舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

と言う訳で、ちひろの演劇ベストテン2015完全版、発表します!

2016-01-15 20:37:28 | Weblog
一つ前の記事で、「ちひろの新潟演劇ベストテン2015」を発表させていただきました。
ちひろの新潟演劇ベストテン2015、このタイミングで発表します!

ブログの中でも書きましたが、あのランキングは、あくまでも「新潟県内の団体が新潟県内で上演した作品」に限定して発表させていただいたものです。
もちろん、新潟演劇ベストテンだけでも十分楽しかったんですが、やっぱり2015年は新潟以外でも素晴らしい演劇を本当にたくさん観たので、その感想を書き残さないのは勿体ない!

と言う訳で、僕が2015年に観劇した全ての演劇から、ベストテンを決めていこうと思います!
ちなみに、僕が演劇ランキングが好きな理由は、先程リンクを貼った記事の中で書いているのですが、一言で言うと「感動を忘れたくないから」です。



はい!そんな訳でですね!今からベストテンを発表…
…と、その前に、せっかくなので、ちひろが2015年に観劇した全作品の一覧を振り返ってみたいと思います!






と言う訳で、取り敢えず、観劇したもので持っているチラシを全部並べて見ました!すごい数だぜ!
部屋がチラシでいっぱいになっていますが、よく考えたらチラシを持っていない観劇作品もこれ以外にあるので、それを含めると果たして…

あ、演劇以外に、ダンス、コント、マジックも含めています。
広い意味での演劇的感動というか…まあ、要するに俺のランキングなんで細かいことは気にすんな!

それでは張り切っていってみよう!
2015年のちひろが観劇作品一覧は、以下の通りです!




・みずつち文化創造2014 こどもプロジェクト『うつろう-NIIGATA 2』
・中央ヤマモダン『妄想シアター』(ケント大学)
・三角フラスコ『埋もれて、白い』@仙台
・劇団第二黎明期『かぶりモン』
・レティクル東京座『學園使徒ノクト』@東京
・北区オリジナルミュージカル『春のホタル』
・Noism2 春の定期公演 2015『ユルリ島の馬』『かさねのいろめ』
・i-MEDIA 国際映像メディア専門学校俳優タレント科『蒲田行進曲』(芸術のミナト新潟演劇祭)
・青年団リンク ホエイ『珈琲法要』(芸術のミナト新潟演劇祭)
・JOKER『私立!七橋学園!』(芸術のミナト新潟演劇祭)
・劇団第二黎明期『紅茶とライオン』(芸術のミナト新潟演劇祭)
・CREATIO ATELIER『蛙昇天』(芸術のミナト新潟演劇祭)
・劇団ハンニャーズ『ウルトラリップスZ』
・木ノ下歌舞伎『黒塚』
・劇団@nDANTE 新入生歓迎公演『タイフーン・パニック』(音響オペ)
・原田郁子×マームとジプシー リーディングライブ『cocoon no koe cocoon no oto』
・復興支援舞台『イシノマキにいた時間』
・演劇集団NAI『紙風船』
・ゼラチンズ『Travel Travel』
・BLUES『ピコピコ電脳家族』(ゲスト出演)@松本
・燐光群『屋根裏』
・ままごと『わが星』@東京
・ねもしゅーせいこ『夏果て幸せの果て』@東京
・劇団ハンニャーズ『ウルトラリップスⅢ』
・Mama-チャリカルキ『麗しララバイ』
・東区市民劇団 座・未来『ゆびきりげんまん~新潟空港事件簿~』
・劇団第二黎明期『エドワード三世』(出演)
・劇団カタコンベ『彼女に与えるべきではないエサのいくつか』
・ピストンズ『Pの時代』@東京
・マームとジプシー『cocoon』
・水と土の芸術祭 2015 市民プロジェクト『2015年のゴールデンタイム~ステキナハナヲサカセマ・ショー~』
・劇団天邪鬼『よるのいろ』(ピカデリー・ショート・ミュージアム)@松本
・ほめっ娘/ほめえ女『忘却の海』(ピカデリー・ショート・ミュージアム)@松本
・幻想劇場◎経帷子+バリカタで!!『乱歩リーディングシアター「屋根裏の散歩者」「人間椅子」』(ピカデリー・ショート・ミュージアム)@松本
・ピストンズ『夏の昼下がりのハードコア(PSM版)』(ピカデリー・ショート・ミュージアム)@松本
・れんげでごはん『遠心ポンプ』(ピカデリー・ショート・ミュージアム)@松本
・空想≠カニバル『OPTIMAL』(ピカデリー・ショート・ミュージアム)@松本
・照り焼きプリン『PARA-BOX』(ピカデリー・ショート・ミュージアム)@松本
・Noism1『箱入り娘』
・ハイバイ『ヒッキー・カンクーントルネード』
・APRICOT&劇団ひまわり『赤毛のアン』
・渋谷駿ミニライブVol.5『~REMAIN~』
・舞台屋 織田組『真贋・四谷怪談』
・BLUES『鉄壁の鉄壁の鉄壁の』(受付スタッフ)@松本
・レティクル東京座『幕末緞帳イコノクラッシュ!』@東京
・水と土の芸術祭 2015 市民プロジェクト 市民劇『潟端の月』
・水と土の芸術祭 2015 市民プロジェクト『わらぼっちパフォーマンス』
・劇団第二黎明期『TEN POINT』
・劇団御の字『キセキ』
・水と土の芸術祭 2015 市民プロジェクト 第三回かもめ企画 -みずぎわたつ- エンゲキプロジェクト『血は立ったまま眠っている』
・札幌ハムプロジェクト『さんたま』
・中央ヤマモダン『NO MORE お金泥棒』
・ごったに『オシマイ -欲望という名の電車-』(まつもと演劇祭)@松本
・演劇裁縫室ミシン『男子禁制★殺人事件』(まつもと演劇祭)@松本
・幻想劇場◎経帷子『蛍の棲む水』(まつもと演劇祭)@松本
・KURITAカンパニー『ガリレオ裁判』(受付スタッフ)
・劇団あかつき『やっぱり自分が一番いい』
・劇団@nDANTE『バット男』(プロジェクターオペ)コント公演『パッド女』(照明オペ)
・劇団カタコンベ『景01』(受付スタッフ)
・劇団ハンニャーズ『ウルトラリップスZ』
・BLUES『グレートマシーン』(受付スタッフ)@松本




以上です!



僕が関わった公演はかっこ付きで書いてあります。
また、@以下に地名が書いていないものは新潟で観劇したものです。



で、数えてみたところ・・・

新潟の団体の新潟公演:33作品
県外の団体の新潟公演:9作品
県外の団体の県外公演:19作品

合計:61作品



なんと61作品を観劇していたではないか!
まさか、こんなに観劇する年が来ようとは……おそらく過去最多かと思われます。

ちなみに、県外公演の内訳は、仙台1、東京5、松本13、という結果になっておりました。
いやー、今年は遠征たくさんしましたね!

要するに、何が言いたいかというと…
ウオロクって素晴らしい!!
(バイト代でチケット代&交通費が払えるから)



はい、と言う訳で、観劇作品一覧とウオロクの素晴らしさを発表したところで、いよいよ発表させていただきます…
ちひろの演劇ベストテン2015完全版、発表です!





第10位
マームとジプシー『cocoon』



沖縄戦での女の子たちを描いた今日マチ子さんの漫画「cocoon」を、マームとジプシーの藤田貴大さんが演劇化、音楽はクラムボンの原田郁子さん。
2015年は原田郁子×マームとジプシー リーディングライブ『cocoon no koe cocoon no oto』も観劇したのですが、これは朗読と音楽が目の前で生み出されていく感じがとても素晴らしくて、期待して『cocoon』も観劇したのすが…なんかもう想像以上にとんでもなかった!
女優さんが大勢登場されるんですが、今日マチ子さんの描くふわっとして可愛い(それ故に生々しい場面では生々しさがより際立つ)女の子の雰囲気が本当にそのままだなって思いました。
前半は女の子たちの学園生活で、後半は戦争のシーンなんですが、藤田さんが得意とする、役者が舞台を縦横無尽に走り回りながら同じ場面を何度も繰り返す「リフレイン」と呼ばれる演出が、とても効果的に多用されていたと思いました。
前半の学園生活の場面は、ただの日常風景をこんな躍動感のあるシーンに作り上げるなんてどうやったら思い付くのかって感じで、かなりわちゃわちゃしているのですが、それが思春期の女の子たちの生命力をすごく表現していたと思いました。
その前半があったが故に、対照的に後半の戦争描写の凄惨さが際立っていたと思います。特に戦地を逃走する場面の「リフレイン」は、何人もの役者が入り乱れて舞台を走り回るのを何度も繰り返すことで、戦争のもう何が何だか分からなくなってしまう恐怖をすごくよく表現していたと思ったし、また、その繰り返しの中から死んだキャラクターから一人ずつ消えていくのは切なかったです。
あと、負傷した日本兵に主人公がレイプされるという強烈なシーンからは、戦争の被害者が加害者になりかねない恐怖を感じました。見ている自分が男性であるからこそ、自分も加害者になり得ることに気付かされる恐怖もありました。
そう言えば、この演劇の冒頭に、本編とは直接関係が無いように思える、現代の駅のホームで普通の女子高生とサラリーマンが向き合うシーンが登場し、最初は何のためのシーンか謎だったのですが、よく考えたらこの二人の役者さん、終盤でレイプする日本兵とレイプされる女の子をそれぞれ演じてるんですよね。つまり、戦争は歴史的な出来事だけど現代の我々と変わらない同じ人間達がそこに確かにいたこと、つまり、演劇が現実と「地続き」の問題であることを強調していたのではないかと。
ちなみに、この「戦争の何が何だか分からない恐怖」「被害者が加害者になる恐怖」「現実の我々と地続きの問題」という感想は、映画『野火』の感想とよく似ています。
『cocoon』は再演らしいんですが、何度も繰り返して演じられることで多くの人に見て欲しい演劇です。新潟公演、本当にありがとうございました!
…って、10位から大分熱が入って長く書いちゃったけど、このテンションのまま1位まで持つのだろうか……





第9位
ねもしゅーせいこ『夏果て幸せの果て』



月刊「根本宗子」という劇団の主宰のねもしゅーこと根本宗子さんが、シンガーソングライターの大森靖子さんとコラボして作った演劇。
僕は大森靖子さんが大好きなんですが見に行けたことはなく、と思ったら大森さんの妊娠が発覚!…というタイミングで、大森さんを観に行こう!と、東京芸術劇場まではるばる観に行った思い出深い作品。
舞台では彼氏に逃げられた「大森靖子」がバイトをサボって部屋にいる場面と、一方その頃バイト先のコンビニではクーラーが壊れててんやわんや、という二場面が同時並行で展開します。
「大森靖子」の役をまさかの根本宗子さんが演じ、「大森靖子」が脳内で妄想したもう一人の自分を大森靖子さん本人が演じるというややこしさなんですが、根本さん演じる大森靖子には「もしかして普段の大森さんってこんな感じかもな」という謎のリアリティがあり、大森さん演じる妄想の大森靖子はやたらはっちゃけてて可愛くて、「根本さんあなた大森さんのこと好き過ぎでしょ!」という愛情を感じました。
最終的に、大森さんが根本さんに「これは全てあなたが作ったお芝居!あなたは大森靖子じゃなくて根本宗子!」みたいなことを告げるまさかのメタ的な超どんでん返しがあり、「えーっ!?それやっちゃうー!?」ってかなりびっくりしたんですが、僕なりの解釈ですが、今思えばあれこそが根本さんなりの大森さんへの敬意だったのではないかと!勝手な予想ですが、冒頭の彼氏に逃げられてバイトをサボるエピソードは、本当は大森さんではなく根本さんの実体験なのではないかと。で、大森さんって普通なら人間が他人に見せたくない自分の中の深く黒い部分さえもさらけ出して音楽という芸術に昇華する格好良いアーティストだと僕は思うのですが、根本さんなりに演劇の中でそれをやったのではないか…?という説、どうでしょう…?
また、コンビニのシーンでは、三人の女性バイトのコントみたいな会話の中で、三人とも彼氏や旦那と上手くいっていないことが判明し、でも「それがどうした!」みたいに開き直って頑張ったらクーラーが直った!という強引な展開なんですけど、これもまた、女性が己のダメさをさらけ出して頑張る話なので、大森さんの格好良さに通じるのでは…?ま、あくまで僕の強引な解釈です!
それより何より僕がこの演劇で一番感動したのは、本当に全員が楽しそうにやりたい放題バカやってる!!(超褒め言葉)ってことです。まさかあの鳥肌実さんをあんな使い方してしまうとは!しかも、よりによって東京芸術劇場でやらかしちゃうのが本当に最高です!僕もBLUESのみんなとバカなことやるのが大好きだったので、そういう気持ちを思い出して、観劇しながら一緒に楽しんでいるような幸せな気持ちになりました。根本さんの劇、また見に行きたいなあ…
ちなみに観劇直後の感想、ブログにありました。よかったら読んでくれ!
ねもしゅーせいこ「夏果て幸せの果て」を見てきた!大森靖子という人は確かに実在していた!





第8位
劇団ハンニャーズ『ウルトラリップスZ』



はい、新潟演劇ランキング2位の作品が、ここで登場します!
新潟演劇に限らず2015年の観劇全体から考えても、ベストテンにはランクインするくらい大好きな演劇です。
えっと、感想は、一つ前の新潟演劇ベストテンに書いたので、そちらをご覧ください。
ちひろの新潟演劇ベストテン2015、このタイミングで発表します!





第7位
木ノ下歌舞伎『黒塚』



えっと、「黒塚」の感想の前にこの話をしておきたいんですが、「黒塚」を観劇する一ヶ月以上前に、僕は演出家の杉原邦生さんのWSを受けていて、そこで僕は本当に心の底から「演劇楽しい!」って思ったんですよ。それはまるで初めて演劇に出会った時に「世の中には演劇っていうこんなに楽しいものがあったんだ!」と気付いた時のような感動でした。
その体験から僕は杉原邦生さんが大好きになっていたので、「黒塚」もとても楽しみにして観に行ったのですが、もうマジで超楽しかった!
旅の僧侶たち山道で老婆の家に一泊したが、老婆は実は人間を取って食う鬼であった!そこから逃げる彼らを老婆が追いかける!しかし、そんな老婆が鬼になるには、悲しい過去があった…
で、何がすごいって、この物語の中に、もうあらゆる舞台の面白さが詰まっているんですよ。物語が始まるワクワク感も、コントみたいな笑いも、恐怖も涙も歌も舞踊もアクションも全部詰まった超絶楽しいエンターテインメント超大作!もう最高でした!FUUUUUUU!!!!!!
つまり、様々な方向性の違う面白さ一個の演劇の中に凝縮している感じなんですが、どこをとっても面白さの度合いが桁違いで、例えば笑えるところは大爆笑できるし、泣けるところは本当に切なく、アクションシーンはもう本当に手に汗握る、という感じなんです。演じている役者さんたちも本当に皆さん素晴らしく、特に老婆と逃げた僧侶のバトルみたいになるシーンは、身体能力に脱帽でした。
「黒塚」はもともと歌舞伎の演目で、そして「木ノ下歌舞伎」は歌舞伎を現代風に解釈した公演をしている団体らしいんですが、もしかして歌舞伎って本来こういうものなのかなあ、と思ったりしました。つまり、お芝居も歌も舞いも、笑いも涙も感動も、あらゆる娯楽要素、あらゆる舞台の格好良さを、一つの演目の中に強引にぶっ込みまくった娯楽超大作なのかも知れないなあと。どうしても僕は歌舞伎って言うと高度の芸術って感じがしますけど、本来こういう誰もが楽しめる娯楽だったのかなあと。そう考えると、歌舞伎の素晴らしさを現代に伝えるという意味で、木ノ下歌舞伎は大成功していますよね。だって超面白かったからね!歌舞伎って超面白いんですね!っていう。
また、歌舞伎の現代解釈の方向性も面白くて、例えば歌のシーンはラップ調になっていたんですけど、それが本当に格好よくて、歌舞伎って格好いいんだぜ!と言われたような気持ちになりました。





第6位
青年団リンク ホエイ『珈琲法要』



先程10位だった「cocoon」の感想にも書いたのですが、僕なりの2015年のキーワードの一つに「地続き」があると思うんですよ。全然違う世界だと思っていたものが、実は繋がっているという。つまり、演劇の世界で起こる問題は、客席にいる自分と別の世界じゃなく地続きの世界の問題であるという。特に2015年は政治不信などの世の中の風潮などもあり、まだまだ演劇には世界と人間を繋いだり、人間が声を上げるための手段の一つとしての役割があるんだと感じさせることが多く、そういう時、この「地続き」であることはとても重要だと思うのです。
で、この『珈琲法要』は、2015年で最も「地続き」を感じた作品です。まず会場に入った時から、役者さんたちが演劇の世界の人達としてすでに演技を始めているのですが、かと思えばその役の演技をしたまま客席誘導や前説を始めたりと、現実の世界と演劇の世界を行ったり来たりすることで、すでに舞台と観客が「地続き」になる世界を作っていたと思うんですよ。
他にも、劇場の舞台と客席がフラットになるような舞台作りもまさに「地続き」だったし、登場人物さんたちの台詞がかなり強い津軽弁で、ぱっと聞くと聞き取れないんだけど集中して聞いてるとちゃんと意味が伝わるのとかも「地続き」を感じました。
また、肝心の演劇の内容は、蝦夷地に赴任された津軽藩の藩士たちが政府から見放されて物資も食糧も不足して次々と死んでいく、という聞くだけで気が滅入るような重い内容なんですが、登場人物たちがまるでそこらへんの普通のおじさんたちのような親しみやすいキャラクターで、またちょいちょい笑いも挟んでくれるので、思い内容の演劇の世界も「地続き」となり入り込みやすく、それ故に最終的に藩士たちの悲しい物語の重みもずしっと心に届いてしまったなと思いました。
そして、アフタートークで知ったんですが、これってフィクションじゃなくて数十年前の日本で本当に起こった事件だったんですね。歴史的に見ても地続きだった!こんなことが本当にあったのか…と考えると恐ろしくなります。
劇中、藩士たちが薬として珈琲を飲む下りが登場するのですが、青森のあるお寺では毎年亡くなった藩士に珈琲をお供えする「珈琲法要」という行事が本当に行われており、それをもとに作ったのがこの演劇だそうで、この演劇が作られるまで、この藩士たちの死は一部の方々を除いて世の中にまったく知られていない事件だったそうな。演劇ってものすごい力を持っているんだなと、あらためて考えさせられた演劇でした。





第5位
Noism1『箱入り娘』



新潟の団体による新潟公演だけに限定した「ちひろの新潟演劇ベストテン2015」では1位だったNoismが、完全版では5位です。
感想はそちらに書いてあります。
ちひろの新潟演劇ベストテン2015、このタイミングで発表します!
って言うか、あんなに新潟で大熱狂した『箱入り娘』が5位とは、やはり世界は広い!面白い演劇は世の中に溢れている!果たして、上位にはどんな作品がランクインするのか!?





第4位
BLUES『ピコピコ電脳家族』



あー!なんか度々すいませんね!自分の所属団体の、しかも自分がゲスト出演した演劇が4位とか!しかもNoismより上とか!調子乗るなって感じかも知れませんけどね!そんなこと気にしなくていいんだよ!俺は「ピコピコ電脳家族」が大好きなんだ!俺の中では松本のBLUESは新潟のNoismみたいなもんなんだ!そのくらい好きなんだ!と言う訳で、4位にランクインです!
これ、2010年に初演だった演劇の5年ぶりの再演で、5年前にみんなで頑張って作ったまさに僕らの青春と言うべき思い入れの強い演劇が、あれから5年経って新たに生まれ変わる!これだけで相当ぐっときます。そこらへんは、『ピコピコ電脳家族』の告知に書いていてあります。
【チヒロブルースがBLUESを宣伝!】 BLUES Vol.03 「ピコピコ電脳家族」 (4/25,26)
と言う訳で、松本まで行ってスタッフをしながらゲスト出演してきた訳ですが、ゲネは普通に見ることが出来て、そこで思ったのは、「5年前よりめちゃくちゃ面白くなってる!」ってことです。やっぱりBLUESは成長している!素晴らしい!
ギャグもパワーアップしていて、より面白くなっていました。本番は舞台裏で待機しているんですが、客席から起こる爆笑が本当に嬉しかったです。やったぜ!!
そして、やっぱり一つの演劇として本当によく出来ている!って思いました。2015年は本当に素晴らしい演劇にたくさん出会い色んな感動がありましたが、最も泣いた演劇は、この『ピコピコ電脳家族』がぶっちぎりです。舞台裏で待機しながら、全公演で僕は号泣してました。結末を知っているのにです。いや、寧ろ結末を知っているが故に、もうオープニングの時点で「これ、あの伏線だ…」ってもう泣いちゃって、というか、新しい台本を読んだら5ページ目くらいでもう泣けちゃって、どんだけ泣くんだよ!って感じなんですが、仕方ないだろ!感動するんだから!本当にいい演劇なんだよ!こんなに大好きな演劇が出来るのは本当に幸せなことですね。
『ピコピコ電脳家族』って、主人公が同じアパートに居座ってる腐れ縁のニートの仲間たちとコントみたいなドタバタを繰り広げるバカ全開演劇なんですが、実は彼らが30000年前に封印された因縁の勇者と魔王の生まれ変わりだったというってことが判明し、それでもう一緒には住めないって決別するんだけど、でも本当は大好きなんだ!って最後の最後に主人公が気付くんです。なかなかの中二病的な超展開だけど、これってつまり、色んなことで悩んだり色んなものを失ったりした主人公が、最後の最後に本当に自分に大切な存在が何なのか気付く、とっても王道な人間ドラマだと思うんですよ。
で、これは僕なりの解釈なんですけど、この主人公たちの姿が、この5年間で色んな失敗もあったけど、それでも今でもみんなで幸せに演劇が出来ているBLUESの姿ととリンクしてる感じがして、そう思うとなおさら泣けてきますね!なんでしょう、「仲間こそがワンピースだったんだ!」みたいなね!(台無し)





第3位
復興支援舞台『イシノマキにいた時間』



東日本大震災のボランティア活動をしている三人の男達の人間ドラマを丁寧に描いた、笑いあり涙ありの演劇で、震災を描いた演劇としても、人間ドラマを描いた娯楽演劇としても、本当に素晴らしい演劇だったなあと思いました。
この時代、震災を扱った演劇って少なくないと思いますが、(そして、それはとても重要なことだと思いますが、)被災者ではなくボランティアの立場から震災を描くのは、少し斬新な感じがしました。そしてやっぱり、3人の主人公がボランティアという設定がすごく良かったと思います。ボランティアって、誰かのために行うのか自分のために行うのか、仕事なのか趣味なのか、なんとも説明のしにくい微妙な立場ですよね。(映画「クロスロード」の感想と似てますね。)そういうボランティアの微妙な立場から演劇を描くことで、震災という何から考えていいのか分からない複雑な問題を多面的にとらえることが出来たのではないかと思うのです。
例えば、ある登場人物は、ボランティアをもっと組織化して会社みたいにして社会貢献するべきだと考える。それは正しいことか。また別な登場人物は、仕事をすぐにやめてしまって無職になっては、現実逃避のように、また故郷に帰るかのように、何度も被災地のボランティアを訪ねる。それは正しいことなのか。このような誰かの個人的な問題を考えることで、震災という大きな問題を考えていくということは、震災という問題を扱っていく上で、演劇だからこそ出来ることだよなあって思いました。
そして、震災の問題を別としても、この演劇は人間ドラマとして本当に面白い!まず役者さんが三人ともとても魅力的ですよね!ステージに登場しただけで心をつかんでしまうような魅力があります。そして、三人とも笑いのセンスが抜群です!劇中で繰り広げられる会話のやり取りの一つ一つが本当に面白い!見終わった頃には、三人とも大好きになってしまいました。
さらに、ストーリーは最初は仲良かった三人が、次第にボランティアに対する考え方の違いからバラバラになってしまうという切ないものなんですが、最後の最後で、それぞれが違う場所で自分達の信じた道で精一杯生きていることを、お互いに何となく知るんですよね。いつか彼らがもう一度出会える日が来たらきっと仲直りして欲しい!そうあって欲しい!と、彼らに勝手に希望を感じたりしてしまいました。震災という大きな問題も、結局大切なのは人間と人間の関わりなのかもしれません。希望を失ってはいけないと考えさせられ、自分も頑張って生きていこう!と清々しい気持ちで観劇することが出来ました。
この演劇は、復興支援舞台として全国を回っているらしいのですが、是非一人でも多くの方に観て欲しいです。新潟公演、本当にありがとうございました!





第2位
ままごと『わが星』



出ました!わが星!2010年の岸田國士戯曲賞の受賞作品の2回目の再演ということなので、かなりの話題作でしたし、2015年に観劇して印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
僕はもともとこの作品をDVD上映会で知って感動して、これが再演されて実際に観劇できるチャンスが来たことが本当に嬉しかったし、しかも、自分の誕生日にこれを見てやろう!と、誕生日である6月2日に超楽しみにしながら東京に向かいました。そこらへんのことや、観劇した直後の感想は、ブログに書いてあります。
誕生日に「わが星」を観劇して来ました。あー、地球に生まれてよかった!
大好きな『わが星』が自分の目の前で繰り広げられている!という感動は並大抵のものではありませんでした。
地球の始まりから終わりまでと一人の女の子の人生が、同時並行に描かれる不思議な演劇なんですが、本当にどうしたらこんな素敵で不思議な演劇が書けるのでしょうか。柴幸男さん!
ブログにも書きましたが、過去と未来、宇宙と地球、時間も空間も行ったり来たりの四次元体験をしていたら、あっという間に演劇が終わって現実に戻って来たら僕の時間は90分経っていたというSFのような不思議体験で、見終わったあともしばらくどきどきが収まりませんでした。宇宙旅行とか時間旅行とか、そんなものから帰ってきたんだと思いました。まさにSFですね。
で、この演劇の素敵なところは、そんな宇宙の彼方まで旅して旅して物語は女の子と男の子の出会いに着地するんですけど、最終的に観劇後に自分自身に想いが至ってしまうんですよね。演劇の中の登場人物だけじゃなくて、観ていた自分自身の人生とふと向き合いたくなってしまう。そして、この演劇のチラシに書かれていたキャッチコピーを言いたくなります。「あー、地球に生まれてよかった!」と。心の底からそう思いました。
こんな素晴らしい体験を、自分が生まれた誕生日に出来たことが、本当に幸せなことだったなあと思います。生きてて良かった!
と言う訳で、凄い熱量で10位から2位まで感想を書いてきましたが、果たして1位はどんな作品が飛び出すのか…





第1位
レティクル東京座『幕末緞帳イコノクラッシュ!』



はい、と言う訳で、ちひろの演劇ランキング2015の第一位は、レティクル東京座『幕末緞帳イコノクラッシュ!』でした!おめでとうございます!エンタメやるぜよ!
2015年は本当に素晴らしい演劇にたくさん出会えた一年でした。ベストテン以外にもたくさんありますし、ここで挙げてきた作品は正直どれも1位でいいよ!ってくらい大好きです。ですけどね、2015年の僕の最大の演劇体験は何かって言ったら、どうしたって、レティクル東京座との出会いってことになってしまうわけですよ!これはもう、仕方ない!
僕がレティクル東京座を知ったのは、誰かから勧められたわけでも、知り合いが出演していたわけでも、何かで話題になったわけでもなく、たまたまTwitterでレティクル東京座の主催の赤星ユウさんをフォローしていたからなんです。何故かめちゃくちゃ気になって、いつか俺はこの人に会いに行かなければいけない!という謎の強い気持ちがありました。理由は分かりませんが、何て言うか直感的にそう思ったんです。(たまにこういう人に気付くことがあります。)
こうして、僕は誰一人知り合いのいない、何の前情報もない劇団の公演を、新潟からはるばる東京まで見に行ったんです。こんなことは滅多にありません。そこで初めて観劇したレティクル東京座が2月の「學園使徒ノクト」だったんですけど、これがもう超楽しくて、「こんな最高の人達が東京にいたのか!」って嬉しくなってしまって、公演後に念願の赤星ユウさんとも会えたし、役者さんたちとも仲良くお話しとかしてしまって、「次回も絶対行くぜ!」って思ったんです。
ここまでの出来事はブログに書いてます。
レティクル東京座と出会った!というあの2月の思い出!
続きまして、2月にレティクル東京座「學園使徒ノクト」を観劇してきた思い出。(めっちゃ長いよ!)
でですね、一度見ただけでこれだけ思い入れがあったレティクル東京座の次の公演「幕末緞帳イコノクラッシュ!」は友達を連れていこう!と思い、新潟の演劇仲間であるイシケンとルナシーを連れて行ったのですが、これがもう全作を遙かにしのぐ面白さで、三人とも大熱狂して演劇後にエンディング的に出演者たちが歌い踊る「レティクルライブ」では地下アイドルのライブばりにめちゃめちゃ盛り上がって帰って来たっていうね。こんなに幸せな演劇体験が、そうそうあるでしょうか!たまたまTwitterで知って何となく気になっていた情報が、こんなに素敵な出会いに繋がる。いやー、勇気を出して東京まで遠征してみてよかった!って言うか、本当に自分が演劇が好きで良かった!
レティクル東京座ってどういう劇団かって言うと、一言で言うと本当に超絶的にバカなんですよ!(最大級の敬意を込めた褒め言葉です)やりたい放題です。物語もキャラクターも衣装も音楽も大ネタ小ネタの数々も、やりたいことを何でもかんでも破綻も恐れずに一個に演劇の中にぶっこみまくった、本当に情報量が多過ぎるいというか密度が濃すぎるんですよね。アングラ演劇っぽい白塗りの役者たちが、そのままアニメから抜け出してきたかのような異様に派手すぎる衣装に身を包み、異様に誇張されまくった演技で、1クールのアニメを強引一本の演劇にまとめたような次から次に目まぐるしく変化するストーリー展開に、さらにはミュージカルと地下アイドルが一つになったような意味の分からなさで、書きながら自分でもよく分からなくなってきました。
だから、見終わるとすごくお腹いっぱいだー!ってなるし、ちょっとした疲労感に襲われるくらいんですけど、謎の中毒性があると言うか(笑)正直、観劇してからもう4ヶ月以上経っていますが、未だに色んなシーンを思い出しては「ああー!好きだなあー!」って気持ちになったりしています。
で、何でこんなに心に残るのかって考えたら、あの演劇が本当に「演劇が大好きだ!」っていう純粋な気持ちで作られてるからだと思うんです。どんなに心底下らないバカなことをやろうと、そこはまったくブレてない!こんな合成着色料とか添加物ばっかのジャンクフードみたいな演劇のくせして実は本当は全然不純物の混じってない超純粋な演劇への愛だけで演劇作ってる劇団なんてなかなかないと思うし、本当に出会えて良かったなあって思います。
特に今回の『幕末緞帳イコノクラッシュ!』は、演劇を扱った演劇なので、そういう演劇愛がよりダイレクトに伝わる作品だったと思います。とは言え、幕末のパロディで演劇を描くなんて、誰が思い付くでしょうか。もともと同じ劇団にいた坂本リョウマ、桂コゴロウ、高杉シンサクは解散し、それぞれエンタメ芝居、現代口語演劇、アングラ演劇に進んでいく…って、あらすじだけ書くと本当にふざけてるとしか思えないし、そして実際ふざけまくってるんですが、驚くことにこれ超感動するんですよね!思うに、作家の赤星さんは、エンタメ演劇も現代口語演劇もアングラ演劇も、本当に大好きなんだと思うんですよ。もちろん、役者さんたちからも、」そういう「演劇が好きだ!」っていう気持ちがほとばしりまくった結果生まれた演劇だからこそ、ちょっと他では体験できないような異常なハイテンションな演劇体験が出来たのかなあって思います。
本当にびっくりしたのがですね、この演劇2時間半くらいあるんですけど、エンディングがハッピーエンドじゃなくてちょっと切ない意外な展開なんですが、その瞬間僕は、「あ、ここで途中休憩かな。」って思ったんです。そうしたら、実際はエンディングで「え!もう終わり!?」ってびっくりしたんです。実際は2時間半も経ってたのに、体感時間は1時間あるかないかくらいで。こんな体験、本当に初めてでした。あっと言う間でした。なんなら、もっとあの世界に浸っていたかったくらいです。
と、1位ということで長々書いてきましたが、僕がどれだけ説明したとことで仕方ないと思うので、「いいから一回観に行ってみろ!」っていう気持ちです。3月の「昴のテルミニロード」も楽しみです!みんなも観に行こうぜ!
…という僕の熱い気持ちを込めての1位でした!おめでとうございます!





以上です!




あー、長かった―。
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