舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

シネ・ウインドでフランス・ドイツのミステリードラマ、『婚約者の友人』を観て来ました!

2018-01-28 21:38:29 | Weblog


1/24(水)、シネ・ウインドで「婚約者の友人」を観て来ました。





シネ・ウインドでは1/13(土)~1/26(金)の、2週間上映されていました。



ひとまず、予告編はこんな感じです。





監督は、フランスのフランソワ・オゾン監督。
フランスとドイツの合作映画です。



と言う訳で、感想を書いていこうと思うのですが、ひとまずすごく面白かったです。
しかし、どこが面白かったのかが、実は非常に書きづらい映画でもあるんですよね…

と言うのも、僕がこの映画に感動したポイントが、どうしてもこの映画のストーリーの重要なネタバレに関する部分になってしまうんですよね…
なので、これから観る方のためにも、出来るだけネタバレをしない方向で頑張って感想を書いていこうと思います。



映画の舞台は1919年のドイツ、主人公のアンナは、婚約者のフランツをフランスとの戦争で亡くし、フランツの両親と3人で暮らしています。
フランツの父ハンスは医者をしているのですが、ある日、その患者の一人がアンナに求婚するのですが、アンナは断ります。

ある日、アンナがフランツの墓参りに行くと、アンナより前に誰かがフランツの墓に花を供えていて、気になって調べていくうちに、知らない男がフランツの墓参りをしながら泣いていることを知ります。
調べて行くうちに、アンナはその男に出会うことに成功するのですが、男はアドリアンと名乗り、フランス人であること、フランスでフランツと出会った友人だと語ります。

アドリアンがフランツの友人と知ったアンナは、一緒に暮らしているフランツの両親にアドリアンを紹介するのですが、ハンスは「自分の息子を戦争で殺したフランス人は許せない!」と拒絶します。
しかし、アドリアンの語るフランツとの思い出を聞いた両親は、アドリアンがフランツの親友だったと知り、次第にアドリアンのことを受け入れていきます。

徐々にアンナとフランツは一緒に遊びに行ったりと親密になっていくのですが、ある日、アドリアンは彼女の前から姿を消します。
アンナはフランツを探し回り、ついに見つけるのですが、そこで彼が語った真相は、そこまでにアドリアンが語ったフランツとの過去をすべて根底からひっくり返すような衝撃的な内容だったのです。

ここが一つ目のどんでん返し的展開で、アドリアンはその真相をアンナだけに語ったまま、ドイツへと帰っていきます。
しばらく経って、今度はアンナがドイツからフランスへと旅立ちアドリアンを探しに行くのですが、そこで二人が迎える結末とは…



…という感じの映画です。
アドリアンの正体、過去の真相が少しずつ分かっていきながら、その真相が二転三転していくミステリーでありながら、アンナとアドリアンを中心とした人間ドラマでもあり、さらに、ドイツとフランスの戦争を描いた社会派な映画でもあるなあと思いました。



まず、ミステリーとしたの面白さですが、「一体アドリアンは何者なのか?」「フランツ過去に何があったのか?」という謎が二転三転しながらも徐々に明かされていく、という物語の流れがよく出来ていたと思います。
特によく出来ていたと思うのは、アドリアンとフランツの過去の真相は、ほとんどがアドリアンがアンナに語るセリフの中で明かされていくので、アンナとアドリアンの関係性の変化が、そのままミステリーとしての展開に直結しているという物語の作りが、ミステリーでありながら人間ドラマでもあるという物語としてすごく見応えのあるものになっていたと思います。

また人間ドラマとしても、ストーリーの進行によって、アンナとアドリアンの心境の変化を非常に丁寧に描いていて、その一つ一つに感動できたところがとても良かったです。
特に良かったと思ったのは、物語の中にアンナとアドリアンの別れを描くシーンが中盤と終盤に2回あるのですが、別れる理由がその2回で違っているところが良く出来ているなあと思いましたし、詳しくは書きませんが、それがとても切ないなあと思いました。

そして、社会派な映画としては、ドイツとフランスの戦争が終結して国交が正常化したもののまだお互いの国に対する差別意識ははっきり残っている、という微妙な時代をしっかりと描いていたなあと思います。
例えば、ドイツにやってきたフランツがフランス人として差別されたり、逆にドイツからフランスに行ったアンナがフランスでドイツ人への差別を目の当たりにしたり、かなりドイツとフランスの戦後の混乱を生々しく描いているなあと思いました。

しかし、そんな中でも人間の気持ちの変化をしっかり描いていて、例えばハンスは息子をフランスとの戦争で失くしているので最初はフランス人を差別しているのですが、徐々にフランツと親密になることによって、そういう意識も徐々に変わっていき、中盤でハンスが友人たちと飲んでいるシーンでは、「戦争で息子たちを殺したのは戦争に息子を送った我々父親だ」と語ったするように、戦争による他国に対する差別意識も変わっていくことが出来るということも示しているなあと思いました。
ただ、そこだけ見ると非常に希望のある物語に思えますが、この映画の真相を見ると、必ずしもストレートに喜べるものでもない…という切ない皮肉も込められていたように思います。

とは言え、例えば戦死したフランツが本当は戦争を望まない平和主義者だったりと、戦争があること、国同士が争い殺し合うことがいかに悲しいことなのかと、ミステリーや人間ドラマの中で非常に浮き彫りになっていた映画だったと思います。
だから、最後まで観ると正直非常に切ない物語なのですが、その裏にはしっかり戦争の悲劇を描こうという意識がこの映画にはあったような気がします。



と言う訳で、ミステリーと人間ドラマが融合していて、同時に非常に社会派であるという、本当に見応えのある映画だったなあと思います。
他にも、基本モノクロの映画がところどころカラーになるという面白い演出があり、それによって物語の切なさがより際立つ部分なども良かったんですけど、それについて書くと長くなるので、このあたりで切り上げようと思います。
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