12/30(水)、シネ・ウインドで「無頼」、観てきました。
新聞の記事が貼ってありました。
戦後の貧困の中で生まれた少年が、暴力と犯罪の中を生き、何度も逮捕されながら、ヤクザの組長となっていきます。
社会の常識の外側でしか生きられない者達の生き様や死に様、彼らの目から見た日本の昭和史、平成史を綴った一大叙事詩でした。
ヤクザ映画を観てこういうことを言うのはアレだけど、個人的にヤクザって本当に嫌いなんですよ、嫌いというか怖すぎる。
いかに相手を暴力で捻じ伏せて他人を蹴落としてのし上がるかという生き方そのものが本当に嫌いなんです、というか怖すぎる。
でも、この映画を観ると、戦後の混乱や貧困の中でそういう生き方しか選べなかった人達が確実にいるのだと気付かされて、すごく気持ちのやり場に困る映画でした。
要するに、ヤクザは僕とは真逆の世界を生きている人達なのですが、彼らも当たり前だけど同じ人間であり、同時に僕がずっと目をそらしている部分を全力で背負ってそれを日常として生きている人達なわけで、そう思うと彼らを頭ごなしに否定することもできない自分がいるわけです。
僕が好んで見る映画ではヤクザは「敵」として描かれることが多く、倒されたら痛快だったりするわけです。
でも「無頼」はヤクザという生き方を選ばざるを得なかった人達の背景や彼らの抱えた消すことのできない闇を描くから、彼らを好きにはなれなくても、彼らが破滅に向かうこともまた切ないという、本当に複雑な気持ちになる映画なんですよね。
また、「無頼」は戦後から平成にかけての主人公と彼を取り巻く様々な人間達を描き続けた叙事詩であり群像劇であり、そう考えるとストーリーの推進力らしいものは実はあまりないわけです。
それでも一度も飽きることなく見続けてしまうのは、彼らの生き様や時代の変遷の描き方がものすごく作りこまれているからだよなあと思い、そういう意味でもいい映画だなあと思いました。
主人公を演じたEXILEの松本利夫さん、一人の男がヤクザとして年齢を重ねていく様を見事に演じていたと思います。
そして中村達也さん、考えてみれば役者じゃなくてミュージシャンなんだけど、誰よりも「本物」にしか見えないという凄みがありました。
それ以外の役者さん達も、綺麗事では語れない人間の姿を熱演されていました。
ずっしりと重いものが響く映画でした。
あと、言い忘れたんだけど、主題歌が泉谷しげるさんの名曲「春夏秋冬」なんだけど、この映画の最後に聞くと、まるで最初からこの映画のために作られたと思ってしまうくらい、この映画にハマっていました。
というわけで、最初はヤクザが嫌いなんて書いてしまいましたが、こうして最後まで見てみるとすごくいい映画だったと思いました!