舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

富士樹海とコトリバコの都市伝説が合体!樹海のように混沌としたオカルトミステリーホラー「樹海村」観てきました。

2021-02-26 14:07:24 | Weblog


2/23(火)、イオンシネマ新潟西でワンダーフリーパスポートで5本連続の1本目、「樹海村」を観てきました。





予告編はこちら。



自殺の名所、富士樹海で失踪したYouTuber。
それを見ていた、過去に秘密を持つ少女・響と、そんな様子がおかしい妹を心配する姉・鳴。

そして二人の友人夫婦の家の床下から発見された呪いのコトリバコ。
様々な場面で次々と起こる謎の失踪と変死…

過去と未来、あらゆる時間軸で起こる様々な謎が、最後には時空を超えて樹海へと結び付いていく壮大なホラーミステリー。
様々なエピソードの時系列をシャッフルさせて次々と描き続けることで、観た者にどういう順番で物語が繋がっているのかを混乱させ、でも気になって見入ってしまう(故に恐怖シーンをモロに目撃してしまう)という、清水崇監督が代表作「呪怨」で見せた得意技が、まさに樹海に迷い込んで出口を探すような恐怖とワクワク感をうまく出していたと思います。

何より、自殺の名所の富士樹海と、ネット怪談で有名なコトリバコを、一つの物語に繋げるアイディアが凄いなあと思いました。
オカルト的な設定に、姉妹の母親の隠された過去なども次第に描かれ、最後にそのすべてが時空を超えて一つに繋がるクライマックスには感動しました。

ミステリーでありホラーでありファンタジーであり感動の家族ドラマでもあるという、ジャンルを飛び越えて樹海のように混沌とした清水崇ワールドを堪能しました。
清水崇監督は「呪怨」でも時空の捻じれを描いていて、正直当時はホラー映画にいきなりそんなSFみたいな設定が登場することに不自然さを感じたんだけど、「犬鳴村」「樹海村」みたいなオカルトな雰囲気にはすごく合っていると思うんですよね。

どちらも、異世界ファンタジーの冒険にもなっているし、タイムスリップものだからこそ描ける親子の絆みたいな感動の物語にもなっているんですよね。
正直、ホラーとしてはそこまで怖くなかったけど、ただ、コトリバコという呪いのアイテムの、まるで映画を見ているだけで自分まで呪われそうな禍々しさは美術的な造形も含めて凄かったと思います。これやっていいの?っていう。

だからこそ、軽くネタバレかもしれませんが、ある人物がコトリバコを持って樹海の謎に挑んでいく展開は、いかにそれが命懸けの覚悟を持った挑戦なのかが伝わってきて、盛り上がりも凄かったです。
人の死に方としては、ついさっきまで普通に生きていた人が突然死体になるショッキング描写は、ショッキングすぎて逆にギャグみたいに笑っちゃいそうにもなるくらいで、その恐怖と笑いのスレスレの相変わらずの清水崇ワールド、好きでした。

あと、仲間だと思っていた人間が呪われて敵側(?)怨霊側(?)になってしまう時の絶望感、「呪怨」からずっとある展開ですが、やっぱり怖くて良かったです。
役者としては、樹海やコトリバコの謎をどうやら握っているんだけど、コミュニケーションが苦手で何を考えているのか分からないという難役を演じた山田杏奈さん、本当に素晴らしかったです(「ミスミソウ」以降、マジで推してる女優さんです)。

そんな妹を想い奮闘する姉を演じた山口まゆさんも、妹を想う本気みたいなものが感じられ、弟を持つ兄としては感情移入してしまう部分がありました。
また、物語の鍵を握る二人の死んだ母親も登場するのですが、彼女を安達祐実さんもやっぱり演技上手いなあと思わされるという、この3人が本当に素晴らしかったです。

そんな感じで、樹海やコトリバコのオカルト的な面白さ、謎が一つに繋がるミステリ的な面白さ、時空の捩れも登場することで親子愛、姉妹愛を描くという、清水崇監督のあらゆる魅力が一つになった本当に素晴らしい映画だったと思います。
そして何より、そんなあらゆる物語の面白さが全開になって樹海の中で一つに集約していくクライマックスで登場する、諸星大二郎もびっくりの素晴らしく禍々しい造形による圧巻の恐怖描写は、もはや芸術の域に至っていたのではないか、ここまでの映像表現は昨今の邦画(特に特撮)でもなかなか見られないんじゃないかと思いました。

ただ唯一、過去に樹海で虐げられて亡くなった人達をあんなゾンビみたいに描いていいの?(人権的な意味で)ってことだけ気になったのですが…でも、考えてみれば理不尽な暴力の犠牲となり亡くなった人達の怨念が死後何年経っても蘇りあらゆる人達を無差別に襲い続けるのは「呪怨」から一貫したテーマなんですよね。
だから逆に言えばそれだけ暴力や殺人は恐ろしいものとして描いていることでもあるし、だからこそ物語の鍵となる「愛」の素晴らしさに感動もできるという、本当に完成度の高い物語だったなと思います。

そういう人間の本質を描いた意欲作であり感動作であり、もちろんエンターテインメントとしても面白かったです。
こういう清水崇監督のオカルトホラー、どんどん観たいです!次はどんな村が見られるのか楽しみです!
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