まだだ、まだ終わらぴぃやあ~!
まつもと演劇祭の感想をようやく書き終えた俺ですが、新潟とかで見た他の公演の感想も書いて行きますよ!
という訳で、今回感想を書くのは、昨年9月に公演を行った劇団私事。「則天八転」
3月1日、2日には、新しい公演が控えている劇団私事。
このブログでも宣伝しました。「【勝手に宣伝】劇団私事。『御伽草子-浦島さん・カチカチ山-』(3/1、2)」
劇団私事。の新しい公演を見る前に、一つ前の感想を振り返ってみようと思います。
という訳で、どうぞ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/5d/ce0b398bdc413105ca511e9dee3a58f1.jpg)
劇団私事。
「則天八転」
劇団私事。は、新潟大学の演劇研究部出身の杉谷くんが立ち上げた劇団です。
他の劇団員も、学生で結成されているようです。
杉谷くんとは去年の新潟演劇祭がきっかけで仲良くなりました。
で、なんか他の学生演劇の人達となんか違う雰囲気があって、ちょっと気になる存在でした。
なので、初めて見に行く杉谷くんが作・演出を手掛ける劇団私事。の公演は個人的にすごく気になっていました。
と言う訳で、そういう僕の「私事」に基づいた感想ですが、よかったら読んでね。
ストーリーは、とある大学が舞台。
主人公の花山薫くん(花山薫って!バキか!?)は、大学の研究室で夏目漱石の「こヽろ」に関するレポートを書いている。
どうも、花山くんはその研究室の愛川さんの存在が気になるらしいが、これと言って行動には出ない。
研究室に遊びにきた佐和山千春という男友達(女の子が演じてるけどね!)から、煽られても、何もしようとしない。
そして後藤という男が、同じように愛川さんを好きだという話を耳にする。
一人思い悩む彼の前に現れたのは、夏目漱石「こヽろ」の登場人物たちだった…
ま、ざっくり書くとこんな感じです。
感想を先に行ってしまうと、非常に楽しめました。
で、何が良かったのかって言うと、まず、杉谷くんが自分の見ている世界、みたいなものをすごく大切にしているからだと思うんです。
それぞれ見てる世界は違う訳ですが、杉谷くんはこういう風に世界を見てるのかっていう、そう彼だから見られているものをすごく大切にして、それをお芝居という形にしたのが良かったんじゃないかって思います。
具体例を挙げると、主人公の花山という少年。
彼はストーリー上、愛川さんのことを好きになる訳ですが、見ていると彼は自分の気持ちに気付いているのだろうか、というか寧ろ、彼の中に恋愛っていう概念はあるのかな?ってそのくらい、見てて危なっかしい。
危なっかしいと言えば、彼の演技は最初相当危なっかしかったよ!うん、演技なのか素なのか分からない危なっかしさね。
でも、後半そのキャラがいい感じで話に作用してくれたんで、うん、良かったよ。最初相当はらはらしたけどね。
で、彼が好きな愛川さんという女の子と、花山くんの関係が、また微妙な感じなんですよね。
例えば愛川さんが研究室のソファーで眠いって言って寝ちゃうシーンとかあるんですけど、ああいう完全に無自覚の状態の女の子から生じる一瞬の妙な色気というか。
愛川さんを好きな花山くんいとってはかなり精神的にざわめいたであろう微妙な一瞬ですよね。
そういう瞬間を切り取るのがすごく上手い。
でも、そんな愛川さんはいわゆる清楚系ヒロインではなくて、彼氏ほしーって言ってるようなどこにでもいそうな大学生の訳で。
どうやら佐和山くんは色んな男女の紹介をしてるキャラらしく、前にも愛川さんに男を紹介したこともあるらしい。
で、愛川さんは「もっといい男紹介してよ」とか言っちゃう、この身も蓋もなさね!
演劇のヒロインにあるまじき発言って感じもするけど、そこがこの舞台の魅力っちゃ魅力である。
因みにこのシーン、愛川さんが食ってるポッキーを佐和山くんが一本奪って一言「俺はポッキーを食う。あんたは男を食う」
この台詞大好き。
佐和山くんは結果的に周りの人間関係を引っ掻き回しちゃうキャラなんですね。
後藤君が愛川さんを好きだって知った時、花山くんの気持ちを知っておきながら、後藤くんをけしかけるような発言を面白半分でしちゃう。
その後藤くんってのも、大学に必ずいるモテる恋愛とかと全く無縁なキャラ。
というか寧ろ、異性を意識したり服装をこだわるという概念が最初から存在しないみたいな男の子な訳ですね。
そんな彼が愛川さんの前でカッコつけるために、人生初のお洒落をするんですが、その格好がもう…
そのウケを狙ったっていうか、本当に勘違いオシャレをしちゃった典型みたな「あーいそう!いたら絶対笑うわ」っていう。
そういう変な瞬間を切り取るのが、本当に上手いなって思いました。
杉谷くん、普段大学で変な目で人間観察とかしてんじゃないかなあって、そんなことを考えてしまいましたね。
ところで、物語の中盤で、いきなり夏目漱石の「こヽろ」の登場人物が現れます。
愛川さんがお嬢さん、後藤くんがK、そしてトラブルメイカーの佐和山くんは、まさかの下宿の奥さんになってます。
そして、いつしか主人公の花山くんは自分がいつしか先生と同じポジションになってることに気付く。
そう、このストーリー、二人が同じ女の子を好きになってしまうっていう点で、こヽろのワンシーンと全く三角関係が発生してるんですよ!
さあさあ盛り上がって参りました!
(まあ、ここは全部妄想のシーンなんですけどね)
こヽろの名台詞「精神的に向上心のないものはばかだ」をKポジションの後藤くんから言われ、激しい精神攻撃を受ける花山くん!
どうする、どうするんだ!?
そんな中、舞台には下宿のシーンになり、奥さん役の佐和山くんが登場!
こヽろでは、先生はここであの台詞を言ったが、どうする花山くん!
言うのか?言わないのか?
散々迷った挙句、彼は絶叫する!
「お嬢さんを私に下さい!」
言いやがった!
ここで妄想のシーンは終了。
現実に戻った花山くんは、見事に愛川さんと幸せに付き合いました…とはいかないのがこの演劇のいいところ。
結婚もしなければ、Kは自殺もしない、元通りの日常。
なんだよ、さっきのは結局全部妄想かよ!
そんな感じで、唐突に物語は終わります。
その感じが僕は非常に心地よい、というかこれはこういう物語なんだ、ってのに徹してて気持ち良かったです。
決して激しい個性の人物のド派手な演出もないんだけど、キャラはしっかり魅力的だし、私事。にしか作れないものだった気がします。
因みにカーテンコールは役者が一列に並んで挨拶っていういつも通りではなく、倉橋ヨエコの音楽に現れて役者たちがゆっくり歩きながら舞台上に現れ、各々が手に持った「則」「天」「八」「転」と書かれた紙を持って並び、最後に投げ捨て、暗転、明転すると誰もいないっていう演出でした。
それがまた、杉谷くんが「俺のやりたいことやってやったぜ」って感じがして、なんかいいんですよね。
見終わった後、何故かにやっと笑って劇場を後にしたくなる、そんなお芝居でした。
という訳で、そんな劇団私事。は、3月1、2日は『御伽草子-浦島さん・カチカチ山-』を公演!
僕も見に行きます!
そして、劇団私事に負けじと頑張る劇団@nDANTE「お勝手の姫」
本番まで、あと16日!
まつもと演劇祭の感想をようやく書き終えた俺ですが、新潟とかで見た他の公演の感想も書いて行きますよ!
という訳で、今回感想を書くのは、昨年9月に公演を行った劇団私事。「則天八転」
3月1日、2日には、新しい公演が控えている劇団私事。
このブログでも宣伝しました。「【勝手に宣伝】劇団私事。『御伽草子-浦島さん・カチカチ山-』(3/1、2)」
劇団私事。の新しい公演を見る前に、一つ前の感想を振り返ってみようと思います。
という訳で、どうぞ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/5d/ce0b398bdc413105ca511e9dee3a58f1.jpg)
劇団私事。
「則天八転」
劇団私事。は、新潟大学の演劇研究部出身の杉谷くんが立ち上げた劇団です。
他の劇団員も、学生で結成されているようです。
杉谷くんとは去年の新潟演劇祭がきっかけで仲良くなりました。
で、なんか他の学生演劇の人達となんか違う雰囲気があって、ちょっと気になる存在でした。
なので、初めて見に行く杉谷くんが作・演出を手掛ける劇団私事。の公演は個人的にすごく気になっていました。
と言う訳で、そういう僕の「私事」に基づいた感想ですが、よかったら読んでね。
ストーリーは、とある大学が舞台。
主人公の花山薫くん(花山薫って!バキか!?)は、大学の研究室で夏目漱石の「こヽろ」に関するレポートを書いている。
どうも、花山くんはその研究室の愛川さんの存在が気になるらしいが、これと言って行動には出ない。
研究室に遊びにきた佐和山千春という男友達(女の子が演じてるけどね!)から、煽られても、何もしようとしない。
そして後藤という男が、同じように愛川さんを好きだという話を耳にする。
一人思い悩む彼の前に現れたのは、夏目漱石「こヽろ」の登場人物たちだった…
ま、ざっくり書くとこんな感じです。
感想を先に行ってしまうと、非常に楽しめました。
で、何が良かったのかって言うと、まず、杉谷くんが自分の見ている世界、みたいなものをすごく大切にしているからだと思うんです。
それぞれ見てる世界は違う訳ですが、杉谷くんはこういう風に世界を見てるのかっていう、そう彼だから見られているものをすごく大切にして、それをお芝居という形にしたのが良かったんじゃないかって思います。
具体例を挙げると、主人公の花山という少年。
彼はストーリー上、愛川さんのことを好きになる訳ですが、見ていると彼は自分の気持ちに気付いているのだろうか、というか寧ろ、彼の中に恋愛っていう概念はあるのかな?ってそのくらい、見てて危なっかしい。
危なっかしいと言えば、彼の演技は最初相当危なっかしかったよ!うん、演技なのか素なのか分からない危なっかしさね。
でも、後半そのキャラがいい感じで話に作用してくれたんで、うん、良かったよ。最初相当はらはらしたけどね。
で、彼が好きな愛川さんという女の子と、花山くんの関係が、また微妙な感じなんですよね。
例えば愛川さんが研究室のソファーで眠いって言って寝ちゃうシーンとかあるんですけど、ああいう完全に無自覚の状態の女の子から生じる一瞬の妙な色気というか。
愛川さんを好きな花山くんいとってはかなり精神的にざわめいたであろう微妙な一瞬ですよね。
そういう瞬間を切り取るのがすごく上手い。
でも、そんな愛川さんはいわゆる清楚系ヒロインではなくて、彼氏ほしーって言ってるようなどこにでもいそうな大学生の訳で。
どうやら佐和山くんは色んな男女の紹介をしてるキャラらしく、前にも愛川さんに男を紹介したこともあるらしい。
で、愛川さんは「もっといい男紹介してよ」とか言っちゃう、この身も蓋もなさね!
演劇のヒロインにあるまじき発言って感じもするけど、そこがこの舞台の魅力っちゃ魅力である。
因みにこのシーン、愛川さんが食ってるポッキーを佐和山くんが一本奪って一言「俺はポッキーを食う。あんたは男を食う」
この台詞大好き。
佐和山くんは結果的に周りの人間関係を引っ掻き回しちゃうキャラなんですね。
後藤君が愛川さんを好きだって知った時、花山くんの気持ちを知っておきながら、後藤くんをけしかけるような発言を面白半分でしちゃう。
その後藤くんってのも、大学に必ずいるモテる恋愛とかと全く無縁なキャラ。
というか寧ろ、異性を意識したり服装をこだわるという概念が最初から存在しないみたいな男の子な訳ですね。
そんな彼が愛川さんの前でカッコつけるために、人生初のお洒落をするんですが、その格好がもう…
そのウケを狙ったっていうか、本当に勘違いオシャレをしちゃった典型みたな「あーいそう!いたら絶対笑うわ」っていう。
そういう変な瞬間を切り取るのが、本当に上手いなって思いました。
杉谷くん、普段大学で変な目で人間観察とかしてんじゃないかなあって、そんなことを考えてしまいましたね。
ところで、物語の中盤で、いきなり夏目漱石の「こヽろ」の登場人物が現れます。
愛川さんがお嬢さん、後藤くんがK、そしてトラブルメイカーの佐和山くんは、まさかの下宿の奥さんになってます。
そして、いつしか主人公の花山くんは自分がいつしか先生と同じポジションになってることに気付く。
そう、このストーリー、二人が同じ女の子を好きになってしまうっていう点で、こヽろのワンシーンと全く三角関係が発生してるんですよ!
さあさあ盛り上がって参りました!
(まあ、ここは全部妄想のシーンなんですけどね)
こヽろの名台詞「精神的に向上心のないものはばかだ」をKポジションの後藤くんから言われ、激しい精神攻撃を受ける花山くん!
どうする、どうするんだ!?
そんな中、舞台には下宿のシーンになり、奥さん役の佐和山くんが登場!
こヽろでは、先生はここであの台詞を言ったが、どうする花山くん!
言うのか?言わないのか?
散々迷った挙句、彼は絶叫する!
「お嬢さんを私に下さい!」
言いやがった!
ここで妄想のシーンは終了。
現実に戻った花山くんは、見事に愛川さんと幸せに付き合いました…とはいかないのがこの演劇のいいところ。
結婚もしなければ、Kは自殺もしない、元通りの日常。
なんだよ、さっきのは結局全部妄想かよ!
そんな感じで、唐突に物語は終わります。
その感じが僕は非常に心地よい、というかこれはこういう物語なんだ、ってのに徹してて気持ち良かったです。
決して激しい個性の人物のド派手な演出もないんだけど、キャラはしっかり魅力的だし、私事。にしか作れないものだった気がします。
因みにカーテンコールは役者が一列に並んで挨拶っていういつも通りではなく、倉橋ヨエコの音楽に現れて役者たちがゆっくり歩きながら舞台上に現れ、各々が手に持った「則」「天」「八」「転」と書かれた紙を持って並び、最後に投げ捨て、暗転、明転すると誰もいないっていう演出でした。
それがまた、杉谷くんが「俺のやりたいことやってやったぜ」って感じがして、なんかいいんですよね。
見終わった後、何故かにやっと笑って劇場を後にしたくなる、そんなお芝居でした。
という訳で、そんな劇団私事。は、3月1、2日は『御伽草子-浦島さん・カチカチ山-』を公演!
僕も見に行きます!
そして、劇団私事に負けじと頑張る劇団@nDANTE「お勝手の姫」
本番まで、あと16日!
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