水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (36)性格

2022年11月07日 00時00分00秒 | #小説

 物事を進める上で間違いによる失敗が起きたとしても、個人の性格によって、その対応する内容は異なってくる。当然、そのことで結果は変化することになる。間違いに対して根気よく対応を進める人は、めげない性格といえるから、その後の展開に好結果を得やすい。それに比べ、気短な人の場合だと、間違った段階で既(すで)にめげているから、その後の展開が捗々(はかばか)しくなくなることが多い。要は、めげない性格が好結果を生む・・と言える。
 とある雪国である。朝からの積雪で屋根にはすでに数十センチの雪が積もっている。
「爺っちゃ、危ねぁがら、やめだ方がえよ…」
「そうだんだども、このままだど家(え)が押し潰(つぶ)されでしまうべ…」
「そうだども。雪下ろしするんだったら、気つけで…」
「めげずに注意してするがら心配すんな…」
「少しずつな…」
「分がった…」
 息子にそう返すと、老いた父親は屋根の雪下ろしを始めた。そして、めげずに半分ほどを片付けて下へ降りてきた。
「疲れだ。おめの分は残しておいだがら、あどは任せだぞ…」
「ああ…」
 息子は残りの雪下ろしをする羽目になった。
 めげないで物事を進めるには、出来るか出来ないかを見極める性格も大事となるようだ。^^

                   完


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