大ヒット上映中のスパイアクション映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』
評判がいいので、1/30(火)に観に行ってみることにしました。
しかし、よく考えたら僕はこの映画の前作である、2015年公開の『キングスマン』を観ていなかったのです。
そう言えば当時も面白いという評判を聞いていたけれど見逃していて、それ以降、気になってはいたもののずっと観られていなかったので、この機会にDVDを借りてみてみることにしました。
近所のTSUTAYAに行くと、とっくに旧作料金になってはいたのですが、人気作らしくて貸出期間が1週間ではなく2泊3日までになっていました。
いやー、『キングスマン』人気ですねえ…っていうか、僕と同じこと考えてる人が大勢いるんですねえ…笑
そんな訳で、DVDで『キングスマン』初めて鑑賞したんですけど、評判の通りのブラックユーモアと面白スパイガジェット満載のアクション映画で、感想を一言で言えば、よくも悪くも「やりすぎ!」っていう映画だったなあと思いました。
ここを受け入れて笑えるかどうかで、評価が変わって来そうな映画だなあと思うのですが、個人的には大絶賛!ってほどではないものの、まあ、それなりに面白かったです。
映画の冒頭、明らかにジェームズ・ボンドのパロディみたいなカッコいいスパイが登場したかと思えば、そのスパイが漫画みたいな強烈な悪役にアッサリ殺されてしまったあたり、明らかに過去のスパイ映画のシリーズに喧嘩を売っているような尖った映画だなあと思いました(褒めてます)。
対して、この映画の主人公は、どう見てもスパイ映画とは程遠いような貧困層の若者で、彼が伝説のスパイ「キングスマン」と出会ったことで自分も新たな「キングスマン」へと成長していく物語になっており、このあたりからも、過去のスパイ映画に囚われずに新しい時代のスパイ映画を作ってやる!という気概みたいなものを感じました。
そんな新しい時代のスパイ「キングスマン」がどんなスパイかと言うと、武器も悪役もアクションも、まさに漫画みたいな現実離れしたぶっ飛んだものになっていたのが、すごく印象的だったなあと思います。
だから、スパイ映画なんだけど、「ハリー・ポッター」のシリーズや、アメコミ映画などのアクションシーンを彷彿とさせるシーンが強く、まさしく漫画やアニメで育ったような今の若い世代が好きになりそうなスパイ映画を作ったのかなあと思いました。
そんな『キングスマン』ですけど、アクション以外にもギャグも相当ぶっ飛んでいて、と言うか、ブラックジョークがちょっとブラック過ぎやしませんか!?と、観ながらちょっと心配になってしまったほどでした。
いや、確かに映画の面白さとしては衝撃的ではあったけど、あれだけの人間が死ぬシーンをそんなギャグにしちゃっていいのかい?など、正直戸惑いはありました。
また、かと思えば、差別や貧困、宗教などの社会問題に鋭い風刺を投げかけているのではないかと思わせるシーンもあり、こんなメチャクチャな映画だけど意外と社会派なのかな…?と思わせておいて、かと思ったら、その社会風刺のやり方があまりにもブラックすぎて笑っていいのかいけないのか困惑する、という一面もありました。
多分、こうして僕が困惑しているのも、『キングスマン』の狙い通りだったのではないかと思っています。
と言う訳で、『キングスマン』、あまりにやりすぎなブラックジョークと、現実離れしすぎなアクションに、僕はそこまで乗れなかったなあ…そこまでアガらなかったなあ…と思ってしまう部分のある映画ではありました。
(正直に言うと、スパイアクションというジャンルをちょっと斜めに捉えているような『キングスマン』より、直球で正統派の『ミッション・インポッシブル』のシリーズの方が好きだなあ、なんて思いましたが、これは僕があまり漫画やアニメで育っていない人間だからっていうのもあるかも知れません。)
とは言え、貧困層の出身の主人公が、『キングスマン』を継承し、やがては師匠を超える存在になっていく下り、そして名台詞「Manners make the man」の下りなどは、めちゃくちゃグッときましたし、そういう好きなシーンもたくさんある映画でした。
まとめると、乗れない部分もあったものの、登場人物たちのことは好きになったし、まあそれなりに面白い映画だったってことになるんでしょうかね…僕にとって『キングスマン』はそんな映画でした。
はい、前置きが長くなりましたが、そんな訳で、『キングスマン』を予習したところで、新作『キングスマン:ゴールデン・サークル』を観に行って来ました。
と言う訳で、さっそくここから本題ということで、感想を書いていこうと思います。
ひとまず、予告編はこんな感じです。
で、『キングスマン:ゴールデン・サークル』の感想ですけど、一言で言えばまあまるで漫画ですよね!
リアリティよりインパクト重視というか、相変わらずやり過ぎで荒唐無稽なストーリーとアクションの数々は、完全に漫画の世界だと思いました。
特に人間離れした身体能力や驚愕のスパイガジェットが炸裂する荒唐無稽なアクションの数々は、まるでアニメ、またはアメコミ映画のようで、最近世界的なブームとなっているアメコミ映画のファンの人は好きになるだろうなあと思いました。
また、このように現実では絶対有り得ないようなアイディアを、物凄いテンポでどんどんストーリーに組み込んでいき、リアリティよりも現実離れした面白さをどんどん加速させていくような作風は、「009」というよりは「ルパン三世」みたいだと思ったり、三池崇史監督の実写版「ヤッターマン」みたいだなとも思ったりしました。
そんな訳で、漫画のようなアイディア満載のアクションの数々は、まるで「インディ・ジョーンズ」シリーズのアクションをさらに荒唐無稽にしたようなドラッギーな映像で、あまりの刺激の強さに観ていてクラクラするほどだったし、アクション以外にも、とにかくアイディアの多さ、テンポの速さというのがこの映画の一つの特徴になっている、まさにジェットコースタームービー、ドラッギーなカルトムービーだなあと思いました。
と言う訳なので、スパイ映画というよりはブラックジョーク満載のアクション映画っていう印象なんですけれど、何しろ最初から最後までハイテンションで全力疾走みたいな映画なので、2時間近くある上映時間はまったく飽きる暇はなかったし、まあ、全体的に観ていてそれなりに楽しかったです。
とは言え、それにしたってですよ!この映画の特徴は全体的に「やり過ぎ」であることは間違いない訳で、ブラックなギャグにしろアクションにしろ、あまりに刺激が強すぎるだろ!っていう要素は本当に多かったので、そこは評価の分かれるところかなあと思いました。
特にやっぱりブラックなギャグですよね…いや、映画の中ではギャグのレベルで扱われているにせよ、あまりにバイオレンスなネタ(出血などのバイオレンス要素は抑え目にはなっているとは言え、文字通り人間がミンチにされる)をあくまでもギャグの一つとして映画の前半にいきなり見せ付けられたのはさすがにぎょっとしました。
特に、(ちょっとだけネタバレしますけど、)物語の前半で、前作『キングスマン』から続く主要なキャストや設定が全部徹底的に殺されて爆破されるという展開があるんですけど、それはちょっと何が何でもやり過ぎじゃないか…?って気がしました。
だから、この『キングスマン:ゴールデン・サークル』を見てしまうと、前作『キングスマン』は一体何だったんだ!?って気持ちにもなってしまいますし、見返そうっていう気持ちにもまったくならないという…(だから、観る人は“絶対に”『キングスマン』→『キングスマン:ゴールデン・サークル』の順番で観てください!)
その後も、ストーリーを盛り上げるためにやたらポンポン人が死んでいく、重要なキャラクターでもわりとテンポよく死んでいく、という展開が本当に多いので、そういう細かいことを気にするような映画ではないとは分かってはいるものの、それにしたってちょっと人間死に過ぎじゃないですか?と思ってしまった部分は正直ありますね。
ブラックなギャグ以外では、例えばエルトン・ジョンが本人役で登場(しかも大活躍)みたいな完全にお金をかけた悪ふざけなギャグとかは本当に声出して笑ったんですけどねー。
また、そんな荒唐無稽なアクションとブラックなギャグが満載な映画でありながら、要所要所で世相を皮肉ってるような展開が登場してくるあたりも、やっぱり前回に引き続き特徴的だなあと思いました。
前作ではイギリスの貧困をネタにしていましたが、今回はアメリカのドラッグをネタにしていたので、相変わらず危険なところに切り込んでいく映画だなあと思いました。
と言う訳で、笑っていいのかいけないのか迷うようなギョッとするブラックなギャグと、荒唐無稽で激しいアクション、その中で世の中への皮肉も込めるという、刺激の強すぎる劇薬みたいな映画だったなあと思います。
と言うか、この映画の中でドラッグが登場しますが、この映画自体が一種の合法ドラッグじゃないか!っていう気もしました。
最後に、ストーリーについて全然書いていなかったんで一応軽く書いておきますが、前作『キングスマン』でただの貧困な若者だった主人公が英国紳士のスパイ“キングスマン”を受け継いでいくことになったわけですが、そんな彼が一人の立派なスパイに成長した姿はぐっとくるものがありました。
かと思えば、ちょっと恋愛にうつつをぬかし過ぎだろ!みたいなお茶目な一面もありましたが…笑
前作で死んだはずのあのキャラクターがまさかのびっくりな方法で生き返っていたのは嬉しかったでけどすね。(だったら他のキャラクターもそんなに殺すなよという気もしなくもないけど)
スパイの腕が鈍っていたのかと思いきや、やっぱり最強のスパイだった、っていう流れもアガる部分でした。
それと、一つ一つ細かくは説明できないんですけれど、エルトン・ジョンの下りにせよ、死んだ人間を生き返らせる方法にせよ、映画に登場する様々なギャグや設定、スパイのガジェット、みたいなものの多くが、一回きりの出番だけのものではなく、ちゃんと伏線が回収され、物語のクライマックスでもう一回活きてくる、みたいなストーリーは上手いなあと思いました。
にしても、物語の冒頭で登場したあのトラウマ級の人間の殺し方を、わざわざしっかり伏線を回収してクライマックスで登場させなくても…って気はしましたけどね…笑
と言う訳で、細かいことは気にせずに刺激の強い荒唐無稽なブラックなギャグとアクションにゲラゲラ笑いたいんだ!みたいな方にはオススメの映画ですね。
あと、これは勝手な予測ですけど、アメコミ映画に対して思うことと同様に、アニメとかゲームとかで育ってきたタイプの人は多分ハマる映画なんだろうなあと思います。
正直、僕はそこまでハマらなかったんですけど、これは僕が同世代に比べてアニメやゲームで育ってきた人間じゃないことが理由な気がしています。
まあ、その人が育ってきた中で触れてきた作品の種類によって、その人が新しい作品を好きになるかどうかの評価って変わってきますよね…っていう話をしていると長くなるので、今回はこのあたりで。