自転車の話。
ちょうど一年前くらい、松本で使っていた自転車を盗難されました。
当時俺は仕事と演劇に忙しく、いつもイライラしていました。
今思えば、ちゃんと鍵をかける余裕がなくてかけ忘れていたもしれません。
それでも俺は「何で勝手にいなくなるんだよ!俺だって忙しいんだよ!」と苛立つばかりでした。
それでも、長年使っていた自転車を失った悲しみは大きかったです。
心にぽっかりと大きな穴が空いたようでした。
それでも、いつまでも泣いている訳にはいきませんでした。
自転車を失ったのは悲しい。でも俺にはこの先の人生がある…
そう自分に言い聞かせて、新しい自転車を見つけることにしました。
「絶対、いい自転車を見つけて幸せになってやるんだから……」
けれど、やっぱり忙しかった俺には、昔のように自転車を探すのに夢中になっている暇はありませんでした。
嗚呼、もう自分には新しい自転車との出会いは無いのか……
そんなある日、ふと立ち寄った綿半で、僕は一台の自転車と出会いました。
あれ以来、新しい自転車との出会いがをずっと無かった俺は、迷わずその自転車を選びました。
1万5000円という値段も、この時の俺は高いと感じませんでした。
新しい自転車との生活が始まりました。
しかし、僕がその自転車との日々に違和感を感じはじめるのに、それほどの時間はかかりませんでした。
いつもの帰り道、始めは小さな違和感に過ぎなかったものが、やがては一つの疑問となって、僕を苦しめていきました。
前の自転車と今の自転車を比べるのは間違っている……
そう自分に言い聞かせても、どうしても前の自転車よりも相性の悪さを感じてしまっていたのでした。
やはり、この自分はこの自転車と上手くやっていくことは出来ないんじゃないだろうか……
そんな疑問さえ頭に浮かんでは僕を悩ませました。
思えば、この自転車を選んだ時は見た目だけに惹かれて選んでしまったので、中身まで詳しく知ろうとはしていませんでした。
あの時の胸の高鳴りは、所詮は前の自転車を失った悲しみの一時的な反動に過ぎなかったのだろうか……
それでも、今の自分の生活にとって、すでにこの自転車は欠かせないものとなっていました。
自転車は、そんな僕の心を気にも留めていないのか、いつもと変わらない走りを見せるばかりでした。
それから、2ヵ月が過ぎた頃のことでした。
とある夜、突然電話が鳴りました。
何だろうと思いながら出ると、電話は警察からのものでした。
「あなたが探していた自転車が、松本市内で発見されました」
警察から場所を聞くと、僕は12月の夜の冷えた空気の中を走り出しました。
話を聞くと、自転車は2ヵ月近くも雨ざらしにされて立ち尽くしていたのだと言うことでした。
場所は、僕の家から歩いて十数分の場所でした。
こんなに近くにいたのに、ずっと気付かずにいたのか……
警察の話によると、高校生の犯行だろうということでした。
誰とも知らぬ高校生に、都合のいいように乗り回され、用が済んだらゴミのように使い捨てられたも同然でした。
僕は、2か月ぶりに再開した自転車と一緒に家路を辿りました。
けれど、僕の家の前では、新しい自転車が僕の帰りを待っていたのでした。
苦しい決断でした。どちらも僕の大切な自転車でした。
けれど、いずれはどちらかを選ばなければいけません。
悩んだ結果、僕は長年連れ添った自転車を選びました。
新しい自転車は、何も言わずに旅立って行きました……
それから一年、僕はいつもその自転車と一緒でした。
けれどもある日、僕は新潟に帰らなければいけなくなりました。
もちろん、自転車も一緒に帰ることになりました。
思えばこの自転車は、僕の実家に行くのは初めてなのでした。
この自転車と一緒なら、何も怖くない、そう思いながら実家へ帰った僕が目にしたもの……
そこには、いつか僕と2ヵ月だけ一緒に過ごした自転車が、あの日と変わらぬままの姿で、僕の実家の前に佇んでいたのでした。
けれど、僕の心はもう決まっていました……
まあ、要するにどういうことかって言うと、
古い自転車が発見された後、使われなくなった新しい方の自転車はですね、
両親が松本に来た時に、車に積んで新潟に持って行っていたんですよ。
その後、俺が松本から新潟に引っ越す時に、古い方の自転車も一緒に持って新潟で来て使う事にしていたから、
新しい方の自転車はイマイチ乗りにくくて誰も使わないので、リサイクルショップに売ることにしたのです。
で、先週の木曜日に自転車を売りに行って、いくらになるかと思ったら…
1500円。
まあ、こんなもんか!
ちょうど一年前くらい、松本で使っていた自転車を盗難されました。
当時俺は仕事と演劇に忙しく、いつもイライラしていました。
今思えば、ちゃんと鍵をかける余裕がなくてかけ忘れていたもしれません。
それでも俺は「何で勝手にいなくなるんだよ!俺だって忙しいんだよ!」と苛立つばかりでした。
それでも、長年使っていた自転車を失った悲しみは大きかったです。
心にぽっかりと大きな穴が空いたようでした。
それでも、いつまでも泣いている訳にはいきませんでした。
自転車を失ったのは悲しい。でも俺にはこの先の人生がある…
そう自分に言い聞かせて、新しい自転車を見つけることにしました。
「絶対、いい自転車を見つけて幸せになってやるんだから……」
けれど、やっぱり忙しかった俺には、昔のように自転車を探すのに夢中になっている暇はありませんでした。
嗚呼、もう自分には新しい自転車との出会いは無いのか……
そんなある日、ふと立ち寄った綿半で、僕は一台の自転車と出会いました。
あれ以来、新しい自転車との出会いがをずっと無かった俺は、迷わずその自転車を選びました。
1万5000円という値段も、この時の俺は高いと感じませんでした。
新しい自転車との生活が始まりました。
しかし、僕がその自転車との日々に違和感を感じはじめるのに、それほどの時間はかかりませんでした。
いつもの帰り道、始めは小さな違和感に過ぎなかったものが、やがては一つの疑問となって、僕を苦しめていきました。
前の自転車と今の自転車を比べるのは間違っている……
そう自分に言い聞かせても、どうしても前の自転車よりも相性の悪さを感じてしまっていたのでした。
やはり、この自分はこの自転車と上手くやっていくことは出来ないんじゃないだろうか……
そんな疑問さえ頭に浮かんでは僕を悩ませました。
思えば、この自転車を選んだ時は見た目だけに惹かれて選んでしまったので、中身まで詳しく知ろうとはしていませんでした。
あの時の胸の高鳴りは、所詮は前の自転車を失った悲しみの一時的な反動に過ぎなかったのだろうか……
それでも、今の自分の生活にとって、すでにこの自転車は欠かせないものとなっていました。
自転車は、そんな僕の心を気にも留めていないのか、いつもと変わらない走りを見せるばかりでした。
それから、2ヵ月が過ぎた頃のことでした。
とある夜、突然電話が鳴りました。
何だろうと思いながら出ると、電話は警察からのものでした。
「あなたが探していた自転車が、松本市内で発見されました」
警察から場所を聞くと、僕は12月の夜の冷えた空気の中を走り出しました。
話を聞くと、自転車は2ヵ月近くも雨ざらしにされて立ち尽くしていたのだと言うことでした。
場所は、僕の家から歩いて十数分の場所でした。
こんなに近くにいたのに、ずっと気付かずにいたのか……
警察の話によると、高校生の犯行だろうということでした。
誰とも知らぬ高校生に、都合のいいように乗り回され、用が済んだらゴミのように使い捨てられたも同然でした。
僕は、2か月ぶりに再開した自転車と一緒に家路を辿りました。
けれど、僕の家の前では、新しい自転車が僕の帰りを待っていたのでした。
苦しい決断でした。どちらも僕の大切な自転車でした。
けれど、いずれはどちらかを選ばなければいけません。
悩んだ結果、僕は長年連れ添った自転車を選びました。
新しい自転車は、何も言わずに旅立って行きました……
それから一年、僕はいつもその自転車と一緒でした。
けれどもある日、僕は新潟に帰らなければいけなくなりました。
もちろん、自転車も一緒に帰ることになりました。
思えばこの自転車は、僕の実家に行くのは初めてなのでした。
この自転車と一緒なら、何も怖くない、そう思いながら実家へ帰った僕が目にしたもの……
そこには、いつか僕と2ヵ月だけ一緒に過ごした自転車が、あの日と変わらぬままの姿で、僕の実家の前に佇んでいたのでした。
けれど、僕の心はもう決まっていました……
まあ、要するにどういうことかって言うと、
古い自転車が発見された後、使われなくなった新しい方の自転車はですね、
両親が松本に来た時に、車に積んで新潟に持って行っていたんですよ。
その後、俺が松本から新潟に引っ越す時に、古い方の自転車も一緒に持って新潟で来て使う事にしていたから、
新しい方の自転車はイマイチ乗りにくくて誰も使わないので、リサイクルショップに売ることにしたのです。
で、先週の木曜日に自転車を売りに行って、いくらになるかと思ったら…
1500円。
まあ、こんなもんか!
私は 家が団地で自転車置き場に皆して自転車を置いてあるんだけどさ。
その自転車置き場にいつもの自転車がなくなって
諦めていた所に電話が来たの。
お宅の自転車が電柱に くくられてありますよ。
なんとなんと
イトーヨーカ堂まで誰かが乗ってそのまま電柱にチェーンの鍵をかけてあったんだよね。
で、毎日通るたびに自転車があるもんだから変に思った人が でっかく書かれた電話番号に電話をくれたんだね。
見つかった喜びは大きい!
単純に移動がしにくいのもあるけど、愛着のあるものだからなぁ。
俺も松本時代使ってたチャリに乗って長野まで行ったしな。
めちゃくちゃ丈夫なやつだったので今では後輩が使ってくれてます
そうそう、学生演劇BLUESのメンバーとUSTREAM配信している最中に警察から電話があって、そのまま取りに行ったんですよね。
盗難する人は、些細な距離で乗り捨てるだけの人が多いけど、それでも被害に遭った方はかなりの迷惑だ。
とは言え、それを通報してくれるような心温かい人もいることが救いです。
>ちょっとセンチな10shock
確かに、愛着のある自転車が盗難された時のショックは大きい。
それにしても、よく自転車で松本から長野まで行ったな!
かくいう俺も、自転車で伊那から松本に来たりしてました。
>なんちゃってさん
「トイレ」だって思って聞くと、トイレにしか聞こえなくなりますよね。
あの歌は、あの部分だけ聞くと妙に耳に残る変な歌ですが、最初からちゃんと聞くとあのサビの盛り上がりは結構感動的です。