狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

人間に生まれ この煩悩に曇る目で無限を覗く楽しみを教えられ

2020年07月14日 23時51分10秒 | VSの日記
 本日7月14日は、安禄山らの蜂起で唐の皇帝・玄宗が楊貴妃を伴って都落ちした日で、桓武天皇の命を受けた坂上田村麻呂が蝦夷征討に出発した日で、パリの民衆がバスティーユ牢獄を襲撃・占領して政治犯を解放した日で、ルイ16世が憲法への忠誠を誓った日で、「ラ・マルセイエーズ」がフランスの国歌となった日で、米国東インド艦隊司令長官マシュー・ペリーが久里浜に上陸した日で、アルフレッド・ノーベルがダイナマイトを発表した日で、長崎奉行がキリシタン68人を捕えた日で、ビリー・ザ・キッドが保安官パット・ギャレットにより射殺された日で、中華民国で北洋軍閥同士の戦争が起こった日で、ドイツで国家社会主義ドイツ労働者党・ナチスを除く全政治政党が禁止された日で、イタリア共産党書記長パルミーロ・トリアッティが狙撃された日で、イラクでアラブ民族主義者らによるクーデターが起きて王政が打倒されて共和国が樹立された日で、内閣総理大臣の岸信介が池田勇人の自民党総裁就任祝賀会からの帰路に暴漢の襲撃を受けて重傷を負った日で、「世界知的所有権機関を設立する条約」がストックホルムで調印された日で、レフチェンコKGB少佐が米下院の秘密聴聞会で工作活動を暴露した日です。

 本日の倉敷は雨のち曇りでありましたよ。
 最高気温は二十七度。最低気温は二十二度でありました。
 明日も予報では倉敷は曇り時々雨となっております。お出かけの際はお気を付けくださいませ。





 昔、天竺に閼迦衛奴国といふ国があつて、其処の王を和奴々々王といふた。
 此王も此国の民も非常に書を愛する風があつたが、其国に一人の者があつて王の愛蔵書を誤つて燃やすといふ騒ぎが起つた。
 其罪でもつて此者は死刑に処せられたばかりで無く、次の世には粟散辺土の日本といふ嶋の吉備王国の山の奥深くで狐と生れ変つた。

 此の狐はぐうたらと怠け者でぼんやりと日々を過ごす浅ましい境涯であつた。
 然るに長い時をぐうたらと過ごしてうとうとと居眠りをしていた時、ふと夕方の一番星の光を見て悟る所があつて、狐の分際でぐうたらと過ごすといふのは罪の深い事だと気が付いた。

 其処で直様御寺へ駈けつけて、段段今迄の罪を懺悔した上で、どうか人間に生れたいと願ふた。
 七日七夜、縁の下でお通夜して今日満願といふ其夜に、小い阿弥陀様が狐の枕上に立たれて、一念発起の功徳に汝が願ひ叶へ得さすべし、信心怠りなく勤めよ、如是畜生発菩提心、善哉善哉と仰せられると見て夢は醒めた。

 狐は此お告に力を得て、さらば諸国の霊場を巡礼して、人間に生れたいといふ未来の大願を成就したい、と思ふて、処々経巡りながら終に四国へ渡つた。
 こゝには八十八箇所の霊場のある処で、一箇所参れば一年ぐうたらした罪が亡びる二箇所参れば二年ぐうたらした罪が亡びるやうにと、南無大師遍照金剛と吠えながら駈け廻つた。
 八十七箇所は落ち無く巡つて今一箇所といふ真際になつて気の緩んだものか、其御寺の門前ではたと倒れた。
 其れを如何にも残念と思ふた様子で喘ぎ/\頭を挙げて見ると、目の前に鼻の欠けた地蔵様が立つてござるので、其地蔵様に向いて、未来は必ず人間界に行かれるやう六道の辻へ目印の札を立てゝ下さいませ、此願ひが叶ひましたら、人間になつて後、屹度赤い唐縮緬の涎掛を上げます、といふお願をかけた。
 すると地蔵様が、汝の願ひ聞き届ける、大願成就、とおつしやつた。
 大願成就、と聞いて、狐は嬉しくてたまらないので、三度唸つてくる/\とまはつて死んでしまふた。

 やがて何処よりともなく八十八羽の鴉が集まつて来て狐の腹ともいはず顔ともいはず喰ひに喰ふ事は実に凄まじい有様であつたので、通りかゝりの旅僧が其れを気の毒に思ふて狐の屍を埋めてやつた。
 それを見て地蔵様が云はれるには、八十八羽の鴉は八十八年のぐうたらした罪の化身である、其れが狐の身を喰いに来たのであるから勝手に喰はせて置けば過去の罪は満足して消えて未来の障りが無くなるのであつた、それを埋めてやつたのは慈悲なやうであつて却て慈悲で無いのであるけれども、これも定業の尽きぬ故なら仕方が無い、これぢや次の世に人間に生れても煩悩と迷いとで一生困められるばかりで到底ろくたまな人間になる事は出来まい、とおつしやつた……。

 といふやうな、このやうな狐があつて、其れが生れ変つて私になつたのではあるまいか?
 其証拠には、私は煩悩と迷いに塗れてほとほと困つているのであります。



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『天気の子』

2020年07月14日 23時22分39秒 | 映画・ドラマに関する日記
 昨日の夜は、アニメーション映画『天気の子』のDVDを観ていました。

 2021年(令和3年)6月。
 神津島で暮らす高校1年生の森嶋帆高は家出をして、東京にやって来た。
 フェリーで知り合ったライターの須賀圭介の元を訪ねて、彼の下で働き始める。 
 彼の仕事の中で一時的な晴天を呼ぶ「100%の晴れ女」の都市伝説の話を聞く。
 その夏の関東地方は、異常気象により長期間にわたって雨の日が続いていた……。




 作った側は、ラストの一番盛り上がるシーンの主人公の台詞を描きたかったということなのでしょう。
 この物語の原型と呼べるお話は世界中に無数に存在しているのですが、このお話は原型と呼べるお話から構造が大きく変化しています。
 あの台詞を主人公に叫ばせる為に、原型となるお話の構造から逸脱させたのでしょう。
 ただ、あの台詞は、胸を打たれる人とどん引きする人に分かれるのでは? 
 ちなみに私はどん引きしました。


 主人公は物語の最初から延々と間違い続けます。
 判断を間違え決断を間違え続けます。
 間違えを間違えだと気づきません。或いは間違えを認めません。
 でも、高校生なのだから仕方ないっすよ。
 ヒーローはこの世に存在しない。世界を変える力を持っている者がいるとしてもその人は世界の命運を独りで背負う義務はない。ただし個人的にはヒーローもヒロインも存在する。そんなお話です。

 気になるのはヒロインの意思や決断を主人公が無にしてしまっていること。
 それでよいのでしょうか? 
 あれだけの決断をして実行したヒロインが、主人公が迎えに来たら即座に全てを無かったことにしてしまうということはあり得るのでしょうか? 


 面白かったですよ。
 楽しめました。


 
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一人でするのも気持ちはいいが やってほしいの 耳掃除

2020年07月14日 10時51分46秒 | 休日の日記
 或る夜。
 やんごとなきお方に「妾の元に今すぐ来ておくれ」と呼ばれて、いそいそとやんごとなきお方のお宅に行った時のこと。

 やんごとなきお方に挨拶をし手土産を渡した後に、何用ですか? と尋ねたところ、「退屈よの~。妾は何かこうわくわくどきどき過ごしてみたいでおじゃる」と云われたのでいそいそと拙い芸を見せてやんごとなきお方の無聊を慰めておりました。
 「美味しいものが食べたい。何か作ってたも」と云われたのでいそいそと食事の準備をし、「買い物をするのでついてまいれ」と云われたので買い物のお供をし、やんごとなきお方のお宅に帰ってきてからは家事に勤しみ、その後はやんごとなきお方の無聊を慰め、やんごとなきお方をお風呂に入れてやんごとなきお方のお身体を清め、やんごとなきお方を褥に運び、「抱き枕になってたも」と云われたので抱き枕になっておりました。

 私は何をやっているのだ。orz。
 しかしですよ。相手はやんごとなきお方なのです。是非もありません。
 やらねばならぬことはやらねばならないのです。
 浮世で生きていく為には義理も人情も大切にせねばならぬのです。
 いわんや路傍に転がる小石のような一片の価値のない私のような身においてをや。

 その日はふらふらとお部屋の中でのんびりまったりと過ごしたかったのですが仕方がありません。

 本日は私はお仕事がお休みの日であります。
 是非とも是非ともお部屋に閉じ籠ってのんびりまったりとしたい。と思っているところなのでございます。


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