シネ・ウインド「A24オールナイト」で夏の朝を迎える！

7/31(土)から8/1(日)にかけてシネ・ウインドで開催された、「A24オールナイト」に行ってきました。
配給会社、A24の映画の中から4作品を一晩で上映するというもので、どれも面白かったです！



というわけで感想を書いていきます。








「mid90s ミッドナインティーズ」

1990年代ロサンゼルス、シングルマザーの家庭で育ちマッチョな兄にいじめられる13歳のひ弱な少年スティーヴィーは、町のスケボー少年達に憧れて彼ら仲良くなるために無理して不良っぽく振る舞うが…
不良っぽくないとカッコ悪かった子供時代、なんか分かるんだよなあ…

スケボー少年達のグループに入った最年少のスティーヴィーは最初は一番ダメな奴って感じでバカにされるのに、ある日無茶して死にかけた途端、彼らから一目置かれる存在に。
その結果調子に乗って不良っぽく振る舞ったりカースト的なものの下剋上があったり、子供だけの繊細な世界が描かれる。

息子が不良達と付き合うことを怒る母親と、やっと自分の世界を見付けられたスティーヴィー、両方の気持ち分かるんだよな…
スケボー仲間達も確かに問題ばかりの不良達だけど本気で仲間思いであるのも事実だし、そこにも貧困や家族との別れなどの背景があったり、そういう多面的な人間描写も良かった。







「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」

もうすぐ中学が終わろうとしているケイラは、人見知りでクラスに友達もいない。
そんな気持ちをSNSや動画に投稿しているがいいねは増えない。

クラスに馴染めない劣等感は僕も経験あったけれど、SNS世代はそれがいいねの数で可視化されてしまうんだな…
クラスの中心的なイケてるグループには馴染めず、かと言って個性を全開にできるほどの才能もないこの感じ本当に分かるんだよな。

恋愛体験や性体験の有無で自分と他者を比べちゃうこの感じも思春期ならでは。
後半からは高校生達と出会うんだけど、中学生には大人の世界なあたりもリアルだと思いました。

憧れの大人に見える高校生だけどまだ自分がそこに踏み込む勇気はないこの感じ、分かるんですよね。
高校生と中学生でスマホやネットやSNSに出会った時期が違う感じもリアルでした。

最後はいいねへのこだわりや自分と他人を比較するのを辞めるという一つの成長が描かれる。
どうか彼女が自分らしく生きていけますように…







「グッド・タイム」

貧困生活を送る兄コニーは、知的障害の弟ニックを連れて銀行強盗を企てるが失敗、ニックは逮捕され受刑者用の病院に送られてしまう。
コニーはニックの保釈金を集めるも失敗、最終的に病院に侵入して弟を連れ出そうとするが、行き当たりばったりの行動はさらに失敗が連続する…

コニーの行動は一つも計画通りに進まず、すべてが裏目に出て、どんどん悪い方に加速していく。
映画の冒頭で医者の診断を受けるニックをコニーは強引に中断して連れ出すんだけど、最後まで見るとあの時ちゃんとニックが診断を受けて、銀行強盗なんかしなければ良かったのに…と思えてしまう映画でした。





「スプリング・ブレイカーズ」

退屈な大学生活を送るビッチな美女4人組が、ノリだけで強盗をして大金を手に入れビーチで酒！ドラッグ！セックス！な欲望全開のパーティ三昧の生活を送る。
人間の欲望を風刺してる映画かなと思ったが、あまりのドラッギーでインモラルな映像の連続に見ているだけでクラクラと罪悪感にさいなまれるほどでした。

途中で美女達は逮捕されるも保釈金を払ってくれたギャングに捕まり行動を共にするハメに…
調子こいた若者達が痛い目に遭う物語かなと思いきや、寧ろ美女達がギャングを挑発するほどのヤバい奴らでギャングの世界に馴染んで犯罪に生きる…という、一体どこまで行くんだ！？と驚かされる映画でした。

4人いる美女のうち、1人、また1人とギャングの世界には生きられないと逃げ出すあたりもリアルだし、その2人がいるからこそ感情移入もできる。
逆に最後まで残った2人は最終的にギャング以上のヤバい奴らに成り上がっていくという、刹那の快楽に溺れ消耗する青春を究極的まで描いた挑発的な映画でした。






こんな感じで、一晩で4作品も見るのは長かったしちょっと眠かったけれど、4作品とも面白かったし、またどれも90～100分とちょうど見やすい上映時間だったので、思ったより楽しくオールナイト上映を観ることができました。





4作品観終わった達成感で外に出た時の、夏の早朝の涼しい空気も気持ちよかったですね。
オールナイト上映を見ながら8月を迎えるというのもなかなか楽しかったです。