風録blog

風のごとく過ぎ去る日々を録したい

書評:宇宙はこうして誕生した

2008-07-28 16:02:26 | Weblog

佐藤勝彦(編著) ウェッジ選書 16

私の趣味本に近い領域である。理系のくせに何か理解できない。

宇宙は無の状態から10のマイナス44乗後時間に相転移が起きた。
その時の温度は10の32乗度K。とっても暑いということはわかる。
では無の状態とは何か。
真空より、もっとおおもとの状態、空間が「非存在」と「存在」の間を
揺れ動いている状態のことらしい。
そこから「トンネル効果」により、あるとき宇宙がポロっと出来たと
書いてある。
そのあと急激に膨張するインフレーション時代と言うのがあって
これによって曲率0のかつ中身が一様な宇宙が誕生した。
そこから有名なビッグバーンがはじまり、今、宇宙は137億年
の年齢らしい。

この本のおもしろいところは、宇宙科学者が、生物学者を
批判していることである。批判の内容は以下。
宇宙科学者は、なぜ宇宙は誕生したか、
なぜ膨張するのか、将来はどうなるのか、を考えようとしているのに
対し、生物学者は、生物はこのように進化した、環境がこういう時代は
こうなって、環境が変わるとこうなって今はこうなっている、という
ことしか言わない、本質的なアプローチをしていない。
もっと本質的なアプローチをしてくくれれば、有機物以外で構成
される生物の存在や、宇宙における生物について仮説が作れる
のにそういうアプローチをしようとしない。

こんなところにこんな論争やフラストレーションが存在するとは
思わなかった。学問も相当に部分最適で、もっと全体最適な
インテグレートされた学問にしてゆかないといけないと言う
ことだろう。
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書評:白い航跡(上、下)

2008-07-22 13:42:31 | Weblog

単行本です。
講談社文庫 著者:吉村昭

友人に薦められて読んだ。自分では多分、手に取らない本である。
江戸から明治にかけて、ものすごく頑張ったお医者さんの本である。
主人公は高木兼寛(たかぎ かねひろ)という実在した人物。
慈恵医大病院、慈恵医大を作った人であり、
特筆すべきは脚気(かっけ)という病気を根絶させた人である。
明治時代の医者の主流はドイツ医学であったが
彼はイギリスに留学した関係もあって、イギリス医学を専門としていた。
何が違うかというとドイツ医学は、根本原因を追究する医学であり、
細菌をみつけたりすることが得意であるらしい。
一方、イギリス医学は現場主義でまず病気を治すことが大切であり
根本原因は結果としてわかればさらに望ましいというスタンスである。
脚気について兼寛は、海軍での食事を分析し、比較し、
麦ご飯を食べさせれば脚気にならないという仮説を編み出し、
それを海軍省に頼み込んで実際の航海で実験させてもらって
仮説が正しいらしいということを証明する。
ドイツ医学に心酔しているものたちは根本原因もわからずに、
麦ご飯を食べれば脚気にはならない、と言い放つ兼寛に敵対する。
ドイツ医学者は脚気は細菌が原因とも言い出す。
こういう環境の中で、自分の信ずることをやりとげ、
明治天皇にも上申するすごさ、
一方、自分の立てた仮説がもし違っていたら自分はどうすれば良いのか、
と悩み痩せていく姿、
人間の信念と弱さが同居していてとてもおもしろかった。
兼寛はアナライザー的な性格でもあり、アナライザー的性格の私に
大きなインパクトを与えた。
もういとつは、明治の人間の「自分が日本のリーダー」である自覚と
国民を思う気持の真剣さにも感心した。
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書評:No1理論

2008-07-01 16:08:53 | Weblog

著者:西田文郎
発行所:三笠書房

・ある分野でのNo1になるためには、という本
・先日講演を聞いた「居酒屋てっぺん」の大嶋社長お薦めの本である。
・話は簡単。自分がイメージしたとおりの人間になる、ということらしい。
・「うまくいかないだろう」というイメージを持っていれば、うまく行かない。
・成功したい、と思うことは「成功しないかもしれないけど成功したい」と
言うイメージが脳に刻まれるため、成功しない
・要は「池ポチャ」のイメージがあれば、ゴルフ球は池に落ちる、
ということ。
・これを乗り越えるためには、
①自分の成功イメージを具体的にイメージアップして、
②今の自分を振り返り、
③その差分を明らかにしてまっしぐらに進むこと、
だと書いてある。
・ソフトバンクの孫社長は、会社を始めて作ったときに、
札束を1丁、2丁と豆腐のように、
実際の1兆、2兆を数えたい、そうなりたいとイメージされたとのこと。
・私はこの本を読んで、コーチングで有名な
ボストンフィルハーモニー管弦楽団のベンジャミン・ザンダー指揮者が、
生徒に1年後(2年後?)に「非常に上手になりました。
具体的にはこういうことができるようになりました、ザンダー先生、
ありがとう」という御礼の手紙を、
最初の授業で書かせる話を思い出した。
・大嶋社長が言われていた「できる、簡単、ちょろい」というもの、
まず頭に「できる、簡単、ちょろい」を植えつけるということだろう。
・「私は非常についてる人間だ、だから必ず成功する、ますますよくなる」
と皆さん、頭(前頭葉)に刻みましょう。
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