本日4月10日は、日本で記録に残る最古の日食があった日で、比叡山寺が嵯峨天皇の勅により寺号を延暦寺に改めた日で、鎌倉幕府が蒙古来襲に備えて西国御家人らに防備を命じた日で、フランス王フィリップ4世が初の三身分合同会議を開催した日で、徳川光圀が『大日本史』の編纂に着手した日で、シュレージェンのモルヴィッツでフリードリヒ2世率いるプロイセン軍がマリア・テレジア率いるオーストリア軍を破った日で、インドネシアのタンボラ山で過去最大規模の噴火が始まった日で、オーストリアのマクシミリアン大公がメキシコ帝国皇帝に就任した日で、イギリス国会議事堂の時計塔に重さ13.5トンの大時鐘が完成した日で、板垣退助らが高知で日本初の政治結社「立志社」を結成した日で、治安警察法により労働農民党・日本労働組合評議会・全日本無産青年同盟に解散命令が出された日で、皇太子・明仁親王殿下と正田美智子様の結婚の儀が執り行われた日で、瀬戸大橋が開通した日で、イギリスとアイルランドの間で和平合意「ベルファスト合意」が締結された日です。
本日は倉敷は晴れのち曇りでありました。
最高気温は十四度。最低気温は七度でありました。
明日も予報では倉敷は雨となっております。
狐は或る日の夕、神社の境内の大きな木の下で友人が坐つてゐるのを見た。
此の友人は姫君のやうに美しいかんばせを持つてゐる。
こまねいた両手と云ひ、項垂れた頭と云ひ、恰も何事かに深く思ひ悩んでゐるらしい。
狐は友人の身を気づかつた。
友人が悪魔に魅入られてゐるやうな瞳をして美しいかんばせを曇らせ思案をしている姿に唯事ではないと思つたのである。
狐は友人に近づき、何を悩んでいるのか仔細を問ひ質した。
「私は堕落しようと思ひました。
しかしそれと同時に堕落したくないとも思ひました。
あの清らかな魂の〇〇(←或る漫画の主人公の名と思ってくだされい)のエロいparody漫画を描くことは〇〇を地獄の火に穢す気がするでせう。
私は〇〇をいやが上にも清らかに曇りなくしたいと念じたのです。
しかし、さうと思へば思ふ程、愈、エロいparody本を描いて〇〇を穢したいと云ふ心持ちもして来ます。
その二つの心持ちの間に迷ひながら私はしみじみ私達の業を考へて居りました。
私達は何時でもさうなのです。
堕落させたくないもの程、益、堕落させたいのです。
これ程不思議な悲しさが又と外にありませうか。
私はこの悲しさを味ふ度に、昔見た天国の朗かな光と今見てゐる地獄のくら暗とが私の小さな胸の中で一つになつてゐるやうな気がします。
どうかさう云ふ私を憐んで下さい。
私は寂しくつて仕方がありません」
美しいかんばせをした友人はそう云つて涙を流した。
狐は友人に「描け」と云つた。
「描くが良い。描いて私に讀ませろ」と邪悪な笑みを浮かべて狐は云つた。
「友人よ。案ずるな。それも愛だ。常識など気にするな。それが我等に何の関りがあらう。思う存分描くが良い」
友人は瞳を潤ませ悪魔に魅入られたやうな表情でその美しいかんばせを上げて狐を見詰めてこくりと頷いた。
神よ。我等を憐れむがよい。
我等は業が深いのだ。