マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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上・F家の庚申さんのさなぶり参り

2020年07月29日 09時17分47秒 | 明日香村へ
ナワシロジマイ(※苗代終い)の“家さなぶり”をされたF子さん。

これから庚申さんに行きましょう、と声がかかったが、高齢のF子さんは杖を要する身体。

昨年も拝見した庚申さんのさなぶり参り。

そのときも杖をついて歩いていたF子さんであるが、この年は、昨年同様の動きは難しい。

歩くのも難儀するお身体に、御供運びのお手伝い。

息子さんのFさんは、田植え作業を終えた後片付けが忙しい。

作業中の息子さんに手伝いの承諾を得て協力する。

お手伝いは、庚申さんに供えるお盆載せの三把の苗さん。

先ほど、三宝荒神さんに供えた一式である。

洗米にお神酒を持っていく。

距離はそれほど遠くないが、登坂の勾配がキツい。

息切れどころか、心拍数が一気に沸騰するくらいの急坂の向こうに石塔の庚申さんがある。

かつて上(かむら)のいちばん上になる上出垣内の4軒の講中でしていた庚申講の営み。

それぞれが家の田植えを終えたら、F家と同じように三宝荒神さんに供えた苗さんを持って庚申さんに供えていたそうだ。

F家よりまだ上に建つお家は3軒。

うち2軒が庚申石塔の前に建つ。

広い場の崖近くにある庚申さんは、階段の登ったところである。

とてもじゃないが、F子さんには登れない参拝地。

昨年と同じように頼まれて三把の苗さんを供える。

洗米を並べて中央にお神酒を供える。

花立ては四カ所。

家に咲いていた紫陽花に、カスミソウと黄色い花を立てて、灯明と線香の火付け。

弱い風に吹かれた蝋燭の火が消えそうになる。

そっと手を合してお念仏を唱えるF子さん。



静かに唱える念仏は、三巻の般若心経。

声は聞こえない、心で念じる心経である。

できる限りこうしてお参りをしてきたが、お参りできない場合もある。



そのときは若い人が庚申さんに奉ってくれるので、私は下でこうして参っているという。

本来なら、ナワシロジマイ(※苗代終い)の“家さなぶり”を終えた翌朝に参拝されるのだが、この年もご協力をいただいて参拝する姿を撮らせてもらった。

この場を借りて感謝申し上げる。

(H30. 6. 3 EOS7D撮影)