一階を改装したお店は快適だった。
バターコーンをおつまみにバーボンをいただく、なんとなくカントリー風のお店には音楽にこだわりを持った人たちが集う。

そうした人間模様がお店の雰囲気を形成していたし、経営するご夫妻と子供さんがアットホームだった。
そして何よりダカインサウンドを追求していたバンドの演奏を聴きに来た常連さんとの「音楽による会話」が心地よかった。

いやその前からハワイアンらしき音楽はやっていたのだが、音楽を通じて心が通い合うなんていう経験はなかった。
打算や鬱陶しい主張がない空間は、純粋に音楽を楽しもうという者にとって必要不可欠な条件かもしれない。

そこにちょっとした音楽する心と、心を揺さぶるグルーヴがあればいい。
少々音程が悪かろうが、技術的に未熟だろうがそんなことは二の次だ。

人はそのために高いチケットを買い求めたり、果てしなく情報を探し求める。
そうして巡り会えたリスナーとミュージシャン、恋愛を思わせるようなドラマが始まる。

そう、音楽はドラマだ。

誰のために咲いているわけではない向日葵がひたすら太陽を目指して成長する姿は神々しい。

だから向日葵は好きだし、そうありたいと願う。








白熱の演奏シーン!映画『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~』「CALDONIA」演奏シーン

映画『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~』スペシャル映像

PAVAROTTI con JAMES BROWN, ERIC CLAPTON y ELTON JOHN.wmv

花火

2015年07月12日 | 音楽


多面体のような百合が咲いた。
ヒューっと音を立てて夜空に上がる打ち上げ花火のように次々と。

植物は日照に左右されて様々な変化をしながら成長していく。
球根系の花は花後の休養の仕方が大きく影響するようだ。

多面体に装備されたスピーカーのような花から芳香が漂う。
無指向性のような形なのに香りは「塊が流れてくるよう」だ。

一年のうちわずかな期間しか花を咲かせてくれないからこそ価値がある。

注目していたハワイのミュージシャンが昨年他界されたと知って驚いた。
52歳は若い。

素晴らしいギターワークとアレンジの才、バックコーラスもソロも歌う。
聞き取れないがジョークも達者にこなしているようだ。

ハワイの人は話が長い、人もいるのかしら。
5分30秒くらいの映像で5分近く喋っているものがあったっけ、演奏はわずか30秒。

話は短い方が良くて演奏をたくさんやって欲しいものだ。
素晴らしいミュージシャンこそ延々と続けて欲しい。

下段の花が咲き終わったら上の段に移るように、
美しい花はいつまでも見ていたい。




Palolo - Chino Montero, Troy Fernandez, Nathan Nahinu

"Kawena", Performed By Chino Montero, Hula By Christina Wong

"No Ka Pueo", By Chino Montero, Hula By Christina Wong And Madeline Davis

"Europa", Herb Ohta Jr, Keoki Kahumoku And Chino Montero

とよださん

2015年07月09日 | 日記・エッセイ・コラム


TV番組で紹介されたアーチストの異色な経歴に驚いた。
アルバイトからボクサーへ、10年で引退して芸大に7年かけて入学して油絵を学び、木彫の世界へ。

彫刻家と言わず木彫り職人と称するところが潔い。
ヒノキの角材から金属やタイル、果物からあらゆる素材でできたものを彫出す。

一刀彫というのか、一本の木材から全てを作り出すところにこだわっている。
なんでそんな面倒なことをするのか。

一日中パチスロをやっては木彫に帰る日々を送っていたという一時期。
その生活から決別してまた木彫の世界へ。

酒も飲まないし友達もいない、立方体の木材に三次元の設計を頭に描いては彫り続ける。
折れないように極限まで彫り続けて三ヶ月、あるいは五年。

学んだ油絵の技術が表面に施される。
素材が木であることを示すために敢えて彩色を省いたりと、、

作品は数百万円で売れるそうだが、時間あたりの対価としたら決して高くない。
人はなぜそこまで自分を追い詰めるのだろうか。

食べるためにレストランで働いている画家にお会いしたことがあった。
絵画を語る時のその人の眼と語り口は、崇高に見えたものだ。


達観した人の顔はいい。

偶然、我が家に長逗留しては牛馬の爪を切る仕事をしていた「とよださん」のことを思い出していた。

大きい自転車の両サイドにハーレーのような皮のバッグをつけて、生活用具の全てを積んで渡り歩いていた。
どこかにご自身の家があったのか、ご家族がいたのか、皆目分からないが、ボヘミアンのような生活だった。

酪農業を営んでいた我が家を拠点として一ヶ月とか二ヶ月とか滞在し、近隣の酪農家のための仕事をしていたのだと思う。

彼が商売道具であるノミや小刀を利用して樹木の根株を細工しては作品を作っていた。
仕事のない日の暇つぶしで芸術というレベルではなかったかもしれない、が子どもの頃その作業をじっと見守った記憶がある。

出来上がった木彫はなんらかの収入源か、宿代代わりになったのかもしれない。
白髪交じりの立派なヒゲを貯えた「とよださん」の風貌は威厳があった。

そして優しかった。
美味しそうに飲む一合か二合の酒と、一匹の焼き魚を前に一日の終わりを楽しんでいた。

経済活動を第一として考える資本主義の世界で、ひたすら思うことを追求する男の生き方にひっかかる。
手を加え続けて完成しない作品や、ここまで手をかけた作品なので売りたくない、などなど。

映像のその方のすっきりした表情に、大昔の私の「とよださん」に共通するものを感じた。

懐かしい、とよださん。


Sheryl Crow & Robin Williams - "Everyday is a Winding Road" Party Jam

Honky Tonk Woman Sheryl Crow with The Rolling Stones


Sheryl Crow - The water is wide (live)

Sheryl Crow - "Are You Strong Enough To Be My Man" - acoustic, accordion, 1995, stereo

スティール・ギターの魔力

2015年07月08日 | 音楽


スティール・ギターは難しい楽器だ。
バーを置いてピックで弾けばビヨーンという音が出るのだが、音程を正確にとり和音を綺麗に出しメロディを美しく奏でること、全てのコントロールが容易ではない。

どんな楽器も弾く人の性格が表れるものだが、スティールは如実に出る。
大雑把な人には向いていないかもしれない。

バンドにおいてはイントロや間奏など担当することからのべつまくなし弾いてしまう方も多い。
初心の方にその傾向が強い。

達人は美味しいところだけ弾くから演奏が際立つ。
繊細であり、ミストーンが少ない。

ギャビィ・パヒヌイはスラックキー・ギターで有名だが、ウクレレも素晴らしい。
そしてスティール・ギターの名演を残している。

歌心のある人がいいプレーヤーであると言っていいのかもしれない。

「Jeff Au Hoy」という人の演奏を聴いた時、この人は耳が良いと思った。
スティールは弾くし、ベースも弾く、歌も歌うし、、

ギャビィの演奏を彷彿とさせる彼の演奏を聴いているとハワイの土壌が如何に肥沃であるかと思わざるを得ない。


Jeff Au Hoy - Medley: Ku'u Ipo I Ka He'e Pu'e One / Makalapua (2014)

Jeff Au Hoy - Yellow Roses (2014)

Au Hoy Steel Guitar

ブルース

2015年07月06日 | 日記・エッセイ・コラム


ジャズやロックのライブスポットは数多くあれど、ブルースを掲げたそれはあまり知らない。
私鉄沿線の駅前の小さなカフェ兼ライブスポットが開店十周年を迎えるという。

オーナー経営者Nさんの話を聞いていると自然体でいることが経営の極意かと思ってしまう。
十年前駅前の小さな店舗が借りられたのでカフェを始めたところ、順調に推移した。

ところがリーマンショック以来、景気後退を機に客足がパタッと止まってしまった。
駅前とはいうものの何万人もの乗降客が通る場所ではなくおまけに一階物件ではない。

珈琲とランチだけでは事業経営が危うくなり窮余の策でライブスポットを始めたそうだ。
特段音楽にこだわりがあったわけではなく、ブルースを売り物にしたところは少ないだろうと看板にした。

物珍しさに惹かれて音楽好きと酒好きが集まってきた。
良かれと思い紹介されたミュージシャンが開店前から酒を所望されて閉口したこともあったそうな。

あたりかまわず演奏する人や音楽へのリスペクトを持たない人などあらゆる客を迎えて苦労も多かったようだ。
しかし一流のミュージシャンはギャラとか客数とかにかかわらず素晴らしい演奏をしていく。

特段音楽に詳しいわけではなかったNさんが行き着いたところは月に数回のライブイベント。
ミュージックチャージはとらないで全て投げ銭スタイルだ。

ブルースといえばライ・クーダーの映画「クロス・ロード」のギターバトル・シーンを思い出す。
いやライが若い頃ミュージシャンを訪ねてお金を払って弾き方を教えて貰ったという伝説のほうが強烈だ。

それが歌であろうとギターであろうと「魂の叫び」なのか、天に訴える何かがほしい。
アフリカから奴隷としてアメリカにやってきた黒人たちの悲しみと祈り、ささやかな楽しみの世界。

ペリーの黒船来航時に演奏した白人たちはその黒人たちの演奏ぶりに憧れて顔を黒く塗ってバンジョーなどを演奏したという。
ここに音楽の持つ普遍性というか、強靭な強かさを感じる。

さてNさんの開店十周年記念にトロピカル・サウンドを届けに行こうか。
偶然知り合ったビオラの先生とのセッションも楽しい。

意気に感じて行動を起こすのが男だ、と思いたい。
江戸っ子のように、


McBride, Scofield & Sanchez playing the Blues at Montclair Jazz Festival

Lynn Seaton and Christian McBride

Christian McBride Trio - "I Guess I'll Have to Forget"