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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

流される人生でも何が起こるかわからない『フォレスト・ガンプ/一期一会 4Kニューマスター版』

2022年03月31日 23時05分57秒 | 映画

【個人的な評価】
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 ウィンストン・グルーム『フォレスト・ガンプ』(1986)

【あらすじ】
アラバマ州グリンボウの田舎で
女手ひとつで育てられたフォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)。
小学校に入ったものの、
勉強が苦手で脚にギブスをはめたフォレストはバカにされてばかり。
遊んでくれるのはスクールバスで一緒になった優しい女の子、
ジェニー(ロビン・ライト)だけだった。

ある日、同級生たちにいじめられていたフォレストは、
「走って!」というジェニーの声で猛然と駆け出す。
それも脚のギブスが吹き飛ぶほどのスピードで。

アメフト全米代表、ベトナム戦争、
卓球世界選手権出場、エビ漁船船長、
そのままフォレストは風のような速さで自らの人生を駆け抜けてゆく。

【感想】
1994年のアメリカ映画。
実は初鑑賞なんだけど、
今ね、やってるんだよ、
4K版として、映画館で。
かつて感動した人も、
まだ観てない人も劇場へGOです。
そして、公開時のトム・ハンクスと
今の自分と同じ年じゃんかっていう衝撃(笑)

◆流されることで開けていく人生

この映画、
個人的にはなかなかはっきりしないところが多かったなという印象。
過去を回想する形で、
フォレスト・ガンプの人生の軌跡を観ていくことになるのだけど、
これが意外と淡々と進んでいくから。
彼の何気ない思い出話がずっと続くので、
「で?」と思ってしまうところもあった。

けれど、ひとつ言えることは、
流されるだけでも人生何が起こるかわからないってこと。
フォレスト・ガンプって、
知能指数が劣ることが影響しているかはわからないけど、
あんまり自分でああしたいこうしたいっていう
意志はなかったように思う。

ただ、ジェニーに「走って!」と言われたあの日から、
彼の人生は大きく変わった。
いじめっ子たちから全速力で逃げているだけだったけど、
その足の速さを見込まれて、
アメフトの全米代表になり、
卒業式で勧誘された陸軍に入り、
病院で出会った卓球に才能を発揮し、
同僚と語ったエビ漁業で一山当てる。
どれもこれも、
彼がやろうと思ってやったことではなく、
流されるままに生きてきたらこうなったというだけ。

振り返ってみると、
なかなか面白い人生だなと思うけど、
すべては走ったことがきっかけ。
流されていく中で特技を繰り返すことで、
開けていく人生もあるんだなあと思った。

◆ジェニーのメンヘラっぷり

キャラクターとしてよくわからなかったのが
ジェニーなんだよね。
フォレストの幼馴染なんだけど、
彼に好意を抱いているにも関わらず、
2度も彼の前から姿を消すのよ。
彼との将来に不安を覚えたから?
それとも、彼の誠実な人柄を見ていると、
自分が汚く感じてしまうから?
何も言わずにいなくなる割には、
フォレストが有名になるタイミングで、
ひょっこり現れるからね、
なんか胡散臭さを感じてしまったけど。
ちょっとメンヘラっぽい感じはする(笑)

◆時代を反映したパロティ

この映画、
ちょいちょい現実のパロディが入っているのも注目したいところ。
フォレストの母親が営む民宿に、
若かりし頃のエルヴィス・プレスリーがいたり。
フォレストがウォーターゲート事件の発端となる
ウォーターゲート・ビルへの侵入事件を目撃したり。
他にも、ニクソン大統領やジョン・F・ケネディ大統領、
ジョン・レノンとのVFXを使っての共演もあり、
1994年の映像技術でここまでできるんだと驚く。

◆映画を観るだけではわからない設定

幼少期のジェニーが父親から性的虐待を受けていたとか、
終盤のジェニーはエイズにかかっていたとか、
映画本編では言われてないんだよね。
でも、後から調べるとそういう設定だって書かれてる。
察しろってことなのかもしれないけど、
何やら訳ありだってのは気づくものの、
細かな状況まではわかんねぇっす(笑)

◆そんなわけで

原作小説とはだいぶ異なる設定らしいけど、
映画は映画で面白いので、
劇場でやっているこの時期に観てみるとよいかも。


宇宙船内で起こる人間社会の縮図が恐ろしい『ヴォイジャー』

2022年03月28日 23時21分32秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:28/49
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
SF
サスペンス
スリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
地球温暖化による飢饉が人類を襲い、
科学者たちは居住可能な新たな惑星を探した。
そして2063年。
可能性を秘めた惑星を発見し、
探査隊を派遣することになる。
航行にかかる期間は86年。
乗員は訓練を受けた30人の子供たちと、
彼らの教官であるリチャード(コリン・ファレル)が同乗した。
子供たちは船内で成長して子孫を残し、
惑星に到達するのは彼らの孫の世代だ。
子供たちはリチャードに従順に従い、
航行は順調かに見えた。

10年後。
クリストファー(タイ・シェリダン)と
ザック(フィオン・ホワイトヘッド)は、
彼らが毎日飲む薬によって
人間としての欲望が抑制されていることを知る。
さらに、反発した乗員たちは本能の赴くままに行動するようになり、
ある事件をきっかけに船内の統制が崩壊していく―。

【感想】
世間の評価は低いものの、
個人的にはけっこう楽しめた映画。
これまでの宇宙を舞台にした映画とは、
またちょっと違う感じでして。
洋画では頻繁に宇宙を舞台にした映画が作られる。
大体が惑星探索におけるヒューマンドラマか、
エイリアンと戦うアクションかだけど。
今回はそのどちらでもないのがよかった。

◆人間は「管理」されるべきか「自由」にさせるべきかの対比

惑星にたどり着くのは今から86年後。
いくらミッションを達成させるのが
今回選ばれた子供たちの"孫"の世代だとしても、
その第一世代も一定の健康状態を保ち、
生命活動を維持しなくてはならない。
物資も限られている中、
それを可能にするには「適切な管理」が必要。
大きなトラブルを起こさず、
無駄にエネルギーを消費せず、
極力ヒューマンエラーを抑える。
そこですべきことが「欲望の抑制」。
日頃から薬を与えて、
あらゆる欲望レベルを最低限に抑えておく。
これがなかなか面白い設定じゃないかと思って。
感情を失くすのではなく、
欲望がなくなれば、
そもそも感情も出てこないよねっていう発想。
その欲望も"抑えてる"だけだから、
元に戻るリスクもあるってこと。

ひょんなことから、
その秘密を知ったのがクリストファーとザック。
彼らは意図的に薬を拒否し、
通常の人間と同等の欲望レベルにまで回復。
まさに、「適切な管理」から逃れ、
「自由」を手にした瞬間だなと思った。

ここからがこの映画の面白いところ。
他のメンバーも薬を飲まなくなったことで、
同時多発的にみんながいろんな欲望に目覚める。
船内を走り回り、
好きなように食事を摂り、
異性に対する興味まで。
それで怪我したり、
食糧がなくなったり、
意図しない妊娠なんかが起きたら、
86年後までもたないよねってことで
管理されていたはずなんだけど。

◆人間社会の縮図の誕生

目覚めた欲望は留まることを知らず、
自己承認欲求やそれが叶わないことによる嫉妬など、
より高次元の欲望も出てきて船内はカオス状態。
そこで、"とある事件"をきっかけに、
グループが二分してしまう。
ザック率いる「好きなようにやろうぜ」という改革派と、
クリストファー率いる「任務遂行のために規則を守ろう」という保守派。
まさに、どのコミュニティでもありそうな構図が、
狭い密室の宇宙船内で出来上がっちゃったわけ。

僕自身、
徹底された管理下に置かれるのは
好きではない性分ではあるけど、
ここでの改革派はだいぶ過激なので、
この映画を観る限りでは保守派の方に肩入れしたいけど(笑)
しかも、その改革派を引っ張るザックがまたイラつく役どころ。
デマを流して人々を困惑させ、
自分の陣営に引き込むといった小賢しい手を使う。
「そこまでする必要あるかな?」
とやや動機に違和感はあるものの、
この対立構造は後半を盛り上げる
いいストーリー展開だったと思う。

◆そんなわけで

舞台は宇宙だけど、
SFよりはサスペンスやスリラーに近いかな。
だから、宇宙である必要はあまり感じないけど(笑)
この両陣営の争いがどう決着するかは、
ぜひ映画館で観て欲しい。

それにしても、
最初に選ばれた30人って、
自分たちは目的地を目にすることなく生涯を終えちゃうんだよ。
彼らに求められているのは、
孫まで残す生殖機能のみだから、
人としての人生を考えると、
なかなか悲しい運命ともいえそう。



「午前十時の映画祭11」で面白かったランキング

2022年03月28日 20時56分57秒 | 映画
1. ターミネーター2(1991)
2. ターミネーター(1984)
3. ザ・ロック(1996)
4. 天使にラブ・ソングを…(1992)
5. アンタッチャブル(1987)
6. グラディエーター(2000)
7. ノッティングヒルの恋人(1999)
8. 2001年宇宙の旅(1968)
9. グッドフェローズ(1990)
10. イングリッシュ・ペイシェント(1996)
11. マディソン郡の橋(1995)
12. ティファニーで朝食を(1961)
13. スタンド・バイ・ミー(1986)
14. 隠し砦の三悪人(1958)
15. ユージュアル・サスペクツ(1995)
16. ナイトメア・ビフォア・クリスマス(1993)
17. シカゴ(2002)
18. モスラ(1961)
19. ファイト・クラブ(1999)
20. イージー★ライダー(1969)
21. 座頭市物語(1962)
22. 赤ひげ(1965)
23. ファーゴ(1996)
24. シャイニング(1980)
25. 未来世紀ブラジル(1985)
26. ロミオ+ジュリエット(1996)
27. 真昼の決闘(1952)

「午前十時の映画祭7」から観始めて、
5回目のフル鑑賞。
歴史に残る名作の数々というだけあって、
どれもすごく面白かったんだけど、
今回一番だったのはやっぱり『ターミネーター2』(1991)。
まあ、これは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)が公開されるまで、
ずっと生涯1位だったのでちょっと特別かな(笑)

マイケル・ベイ監督によるテンポのいい『ザ・ロック』(1996)や、
歌が素晴らしかった『天使にラブソングを…』(1992)など、
トップ10に入る映画は全部オススメしたい。

昔の映画はいろいろ感慨深いよ。
今はシルバー世代に入りつつある役者さんたちの
若かりし頃の姿もそうだけど、
彼らがロマンチックなラブストーリーを繰り広げてるのも
新鮮に感じる。
『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)の
レイフ・ファインズとクリスティン・スコット・トーマスや、
『マディソン郡の橋』(1995)の
クリント・イーストウッドとメリル・ストリープとか、
不倫街道まっしぐらだし(笑)

そして、2022年4月1日(金)からは、
「午前十時の映画祭12」がスタート!
素晴らしい過去の名作と出会えますように。

身も心も焦がすような純粋な愛ゆえに不倫すら厭わなかった『イングリッシュ・ペイシェント』

2022年03月26日 22時32分16秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:10/27
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
ラブストーリー
不倫
戦争

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 マイケル・オンダーチェ『イギリス人の愚者』(1992)

【あらすじ】
1944年、第二次大戦末期のイタリア。
飛行機事故で全身に火傷を負い、
生死をさまよう男が野戦病院に運び込まれた。

看護婦のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は部隊を離れ、
廃墟の修道院で男の看護を続けていたが、
記憶を失くしていた男は、
断片的に甦る過去を話し始める。
アルマシー(レイフ・ファインズ)という名のその男は、
サハラ砂漠で地図を作っていたが、
そこでキャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)という
人妻と出会い―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1996年のアメリカ映画。
これでラスト。
有終の美を飾るにふさわしい面白さだった。

レイフ・ファインズやジュリエット・ビノシュなど、
今やベテランとして活躍する役者さんたちも、
公開当時は30代前半〜半ばぐらい。
レイフ・ファインズが、
ケビン・コスナーを思わせるかっこよさで。
ジュリエット・ビノシュが、
つるんとしたゆで卵みたいな美しさで。
クリスティン・スコット・トーマスが、
なんだかキャメロン・ディアスにちょっと似てて。

昔の映画を観ると、
今ではシニア層になりつつある役者さんたちが、
若かりし頃にロマンチック全開の
ラブストーリーなんかをやってる姿を見れるのはエモい。

◆最近目にしない愛欲にまみれた男女の絡み

物語はアルマシーが過去を回想する形で進んでいく。
彼は考古学の調査をしているんだけど、
同僚のジェフリー(コリン・ファース)の妻キャサリンに心奪われちゃう。
最初はアルマシーを拒絶していたキャサリンだけど、
徐々に距離が縮まっていき、ついに一線を超える、、、!

ここがもうすごかった。
アルマシーの欲望が強すぎて、
キャサリンの服破っちゃうから。
で、事が済んだ後に縫うっていう、
ちょっと笑っちゃう展開。
いや、縫うなら普通に脱がせなよって(笑)

その後も2人は事あるごとに逢瀬を重ねるんだけど、
アルマシーのセリフがキザを通り越して
若干気持ち悪いっていう(笑)
「君の味が口の中に残ってる」って。
食べたの?
ねえ食べたの?
いや、これぐらいツッコミどころのあるセリフの方が印象に残るし、
そんな意味わからないことを口にしてしまうほど、
心から相手を欲してるんだなって思うから、
僕は好きだけど。

軍人がクリスマスソングを歌う聖なるときでさえも、
構わず物陰で体を重ねるし、
その直後にキャサリンの夫と対面したりして、
もういつバレるのかっていうスリルもあった(笑)

◆言動が一致しない男

両者共に心から惹かれて合ってはいるんだけど、
アルマシーは最初に寝た後に
「僕は所有したくないしされたくない」という、
割り切った関係を望むようなことを言うんだよ。
なのに、途中から所有欲が出てきちゃって、
「これ以上関係は続けられないから別れましょう」
と言うキャサリンに、
「イヤだ。君は僕のものだ」
って駄々をこねるから子供かって(笑)
人の心は移り変わるとはいえ、
言ってることとやってることが矛盾してて、
ここも笑っちゃうところ。

◆歳を取らないウィレム・デフォー

今年に入って、
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)と
『ナイトメア・アリー』(2021)の2作品で見たウィレム・デフォー。
今から25年以上も前の本作にも出てるんだけど、
見た目がまったく変わってないのよ。
時を止めてるのかってぐらい変化がほぼない。
しかも演技力も相変わらずすごいから、
この人の安定したハイクオリティなアウトプットには
本当に驚かされる。

◆そんなわけで

不倫してまでお互いに相手を求めまくるほどの
気持ちの強さをビンビン感じるラブストーリー。
アルマシーのエピソードが強すぎて、
ハナのエピソードがやや弱いのが気になるけど、
クリスティン・スコット・トーマスとジュリエット・ビノシュの
体当たり演技はぜひ観て欲しい。

 

車が何台あっても足りないぐらい次々廃車になっていくマイケル・ベイ節炸裂の『アンビュランス』

2022年03月25日 18時11分16秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:26/48
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
アクション
カーチェイス

【原作・過去作、元になった出来事】
・映画
 『アンビュランス』(2005)

【あらすじ】
アメリカ、ロサンゼルス。
ウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)は、
妻の手術のために23万1,000ドルが必要となる。

その費用を借りるため、
ウィルは養子縁組の兄弟であり、
犯罪者のダニー(ジェイク・ギレンホール)に連絡を取る。
そこでダニーは3,200万ドルの銀行強盗に参加することを依頼。
犯罪に手を貸すことに躊躇するウィルだったが、
背に腹は代えられず、
渋々承諾。

しかし、強盗に参加するも失敗に終わり、
あろうことか彼らは逃走用に救急車を奪い、
人質として救急救命士と瀕死の警察官を乗せて逃走することに…。

【感想】
正直、ツッコミどころはありまくりだったんだけど、
さすがハリウッドの"破壊王"の異名を持つマイケル・ベイ監督。
見せ方がうまかった。
圧倒的な破壊映像で乗り切ってるのが相変わらずすごい(笑)
2005年の『25ミニッツ』という
デンマーク映画のリメイクらしいんだけど、
そのオリジナル版の作品は見つけられず。

◆王道の中にあるちょっと変わった設定

この映画、設定がなかなか面白い。
銀行強盗からの逃走ってのはよくある話だけど、
逃走車が救急車で、
そこには救急救命士と
ウィルが撃って瀕死の警察官が乗ってるっていう。
さっさと近くの病院に
ポーンと降ろしちゃえばよかったのではと思いつつ、
何時間も逃走が続く状態。
捕まるわけにはいかないので、
病院にも行けず、
救急車内でやれる範囲内での治療を行う
なかなかの無理ゲー映画。

しかも、逃げてるからスピードも速くて、
車内メッチャ揺れてて。
そんな状態の中で、
AEDによる心肺蘇生や、
ウィルからの輸血など、
その場しのぎの治療しかしてないのに、
最後の方、
警察官がちょっと元気になってて笑っちゃった(笑)
普通だったら死んでるような。。。

◆ゴミのように廃車になっていく車たち

マイケル・ベイ監督と言えば、
とにかくスピード感溢れる展開や大興奮のド派手アクションがウリ。
『ザ・ロック』(1996)や『アルマゲドン』(1998)、
『パールハーバー』(2001)といった単品作品から、
『バッドボーイズ』シリーズや
『ミュータント・タートルズ』シリーズ、
『トランスフォーマー』シリーズなども手掛けている。
個人的には、どんな監督でも当たり外れはあるから、
特定の監督のファンってことはないんだけど、
マイケル・ベイ監督のアクションだけは本当に大好きで。
この映画でもそれは如何なく発揮されていた。

常識離れしたハンドルさばきで
逃げ惑う救急車に翻弄され、
激突したり横転したりで
次々とスクラップになっていくパトカーたち。
「普通に追いかけるだけでそんなんなる?!」
って言いたくなるけど、
面白いほどにぶっ壊れていくシーンはスカッとする。
さらに、今回はドローンでの空撮も多用されていて、
特に高いところからの急転直下のカメラワークは迫力あった!
これはもう邦画では絶対に観られない、
ハリウッドならではのアクションだね。

◆どうやったらかっこよく映るかがわかってる撮り方

本作の主人公はウィルとダニーの2人で、
救命救急士のキャム(エイザ・ゴンザレス)は
準主役みたいな立ち位置。
なのに、ラストで胸を張って歩くキャムの姿、
完全に主役だったね。
スローモーションにして
「これまでのトラブル、全部あたしが片を付けました」
と言わんばかりのドヤ感。
「あれ、この人が主役だったっけ?」
って思わせる見せ方がうまかった(笑)

◆クライマックスが長すぎる

ひとつ難点を上げるとするならば、
クライマックスの長さ。
開始後30分経ったところから逃走劇が始まるんだけど、
それが残り90分近くも続くのよ。
さすがに大迫力のカーチェイスも、
そんなに続くとだれてくる。
だから、途中ちょっと飽きちゃった(笑)
何でもかんでも長くやればいいってもんじゃないな
ってのは強く感じたところ。

◆そんなわけで

ツッコミどころはあるものの、
それをカバーするぐらいのド派手な映像は圧巻。
これはやっぱり映画館で観てこそだよなって思う。
ストーリー性やキャラクター背景はあっさり目だけど、
迫力を求めるなら観てみてもいいかも。


ギレルモ監督にしては珍しい作風の現実的なサイコスリラー『ナイトメア・アリー』

2022年03月25日 12時46分38秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:25/47
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サイコスリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 ウィリアム・リンゼイ・グレシャム『ナイトメア・アリー 悪夢小路』(1946)

・映画
 『悪魔の往く町』(1947)

【あらすじ】
ショービジネスでの成功を夢見る野心溢れる
青年スタン(ブラッドリー・クーパー)がたどり着いたのは、
人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。

そこで読唇術の技を身につけたスタンは、
人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器に
トップの興行師(ショーマン)となるが、
その先には想像もつかない闇が待ち受けていた。

【感想】
ギレルモ・デル・トロ監督最新作の
サイコスリラー映画。
予告だけだとイマイチどんな話かわからなかったけど、
人生のアクセルを踏み込みすぎた
スタンの栄光と末路を描いた内容。

ちなみに、原作小説は未読。
また、1947年版の映画も
配信およびDVDレンタルがなかったので未鑑賞。

◆ファンタジー要素が一切ない意外性

ギレルモ監督が『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)で
アカデミー作品賞、監督賞を受賞したのは記憶に新しい。
それに代表されるように、
彼の作品ってファンタジーや特撮っぽい作品が多いんだよ。
『ヘルボーイ』シリーズや『ホビット』シリーズ、
『パシフィック・リム』シリーズなど。
さらに、日本の特撮やアニメ、
マンガにも詳しいようで。

そんな彼が手掛ける映画なので、
てっきりダークファンタジーかなと思っていたんだけど、
これがまた全然違ってね。
カーニバルを舞台に、
ショービズで成功しようと夢見るスタンの
栄枯盛衰を描いたサイコスリラー。
半魚人や巨大ロボットといった空想的なものは一切なく、
現実的な路線。
これはけっこう意外でした。

◆人生のアクセルの踏みどころの難しさ

この映画では、
暗い過去を抱えながらも、
パフォーマーとしての成功を夢見る
スタンの生き様が面白いポイント。
公式サイトのあらすじでは"青年"ってなってるけど、
演じたブラッドリー・クーパーは47歳だから、
青年って表現は適格じゃないと思うけど(笑)
透視術?を学び、持ち前の"華"を武器に、
トップにまで登りつめる彼だけど、
その先をどうしていくかっていうのが非常に興味深かった。

もちろん、あそこまでの地位になったら、
さらにその上を目指したくなるのはわかる。
わかるけど、彼はそこで手を出してはいけない領域に入っちゃった。
そこでキーパーソンとなったのが、
リリス博士(ケイト・ブランシェット)。
彼女は心理学者だけど、
人の心に漬け込み、
精神を揺さぶるという点においては、
スタンと同様の能力を有する存在と言えるだろうね。

その出会いから、
思いも寄らない方向へと物語が進んで行く。
途中、引き返せるチャンスはいくつかあったのに、
スタンは自身の過去におけるトラウマもあってか、
どんどんアクセル踏んじゃう。
「あそこで冷静になっていれば」って思うんだけど、
人生においてどこでアクセルを踏むべきか
っていうのは難しいなと思った。

◆圧倒的な存在感のケイト・ブランシェット

後半から登場するリリス博士。
彼女を演じたケイト・ブランシェットがさ、
これがもう本作のダークな世界観にバチハマりしてるんだよ!
"妖美"っていう言葉、
彼女のためにあるんじゃないかってぐらい、
ミステリアスでエロくて美しい。
後半の主人公は彼女なんじゃないかって思うほどの存在感。
生まれ変わったら、
ケイト・ブランシェットになりたい。

◆そんなわけで

これまでのギレルモ監督の作品とは打って変わって、
現実的な路線っていう意外性ある映画。
スタンの栄光と衰退の移り変わりを観るのも楽しいけど、
個人的にはケイト・ブランシェットの美しさだけでも
観る価値がある作品だと思った。

 

認知症の父を介護する娘の健気な姿に心打たれる『選ばなかったみち』

2022年03月23日 22時02分21秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:33/46
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
認知症

【原作・過去作、元になった出来事】
イギリスを代表する女性監督サリー・ポッターの弟が、
若年性認知症と診断され、
監督自身が介護で寄り添った経験をもとに
書き下ろされた物語。

【あらすじ】
ニューヨークに住む
メキシコ人移民レオ(ハビエル・バルデム)は作家であったが、
認知症を患い、
誰かの助けがなければ生活はままならず、
娘モリー(エル・ファニング)やヘルパーとの意思疎通も
困難な状況になっていた。

ある朝、モリーはレオを病院に連れ出そうとアパートを訪れる。
モリーが隣にいながらもレオは、
初恋の女性と出会った故郷メキシコや、
作家生活に行き詰まり一人旅をしたギリシャを脳内で往来し、
モリーとはまったく別々の景色をみるのだった―。

【感想】
タイトルから「もしも」の世界を描いた話かと思いきや。
認知症の父と介護する娘のヒューマンドラマでした。

◆介護する娘の姿が健気すぎて泣ける

この映画で一番注目したいのは、
何と言っても娘モリーだよ。
両親が離婚しているため、
介護に関しては母親はほとんどノータッチの様子。
ヘルパーさんの助けはありつつも、
身内では彼女一人で面倒を見ている生活。
父レオは意思疎通も図れないばかりか、
お漏らしもしちゃうし、
他人の犬を、
自分がかつて飼っていた愛犬と混同して
連れて行こうとするなど、
非常に手のかかる状態だ。

にも関わらず、嫌な顔ひとつ見せず、
父を非難することもなく、
まるで赤ちゃんをあやすかのように、
明るく優しく接している姿がね、、、
本当にいい子だなって。
まだ若いし自分の時間だって欲しいだろうに。
まあ、終盤はとあることが原因で
堪忍袋の緒が切れてしまうんだけど、
それでも父への愛が変わらなかったことには感動するよ。

それにしても、演じたエル・ファニングも役の幅が広い。
『マレフィセント』(2015)ではオーロラ姫、
『アバウト・レイ 16歳の決断』(2015)ではトランスジェンダー。
『ネオン・デーモン』(2016)ではやべぇモデル、
『ティーンスピリット』(2018)では歌手を目指す少女など。

◆認知症という題材の割には悲壮感がない

この映画、
認知症の父とその介護をする娘ってことで、
悲しい話かと思いきや、
実際はそうじゃない。
もちろん、介護の大変さは痛いほど伝わってくる。
でも、先にも書いた通り、
娘は父へ変わらぬ愛を捧げるし、
父は父でまるで冒険をしているかのような感じなんだよ。

父の頭の中には、
常に過去の思い出の世界が広がっていて、
そこでの言動がそのまま現実に反映されていることが多い。
だから、基本的には彼が見ている世界っていうのは、
思い出の世界が主軸になっているんじゃないかな。
楽しかったことも辛かったこともひっくるめて、
自分にとって印象深く残っている思い出こそが、
今の自分の世界のすべて。
それを、娘が優しく寄り添うことで、
時々現実の世界に引き戻されている印象を受けた。
まさに、思い出の世界と現実の世界を
行ったり来たりしているような感じ。
それ自体は悲観することでも何でもなく、
本人からしたらそれこそが日常なんだろうな。

◆そんなわけで

認知症を扱った映画と言えば、
個人的には『ファーザー』(2020)がものすごく印象に残っている。
あれは認知症の人の視点で描かれた世界が秀逸な作品だった。
この映画も、
認知症であるレオの頭の中では
何が起こっているのかが垣間見えるので、
少し似ているかもしれないな。
レオを演じたハビエル・バルデムの演技が、
思わず見入ってしまうほどのリアリティなので、
一見の価値はある映画。



残された限りある時間で些細な幸せをいっぱい噛みしめた『余命10年』

2022年03月22日 20時04分45秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:40/45
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
ラブストーリー
感動

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 小坂流加『余命10年』(2007)

【あらすじ】
数万人に1人という
不治の病で余命が10年であることを知った
20歳の茉莉(小松菜奈)。
彼女は生きることに執着しないよう、
恋だけはしないと心に決めて生きていた。

そんなとき、同窓会で再会したのは、
かつて同級生だった和人(坂口健太郎)。
別々の人生を歩んでいた2人は、
この出会いをきっかけに急接近することに——。

もう会ってはいけないと思いながら、
自らが病に侵されていることを隠して、
どこにでもいる男女のように
和人と楽しいときを重ねてしまう茉莉。

「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」。

思い出の数が増えるたびに失われていく残された時間。
2人が最後に選んだ道とは……?

【感想】
原作小説は未読です。
観客が若い子ばかりで肩身狭かった(笑)
しかも、自分以外ほとんどの人が号泣してて、
これもまた肩身が狭かった(笑)
メッチャ泣けるんだろうなというのはわかるんだけど、
個人的には涙が全然流れず。。。

◆生きることをあきらめている無欲な主人公

この映画、言ってしまえば
『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)タイプの話。
主人公もしくはその相手が病気で……っていう。
2000年代からその手の映画が多く作られたこともあってか、
そういうのをたくさん観てきた人からしたら、
正直観飽きてしまってるかもしれない。
まあ、今の若い子からしたら、
これがその子たちにとっての『セカチュー』足りえるんだろうけど。

今回は主人公の茉莉が
絶対に治らない病気にかかっているため、
冒頭からすでにオチが決まっている形。
そのオチに向かって、
茉莉がどういうドラマを紡いでいくんだと思うのだけど、
死がほぼ確定しているからか、
基本無欲なのよ。
その場その場の出来事は楽しんでいるけれど、
あれがしたいこれがしたいっていう意思表示もない。
ある意味、未来をあきらめているとも受け取れる。

実際に彼女の立場になったら、
同じような気持ちになるんだろうなっていう点ではリアルだけど、
映画として観るとちょっと面白みに欠けるかなあと。

◆和人の扱いがもったいない

そんな彼女を変えたのが、
和人との出会い。
最初は彼と深い仲になることに抵抗があった茉莉だけど、
和人の粘り強さ?によって、
彼との仲を深めていく。

和人自身も人生が思うようにいかずに、
自ら死のうとするぐらいには追い詰められてるんだよ。
ただ、ここがあっさりしすぎてて感情移入しづらい(笑)
どうやら父親と反りが合わない?ようだけど、
そこには全然触れられていなくてね。
彼の人物背景がもう少しわかったなら、
キャラクターとしてもっと魅力的に映ったと思うんだよなあ。

◆サブキャラをもっと活かして欲しかった

未来があるのにすぐ死のうとする和人に、
生きたくても生きられない茉莉は苛立ちを感じる。
だから、この2人って最初はあんまり合わなかったはずなんだよね。
それが、お互いにちょっとずつ前を向こうってことで、
距離が近づいていって。
自然な流れではあったけど、
ラブストーリーにしてはあまりにも淡々と進んでいくから、
全体的に印象深いところもそんなになかったかなあ。

こういうときこそ、
サブキャラをもっと活用して欲しい気もする。
茉莉の友達の沙苗(奈緒)と
和人の友達のタケル(山田裕貴)が、
もっと茉莉と和人の背中を押したり押さなかったり
っていう活躍があってもよかったかも。

◆終盤は涙の洪水ポイントかも

個人的にはなかなかハマれない要素が多いものの、
終盤はうるっとくる。
ようやく茉莉も自分の本音を言えるようになったり、
彼女の和人に対する感謝の気持ちがわかったり。
特に茉莉の妄想シーンは泣けた。

◆そんなわけで

オーソドックスな悲しいラブストーリーってことで
目新しさはないけれど、
とにかく泣きたい、感動したいっていう人は観てもいいかも。
ただ、過去に同様の映画を
たくさん観て涙しまくった人からしたら、
同じような展開にマンネリを感じる可能性も(笑)


『北斗の拳』をモチーフにしたおバカな純情アクションラブコメ『KAPPEI カッペイ』

2022年03月18日 22時48分26秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:35/44
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
ラブコメ
アクション

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 若杉公徳『KAPPEI』(2011-2014)

【あらすじ】
1999年7月に世界が滅亡するという
ノストラダムスの大予言を信じ、
乱世の救世主となるべく、
人里離れた地で、
殺人拳・無戒殺風拳(むかいさっぷうけん)の修行に
人生を捧げてきた男・勝平(伊藤英明)。

だが、世界が滅亡する気配など一向に感じられないまま、
師範(古田新太)から突如「解散」を命じられた終末の戦士たちは、
それぞれ東京の地へと流れ着く。

右も左もわからぬ大都会で、
気弱な大学生・啓太(西畑大吾)を助けたことをきっかけに、
天真爛漫な女子大生・山瀬ハル(上白石萌歌)と出会い、
人生で初めて“恋”を知る勝平。

そんな勝平の前に、
かつて共に修行に明けくれた、
守(大貫勇輔)・正義(山本耕史)・英雄(小澤征悦)ら
最強の漢(オトコ)たちも現れて…。

【感想】
おバカ全開で楽しめる映画だった(笑)
終末の戦士とか、みんな役者としてのキャラ崩壊しちゃってるから(笑)
原作漫画が全6巻しかない上にサクサク読めちゃうので、
漫画を読んでから観に行ったけど、
それを読んでても読んでなくても関係ないぐらいには、
わかりやすいストーリー。
原作との相違点はあるけれど、
6巻分全部2時間の尺に突っ込んでます(笑)

◆終末の戦士たちの鋼の肉体、ガラスのハートのギャップが笑える

この映画で一番面白いのは、
何と言っても勝平を始めとした終末の戦士たちのキャラ。
生まれた頃からずーっと人里離れたところで
修行漬けの日々だったので、
世間のことを何も知らないの。
それこそ、「女性」という存在すら初めて目にするほど。

彼らは解散した後、
それぞれの道を歩んでいくんだけど、
みんな揃いも揃って恋愛にうつつを抜かすんだよ。
女性なんて初めて見るのに。
男性と比べて、
胸やお尻が膨らんでいることすら初めて知るのに。

映画では主に勝平のエピソードがメインなんだけど、
ひたすら修行をしてきた身だから、
とにかく目標に向かって一直線。
あの手この手で意中の女性との距離を縮めようと必死。
戦士ってだけあって、
全盛期のシュワちゃんみたいな肉体をしてるんだけど、
精神がメチャクチャ弱くてね。
片想いの苦しさや失恋のショックに耐性がないから、
屈強な男に見えて、
妙にナヨナヨしてるところもあって。
映画では40代、
原作では30代とけっこうないい歳なんだけど、
中学生かってぐらいの恋愛偏差値しかないのが笑える(笑)
そのギャップを楽しむのが、
この映画を楽しむポイントかな。

◆面白さ的には原作の方に軍配が上がる

原作を読んでいても読んでいなくても、
話の理解には大して差はないってさっき書いた。
とはいえ、6巻分を2時間に突っ込むからね、
どうしても映画はかなり駆け足になる。
けっこう唐突な展開も多いから、
そこは原作を読んでいた方が腹落ちはしやすいかも。

あと、原作の方が下ネタが多い(笑)
これはもう中学生男子が喜びそうな内容のオンパレードなので、
実写化はできないだろうな。。。(笑)

ただ、キャスティングはけっこう原作に近いなって思ったし、
無駄に凝ったCGのエフェクトなんかも
コメディとしていい味出してた。
個人的には、守を演じた大貫勇輔が好きだったなー。
『ルパンの娘』の円城寺さんを思わせる展開が終盤にあるので、
ファンの人は楽しみにしていて欲しい。

◆そんなわけで

原作を読んでいないと、
急ぎ足な展開に内容の薄さを感じてしまうかもしれないけど、
バカバカしい映画を観たいならピッタリかも。
終末の戦士たちは、
もう少し筋肉質だったらキャラへの愛がもっと増したかも(笑)


沖縄を舞台とした笑いと涙のタイムスリップロックンロール映画『ミラクルシティコザ』

2022年03月17日 20時38分36秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:23/43
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
コメディ
ヒューマンドラマ
感動
音楽

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
沖縄市コザ。
かつては隆盛を極めた街だが、
現在はゴーストタウンの一歩手前!?
そこで暮らす翔太(津波竜斗)は、
特にやりたいこともなく、
惰性な日々を過ごしていた。
彼にはちょっと変わった祖父ハル(小池美津弘)がいた。
ハルはかつて、
ベトナム戦争に向かう米兵たちを熱狂させた
伝説のロックンローラーだった。

ある日、自慢の祖父ハルを交通事故で亡くし、
失意の翔太の前に現れたのは、なんと死んだはずの祖父。
「やり残したことがある」と、
ハルが翔太の体をのっとると、
行き場のなくなった翔太の魂は、
タイムスリップして1970年のハル(桐谷健太)の体へ入ってしまう。

翔太はロックンローラーだったハルとして、
ベトナム戦争特需に沸く70年代の沖縄で、
驚きの真実を知り、
未来へのサプライズを仕掛けようとするが…。

【感想】
タイムスリップにロックンロールに笑いに涙にと、
なかなか情報量の多い映画ではある。
でも、かつて沖縄にあった
コザ市(日本で唯一のカタカナ表記の地名)を舞台とした
時空を超えた壮大な物語は、
個人的にとても楽しめる内容だった。

◆コメディ寄りで気軽に観れる前半
この映画は前半と後半で受ける印象が違う。
前半はコメディの要素が強い。
住んでいる街が再開発でなくなろうとしている中、
惰性で生きている翔太と、
かつてロックンローラーだったじいさんたちの牧歌的なやり取り。
交通事故で亡くなった祖父が
幽霊となってひょっこり現れるポップさ。
いきなり50年前にタイムスリップしてしまった
翔太に訪れるピンチ。
などなど、軽いノリで観られる感じ。

タイムスリップの仕組みは
特に触れられていないので、
SF好きとしては気になるところではあったけど(笑)

◆シリアス寄りで感動的な後半

後半からは、
もう少しシリアス。
家族を捨てたと聞いていた
若かりし頃の祖母の真実。
バンドメンバーに入りたい
米兵ビリー(ニッキー)との交流。
当時の米兵と沖縄民との間にあった軋轢。
などなど、家族の話やアメリカとの関係性は、
涙なしには観れないエピソードが印象的。

◆伝説のロックンローラーたち

この映画を観る上で知っておきたいのが、
当時の沖縄を盛り上げたロックンローラーたちの存在。
僕は全然知らなかったんだけど、
有名なバンドがいくつも生まれたそう。
本作においては、
「紫」というバンドが全面協力しているようで。
沖縄県出身ロックバンドの草分け的存在らしいんだよね。
しかも、現在でも精力的にバンド活動を行っているらしく、
バリバリの現役なんだとか。
その生き方がまさにロック(笑)

◆そんなわけで

ポスターのデザインからは想像できないほど、
ファンタジーでロックな内容。
笑いあり涙ありで、
個人的にはオススメしたい。
特に、当時の沖縄を知る世代の人からは、
より共感できる部分があって楽しめるんじゃないかと。

ちなみに、キャスト・スタッフひっくるめで、
そのほとんどが沖縄県出身または在住というのもまた面白い。


結婚式の"あるある"と"ないない"を織り交ぜたウェディングコメディ『ウェディング・ハイ』

2022年03月16日 21時39分14秒 | 映画

2022年日本公開映画で面白かった順位:34/42
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】
コメディ

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
結婚式、それは新郎新婦にとって人生最大のイベント!
プランナーの中越(篠原涼子)に支えられ、
新郎・彰人(中村倫也)と新婦・遥(関水渚)も幸せな式を迎える、
はずだった…。

しかし、スピーチに命を懸ける上司・財津(高橋克実)をはじめ、
クセ者参列者たちの熱すぎる想いが大暴走!
式はとんでもない方向へ…!?
中越は披露宴スタッフと共に、
数々の問題を解決しようと奔走するが、
さらに新婦の元カレ・裕也(岩田剛典)や、
謎の男・澤田(向井理)も現れて…。

果たして、“絶対にNOと言わない”ウェディングプランナーは、
すべての難題をクリアし、
2人に最高の結婚式を贈ることが出来るのか――!?

【感想】
結婚式にまつわるあれやこれやを
面白おかしく仕立て上げた映画。
いろんな登場人物が出てきてわちゃわちゃする、
邦画の王道コメディのような形。
式を挙げたことある人、
参加したことある人なら、
なおさら楽しめるお話かなと。

◆面白くなるのは後半から

正直、個人的には前半はあんまり面白くはなかった(笑)
式にまつわるあるある
(夫が乗り気じゃないとか、誰を呼ぶか悩ましいとか)がメイン。
過去に何回も結婚式に参加したことがある人なら、
耳にタコができるぐらい聞く話。
これがけっこう長くてダラダラ進むから、
ここは耐えどころだと思った。
隣に座っている人なんか、
いびきをかいて寝てしまうぐらい(笑)

この映画が面白くなってくるのは後半、
実際に式が始まってから。
プロフィールムービーや
新郎上司によるスピーチ、
新婦上司による乾杯の挨拶など、
お決まりのパターンからスタート。

ここが今回の騒動のすべてのきっかけ。
お願いされた人たちが「自己実現の場」と言わんばかりに、
TPOをガン無視したパフォーマンスをぶちかましたことで、
式は思わぬ方向へ。
こういうのに命を懸けちゃう人がいるのもわかるし、
かといって「それはやりすぎだろ」
っていうありえなさのバランスがよかった(笑)

◆ウェディングプランナーの神がかった手腕

致命的な状況に陥った事態を収拾するのが、
ウェディングプランナーである中越の腕の見せ所。
これがまた秀逸なんだよ。
誰も傷つけず、
何も失わず、
新郎新婦の希望をしっかり取り入れて、
まわりの人を笑顔にした彼女のマネジメントは圧巻。
実際ああいう事態になったら、
何とかするマニュアルはあるんだろうけど、
それにしてもすごい。
個人的には、コメントムービーの作成を担った
相馬(中尾明慶)の編集力に驚いたね。
自分も作ったことあるけど、
まさかああいうやり方があるとは(笑)

あと、この映画で徹底してるなって思ったのが、
中越を演じた篠原涼子の立ち位置。
個性的で目立つキャラクターかと思いきや、
逆に全然目立ってなくて。
むしろ存在感は薄い。
ウェディングプランナーとして一歩引いた立場から、
主役である新郎新婦を立てるっていう
ポジションを貫いているんだと思った。

◆終盤はファンサービスみたいなもの

ラスト30分はあんまり本編とは関係ないんだけど、
小学生が喜びそうなまさかすぎるオチ。
個人的には笑えたけど、
岩田剛典のファンはどう見るんだろう(笑)

もしここの好みが分かれるとしたら、
この映画、実際に多くの人が面白いと感じるのは、
中越の手腕が発揮される真ん中30分ぐらいかも。

◆そんなわけで

結婚式に参加していればしているほど、
この映画における式の
"あるある"と"ないない"のバランスのよさがわかると思う。
ちょっと登場人物が多すぎて、
全体的にキャラクターが薄くなってしまったのと、
前半がやや退屈だった部分は否めないけど、
内容的には楽しい映画だった。

 

ぜひ母娘で観てもらいたい内容だけど、日本のアニメと韓国アイドルとハルクの要素が強烈だった『私ときどきレッサーパンダ』

2022年03月13日 01時32分33秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:12/41
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:☆☆☆☆☆ (配信での鑑賞)

【ジャンル】
3DCGアニメーション
ディズニー
ピクサー
コメディ

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
舞台は2002年のカナダ・トロントのチャイナタウン。
そこに暮らすメイは伝統を重んじる家庭に生まれ、
両親を敬い、
母親の期待に応えようと頑張る13歳の女の子。
でも一方で、
親には理解されないアイドルや流行りの音楽も大好き。
恋をしたり、
友達とハメを外して遊んだり、
本当はやりたいことがたくさんある。

母親の前ではいつも“マジメで頑張り屋”のメイは、
ある出来事をきっかけに本当の自分を見失い、
感情をコントロールできなくなってしまう。
悩み込んだまま眠りについたメイが翌朝に目を覚ますと…
なんと、レッサーパンダになってしまった!

この突然の変身に隠された、
メイも知らない驚きの〈秘密〉とは?
一体どうすれば、
メイは元の人間の姿に戻ることができるのか?
ありのままの自分を受け入れてくれる友人。
メイを愛しているのに、
その思いがうまく伝わらずお互いの心がすれ違う母親。
様々な人との関係を通してメイが見つけた、
本当の自分とは――。

【感想】
ピクサー長編作品第25作目。
少女の成長と母娘の関係性がテーマという点では王道だけど、
世界観がこれまでのピクサー作品にはない独特な雰囲気。
面白かったけど、個人的にはやや受け入れられない部分もあった。

◆親からのプレッシャーと本当の自分のせめぎ合い

伝統を重んじる母親の前ではいつもいい子なメイ。
でも、彼女の本心は別のところにある。
男の子や大爆音で聞く音楽、
チャラい踊りが大好き。
ただ、母親を喜ばせるためにそういう面は隠している。

こんな話は日本のドラマでもよく見る。
親の機嫌を窺って、
自分の本心を隠してしまう子供。
もちろん、親は子供のためを思って厳しくしてるんだけど。
ついつい口うるさくなって、
関係はギクシャク。
その点だけを見れば、
特に母娘の関係にある人にはより共感できる話だと思った。

◆異文化の要素を取り入れまくった設定

この映画、
いろいろチャレンジングだとは思ったのよ。
例えば、キャラクターの目。
感情が高ぶったときにキラキラウルウルする。
ここがものすごく日本のアニメ、
それも少女アニメっぽくて。

それもそのはず、
本作の監督であるドミー・シーは、
『美少女戦士セーラームーン』や『らんま1/2』を見て育ち、
宮崎駿からも影響を受けているそう。
今回も、キャラクターの感情をより豊かにするため、
日本のアニメのスタイルを取り入れたようで。
日本人には親近感のある表現ではあるけど、
何かと多用するから、
ちょっと浮いちゃったかな。

他には、メイが肌身離さず身に着けているのがたまごっちだったり。
彼女が大好きなボーイズ・グループ
"4★TOWN"が韓国アイドルっぽかったり。
過去と現在の流行りを取り入れているのも本作の特徴。
なんだけど、やや迎合しすぎているような印象も。

◆てゆーか、ハルクじゃね?

感情が高ぶるとレッサーパンダに変身してしまうメイ。
変身すると体は大きくなり、
力も強くなる。
心を落ち着け、
平穏を取り戻すと元に戻る。
マーベルのハルクを感じた人は少なくないはず(笑)

◆気になる日本語表記

ピクサー作品をよく見る人にはおなじみのポイント。
それは、作中に出てくるテキストが一部日本語になっていること。
字幕っていうことじゃなくて、
看板とか名札とかの表記が日本語でデザインされているのね。
これがけっこうな違和感で。
特に洋画を字幕で観る人は余計にそう感じるかも。
耳に入るのは英語なのに、
目に映るのは日本語。
舞台が日本とかならまだしも、
バリバリのカナダだし。
しかも、今回日本語表記のところがけっこう多くて。。。
普通に英語表記のままでいいんだけどなあ。

◆そんなわけで

総じて楽しめる内容ではあった。
でも、個人的には気になるところも多かったかな。
日本のアニメ的な表現や
日本語表記の多さがどうしても浮いて見えちゃって。
終盤のライブ会場のシーンとかも
「なんでそういう方向性になるんだw」って感じで戸惑ったし(笑)

小さい子供とかにはハマりやすいのかなー。
ストーリー的には母娘で観てもらうと、
また違った感じ方があるかもしれないけど。

 

最強のスーツとマシンを手にした探偵映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』

2022年03月11日 18時19分10秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:6/40
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
スーパーヒーロー
DC
サスペンス
スリラー
アクション

【原作・過去作、元になった出来事】
・漫画
 『バットマン』(1939-)

・映画
 『バットマン』シリーズ(1989-1997)
 「ダークナイト・トリロジー」(2005-2012)
  DCエクステンデッド・ユニバース(2016-)

その他、テレビドラマ、アニメ、ゲームなど。

【あらすじ】
優しくもミステリアスな青年ブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)。
悪と敵対する"バットマン"になって2年が過ぎた。

ある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生。
犯人を名乗るリドラー(ポール・ダノ)は、
犯行の際に必ず"なぞなぞ"を残していく。
警察や世界一の名探偵でもあるブルースを挑発する
史上最狂の知能犯リドラーが残した最後のメッセージは――

「次の犠牲者はバットマン」

社会や人間が隠してきた嘘を暴き、
世界を恐怖に陥れるリドラーを前に、
ブルースの良心は狂気に変貌していく。
リドラーが犯行を繰り返す目的とは一体――?

【感想】
バットマンが単独主人公の実写映画としては累計で第8作目。
とはいえ、過去作との繋がりは一切ないので、
本作がバットマンデビューだとしても問題なし。

◆これは探偵映画です

バットマン自身は歴史あるスーパーヒーロー。
でも、この映画がスーパーヒーロー映画かと言うと、
そうではない。
スーパーヒーロー映画って、
特殊能力を持ったヒーローたちが、
敵と壮大な戦いを繰り広げるっていう流れがメイン。
個人的には、
敵とド派手なバトルを繰り広げる話の方が
爽快感あって好きなんだけど、
今回のバットマンは全然違って。
ヴィランがなぞなぞを出してくる
リドラーっていうこともあってか、
従来のように敵を倒す話ではなく、
謎を解いて犯人を捜す探偵映画だったのよ。
持ち前の圧倒的な知識と観察力を駆使しながら、
犯人を追いかけていくサスペンススリラー。
これまで敵とガチバトルを繰り広げることが多かった
バットマンと大きく違うから、
好みは分かれるかもしれない。

◆若くて暗い新卒2年目のバットマン

本作ではバットマンが現れて2年が過ぎた時期。
バットマンことブルース・ウェインの設定としては、
億万長者、慈善家、プレイボーイと三拍子揃った人物。
マーベルのトニー・スタークを思わせるんだけど、
本作ではこれまでのブルース・ウェインの中で一番暗い。
もともとバットマンの世界観って、
腐敗して治安が悪すぎる
ゴッサム・シティが舞台ってこともあって、
作品全体としてどんよりしてるんだけど、
それを差し引いても暗すぎる。
作中、一度も笑顔を見せないし。
きっと、バットマンになってまだ2年だから、
心の余裕がないのかもしれない。

でも、そこが今回のブルース・ウェインの魅力かなとも思う。
殺された両親の復讐もまだ胸に秘めつつ、
姿が見えないリドラーから次々に出されるなぞなぞに苦戦。
どんどん増えていく犠牲者と、
改めて痛感するゴッサム・シティの腐敗っぷり。
そんな辛い中でもあきらめずに犯人を追い続けられるのは、
まだ若さがあるからかも。

◆実在の殺人犯をモデルにしたリドラー

今回のヴィランであるリドラー。
かつて『バットマン フォーエヴァー』(1995)では
ジム・キャリーがコミカルな演技を見せていたけど、
本作ではシリアスで凶悪な殺人犯。
アメリカで実際に起こった
現在でも未解決の"ゾディアック事件"の犯人像を
モデルにしているらしい。

彼はゴッサム・シティの市長をはじめ、
正義のシンボルとされている人たちを次々に殺していく。
なぜなら、正義だと思われていた彼らこそ、
裏では正反対のことをやっていたから。
リドラー自身、
幼い頃に嘘や裏切りに絶望した経験がある。
だから、今回の殺人にはリドラーの想いや、
社会の歪みを正そうとする
彼なりの正義があったのかもって考えると、
バットマンという作品の深さも感じる。

◆そんなわけで

敵をボコボコにするスーパーヒーロー映画を想像していくと、
だいぶ方向性が違うことに驚くかもしれない。
でも、ゴッサム・シティの闇を正そうとするバットマンの、
苦悩しながらも奮闘する探偵映画としてとても面白かった。
『アヴェ・マリア』をメインに添えたBGMもよかったし、
ぜひ映画館で観て欲しい作品。


強制送還によって家族が引き裂かれる危機に瀕した姿が辛い『ブルー・バイユー』

2022年03月09日 22時18分02秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:11/39
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
移民
強制送還

【原作・過去作、元になった出来事】
何人かの実体験を元に製作。

【あらすじ】
韓国で生まれ、
わずか3歳でアメリカに養子に出されたアントニオ(ジャスティン・チョン)。
しかし、自身は知る由もない30年以上前の書類不備で、
国外追放命令を受けてしまう。

アメリカの移民政策で生じた法律の隙間に落とされてしまった彼は、
愛する家族との暮らしを守れるのだろうか。

【感想】
とても心が痛む映画だった。
主人公の見た目が同じアジア人っていうことで、
より感情移入しやすくて辛い。。。

◆自分に落ち度がないのに法的に裁かれてしまう現実

この映画の題材は、
移民の強制送還。
でも、そのきっかけは不運すぎる偶然だった。

アントニオは妻のキャシー(アリシア・ヴィキャンデル)と
娘のジェシー(シドニー・コワルスケ)と
3人で仲良く暮らしていた。
ジェシーはキャシーの連れ子で、
アントニオと血の繋がりはない。

ある日、スーパーでアントニオとキャシーが
些細ことから口論していたところを、
巡回中の警官が見つけちゃって。
それが、ジェシーの実の父親でもあるエース(マーク・オブライエン)と、
同僚のデニー(エモリー・コーエン)。
このデニーが本当にひどい野郎でね。
アジア人のこと嫌いなんだろうか、
アントニオは何も悪いことしてないのに、
ちょっとした言い合いから逮捕。

で、アントニオも前科があるから、
捕まった後にいろいろ調べられちゃう。
そこで、国際養子縁組でアメリカに渡ってきたことがわかるんだけど、
30年前の書類に不備があって、
韓国に帰らないといけない状況に。
まあ、その書類の不備の責任は、
アントニオの養父母にあるんだけど、
すでに他界。
自分のまったく知らないところで、
自分に何の責任もないのに、
国外追放されちゃう状況がもう辛い。
しかも、彼にはキャシーとの間に新しい子供を授かっていて、
このままだと家族がバラバラになっちゃうんだよ。

◆アントニオに訪れる不幸の連続

残された選択肢は強制送還を受け入れるか、
もしくは公聴会でアントニオの有用性を訴えて判決を委ねるかの二択。
前者は受け入れ難いので、
後者でがんばろうとするんだけど、、、
これがまたアントニオにとって辛いことで。
有用性を訴えるってのは、
彼がいかにまわりに貢献していて、
このまま国外追放されるとデメリットになるかを
証明しなくちゃいけない。
もちろん、タダではなく、
高額な費用が必要になる。

そんな大変な状況にも関わらず、
またあのアジア人嫌いのデニーも絡んでくるし、
「こんなに不幸なことって連続するの?」
ってぐらいアントニオの置かれた状況が辛すぎた。

◆決してフィクションではない出来事

この話自体は、
いくつかのインタビューを元に作られている話だけど、
アントニオのようなケースは多いらしい。
1945年~1998年の間に
国際養子縁組を結ばれてアメリカに来た人たちの中には、
市民権を持たない人が大勢いて、
実際に強制送還された人もいるとか。

日本にいると、
まず移民とかって目にしないし、
映画でも白人以外の外国人がそういう役どころだったりして、
かわいそうだとは思いつつも、
遠い海の向こうの話として、
身近に感じることはなかった。
でも、今回アントニオを演じたジャスティン・チョンは
韓国系アメリカ人で、
見た目的にはアジア人。
だから、それだけで感情移入しやすいってのはある。

デニーからの絡みだって、
アジア人差別の延長だよなって感じるんだけど、
こんないたたまれない気持ちになるのかって思った。
黒人差別はよく映画の題材であるけど、
アジア人差別を描いたのって観たことない。
昔の映画だと、
アジア人がバカにされたような扱いなのは目にするけど。
『ティファニーで朝食を』(1961)に出てきたユニオシの
メガネ、出っ歯、つり目とか。

◆そんなわけで

とても興味深い内容なのでオススメ。
主人公の置かれた立場に加えて、
娘ちゃんの演技にも号泣なので、
ハンカチ必須の映画です。


将軍→奴隷→剣闘士となった男の復讐と自由を勝ち取った歴史映画『グラディエーター』

2022年03月07日 23時47分16秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:6/26
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
歴史映画
アクション

【元になった出来事や原作・過去作など】
帝政ローマ時代中期を舞台にした出来事

【あらすじ】
西暦180年。
歴戦の勇士マキシマス将軍(ラッセル・クロウ)は、
皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)から絶大な信頼を得て、
世継ぎに指名される。
だが、それを妬んだ皇帝の実子
コモドゥス(ホアキン・フェニックス)は皇帝を殺害し、
マキシマスにも処刑の命が下される。

追手を振り切ったものの、
奴隷商人に捕らわれたマキシマスは、
プロキシモ(オリヴァー・リード)という男に買い取られ、
剣闘士の道を歩むことになるのだが―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
2000年のアメリカ映画。

当時36歳だったラッセル・クロウと、
26歳だったホアキン・フェニックス。
若さを感じながらも凄まじい演技力に圧倒される内容だった。

また、プロキシモ役を演じた
オリヴァー・リードは本作の撮影中に亡くなり、
まさかの遺作となってしまった。

◆身も心も満身創痍なのに戦い続けるマキシマスの姿が屈強すぎる

ラッセル・クロウが演じたマキシマスは架空の人物。
でも、マルクス・ノニウス・マクリウスという
実在した執政官がモチーフになっているようだ。
彼は戦で負け知らずの名将な上に人柄も誠実で、
時の王アウレリウスから絶大な信頼を得ている。
それが不幸の始まりとも言えるのが、
この物語の悲しいところ。

アウレリウスには実子コモドゥスがいたけど、
歪んだ心を持っていることを見抜き、
血の繋がりのないマキシマスに世継ぎを指名。
それに怒り狂ったコモドゥスは父を殺し、
マキシマスに処刑の命令を下すという、
マキシマスからしたらとばっちりみたいなもんである。

何とか処刑を免れるも、
妻と子は無残に焼き殺され、
自身も奴隷承認に買われて、
グラディエーターの道に。
そこから、アウレリウスの遺言を実現すべく戦い続けるんだけど、
肉体的にも精神的にも辛い中で、
よく腐らずにいられるなと感心する。
家族を殺された復讐心と
先代の王に対する忠誠心の強さゆえなんだろうなと思うけど、
とても魅力的なキャラクターだった。

◆共感できるコモドゥスの心情

今回、悪役とされているコモドゥス。
確かに傲慢で自分勝手な思想の持ち主ではあるけれど、
彼の境遇もなかなか辛い。
自分だって国や父のことを想って行動してきたのに、
父が王に求める資質とは違うと一蹴。
本人からしたらこの溢れる野心を認めてもらいたいのに、
それが叶わない寂しさがある。

そんな状況で、
父だけでなく、姉(やや異性として見ていた節がある)からの愛も
マキシマスに獲られてしまった。
自分が欲しかったもの、持っていないものを、
マキシマスは持ってる。
もともと野心が強く、
情緒不安定なところも踏まえると、
彼に対して尋常じゃない嫉妬を抱えるのは、
とても自然なことだと思った。
そこは同情できる。
とはいえ、彼の人間性を肯定できるわけではないけれど。

◆再現度が高すぎるシーンの数々

今回の舞台は古代ローマ帝国。
それをセットとCGで見事に再現されているのも、
本作の特徴のひとつと言える。
冒頭の大迫力の合戦シーンはものすごかったし、
特に中盤以降に登場するコロッセウム内での戦いなんかは、
まわりの観客の多さもあって、
ものすごく臨場感ある仕上がりになっていた。
古代ローマ帝国がどんな雰囲気だったのかを知るには
いい教材とも言えるかもしれない。

◆そんなわけで

古代ローマ帝国という壮大な世界観。
その中で起こる、
将軍という立場を追われて剣闘士にまで成り下がった男と、
彼に欲しいものをすべて奪われた男の私情のもつれ合い。
そんな濃いストーリーに加えて、
視覚的にもドラマチックなので、
ぜひ映画館で観て欲しいなと思える作品。

それにしても、日本版のポスターがチープで、
映画の世界観と全然合ってないな。。。