水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

世相ユーモア短編集 -86- きっちり

2025年02月15日 00時00分00秒 | #小説

 最近の世相は実に複雑だから物事をきっちりしないと収束しない方向に進んでいる。まあ、それだけ世の中の流れが早く、油断ならない世界になっていると考えれば納得もいく。人が動かず、車[機械]が動いてばかりの世界ではそうなるのも無理からぬ話である。では、どうするか? だが、そこはそれ、きっちりの逆に物事を大雑把(おおざっぱ)にやれば上手くいく・・と、話はまあこうなる。^^ 社会動静が複雑になり、どうにもならないと感じた世の人々が、『エジャナイカ、エジャナイカ』と唄い踊った社会現象に似ていなくもないのです。^^
 きっちり屋の十鹿(とじか)は、複雑になった世の中に嫌気がさし、物事を大雑把にすることにした。家計の出納の数合わせは、一人暮らしの十鹿にとっては複雑で日々、十鹿を悩ませていたから、『ああ、もう嫌っ! もう嫌だぁ~~!』と、きっちり計算しないことにしたのである。徳川家康公の譜代の家臣、石川数正の出奔(しゅっぽん)である。^^ 彼は成るようにしよう…と心に決意し、発想の大転換を試みたのである。徳川家中の動揺は深刻だったかも知れないが、一人暮らしの十鹿家の動揺は深刻でもなく、スムーズににコトは運んだのである。
『案ずるより、するが易し、か…』
 十鹿は、そう思うことで、物事をきっちりしない日々を続け、事無きを得た。
 まあ、それがいいようですね、十鹿さん。^^

                   完


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