風録blog

風のごとく過ぎ去る日々を録したい

ダライ・ラマに恋して

2008-12-12 15:06:53 | Weblog

たかの てるこ 著

最近、話題になることの多いダライ・ラマ14世はどこに住んでいるのか。
この質問に正確に答えられる人は少ないだろう。
勿論チベット自治区ではない。正解はインド北部のダラムサラという
場所である。
この本は、たかのてること言う一人旅が好きな女性が書いた旅行エッセイ
であり、チベット自治区訪問の後、インド北部のチベット仏教徒が多い
ラダックで、インドに昔亡命したチベット人や昔からその地に住む
チベット仏教徒に接し、最後にダラムイサラに行って
ダライ・ラマ14世に接見する旅行記である。

たかのてるこの旅シリーズは突然世界のどこかに旅に出て、
そこで誰とでも話す、誰のうちにも泊まってしまう、そしてその地の
人の考え方、気持ちを知るというものである。そして、もうひとつ、
彼女の思いきりの良さと関西人らしい突っ込みがおもしろい。

今回のチベットにまつわる旅は彼女の失恋直後の旅であり、
彼女自身が人生を見つめ直しながらの旅となっている。
さらに、チベット仏教のことを知らなかった私には大変勉強になった本でも
あった。今回はそのチベット仏教について書きたい。

チベット仏教は輪廻転生、因果応報が徹底している。
日本の仏教では、死んだ人はあの世に行くが、輪廻転生ということが
徹底されれば、姿かたちを変えて生き返ることとなる。
と言うことは、今生きている姿と言うのは、あるひとコマという
ことになり、今良い行いをすることが次のひとコマに大きな影響を
与えることになる。
また因果応報であるので、自分が良い目に合おうとすれば、
人にやさしく親切にすることが大切であり、結果として
自分も良い目に合うことになる。
この本を読むと、この輪廻転生と因果応報によって、穏やかで
親切なチベット仏教徒が出来上がり、その頂点がダライ・ラマという
ことになる。あのダライ・ラマの笑顔にはそういうバックグラウンドがあるの
だろう。

この思想を追求すると、
・周りを大切にすることにより、自分も生かされる
・今を大切にする、今というのは連続離散型プロセスの1プロセスであり、
このプロセスの出来が次につながる
ということになる。
これは人生を全うする、仕事をしっかり進める上で重要な要素である。

私はチベット仏教徒ではないが、こういう気持を維持してゆくことは大切だろう。

最後にチベット仏教徒の青年が言っていることが印象的だった。
「大事にすること」と、「執着すること」とは違う。
この世は常に変化する。人の気持も置かれた環境も移り変わる。
変化しているにも関らず、自分だけが大事だと思っていることが「執着」、
それとは異なり、その時々で自分のまわりにいる人、物、起こる事を大事にし
そして変化に合わせて自分も変わっていくことを「大事にする」という。
それを聞いて、たかのてるこは気がつく。
ふられた男に執着してはいけない、付き合っていた時代に彼を本当に大事にしたか
反省しよう。

事業も人生も変化する中で大事にしてゆきたい。
コメント
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