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2021-04-27 | 作家別諸々(は行)

 

深緑野分
『戦場のコックたち』★★★★+



『ベルリンは晴れているか』

OGPイメージ

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深緑野分『ベルリンは晴れているか』★★★★紀伊国屋書店にて新刊を物色中(コロナ激化前)目を惹いた本結構厚めなハードカバー知らない作家さんまず...

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こちらは初長編となる本で、やはり舞台は海外
 
ノルマンディー降下作戦時
(何となく耳にしたことはある)

ノルマンディー上陸作戦 

 

初めての長編とは思えなくて、翻訳本でもおかしくない。
最初の登場人物紹介を見て、これは集中しないといけない本かなと、
襟を正された感じだったけど、そうでもなくするすると読みやすい。
舞台が戦時中だけど、この方の世界観が好き。
主人公の育ちの良さがまた心を温かくしてくれる。
自分の周りのお友達の顔が浮かんでくる。
 
イメージは戦争映画の世界
戦争についてとやかく言うことはない。
しかし戦争本を読んだことのない人にはショッキングな場面をどう捉えるのか。
感受性の問題もあるかな。
大きなスケールで戦争とは?漠然と考えてしまうぐらいで、「仲間達」を重点に置いた話
色々な人がいる。それぞれの個性を持った仲間達
 
そこに生と死
 
 
最後には涙が・・+
 
 
 
--------(抜粋)少々ネタバレ
 
 
1944年6月、ノルマンディー上陸作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエド、お調子者のディエゴ、調達の名人ライナスらとともに、度々戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。不思議な謎を見事に解き明かすのは、普段はおとなしいエドだった。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件など、戦場の「日常の謎」を連作形式で描く、青春ミステリ長編
 
 
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右手のロッジの角を曲がると、道沿いの針葉樹林が網目模様の影を落としていた。どこからかラジオの音声が聞える――「低気圧が近づいています。今夜遅くから雨が降るでしょう」
そうは言っても、仰ぐ空は青く、切り取ってポケットに入れてしまいたいくらい、きれいな色をしていた。もこもことした雲がいくつか浮かんでいるけれど、色のついていなコットン・キャンディーみたいに白くて、雨を降らしそうにはない。
 


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コットン・キャンディー
響きがよくて、何度かこの描写を読む。






クライマックスは荒川の川べりで・・dobukusa
もこもこの雲が遠くに見える。
夏っぽくない?季節感が前倒し
 
 
 
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闇は不思議だ。明るい時は気づきもしない、心というやつを感じてしまう。瞬きをせずにじっと暗い片隅を見つめていると、闇の中にもっと深い闇が生まれ、遠近が狂ってくる。限界までまぶたを開け、視界に火花のようなものがパチパチと散ってから、ぎゅっとつむると浮遊感が体に満ち、どこまでも行けるような気になる。神経が研ぎ澄まされ、孤独が輪郭を表す。
たまに、ここは戦場だと忘れそうになった。僕らが呑気に休んでいるこの瞬間も、前線では誰かが戦っている。この仮初めの休息が終われば、今度は僕らが誰かを休ませるために戦うのだ・・・・・・胃のあたりから冷たいものがせり上がってきたのを、唾を飲んで押し込め、横向きになる。
何か考えよう。頭の中を他のものでいっぱいにさせた方が楽だ。
 


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