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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

シネ・ウインドで『劇場版アイドルキャノンボール2017』 アイドル VS AV監督 アゲイン!

2018-02-28 21:57:00 | Weblog


2/26(月)に、シネ・ウインドで『劇場版アイドルキャノンボール2017』を観て来ました。



ちなみに、予告編はこんな感じです。





さて、感想を書いていく前に、この映画がどんな経緯で作られた映画なのかを書いておこうと思います。



話は2013年のカンパニー松尾監督の『劇場版テレクラキャノンボール2013』にまで遡ります。
これは、ハメ撮りAVを得意とするAV監督のカンパニー松尾監督が、複数人のAV監督でハメ撮りを競い合うという、AVメーカー、ハマジムの人気企画を映画化したもので、すごく面白かったです。

その企画の派生企画として、2014年には『劇場版BiSキャノンボール』という映画が作られました。
これは、テレクラキャノンボールのAv監督たちが、2014年に解散したアイドルグループのBiSの解散ライブの裏で、各メンバーと一対一でカメラを向けながらハメ撮りを狙うというとんでもない企画で賛否両論を巻き起こしました。(どういう結果になったのかは敢えて書かないでおきます。DVDが出ているので気になる方はレンタルして見てみてください)

その後も、AVメーカーのハマジムと、BiSの所属する事務所・WACKとのコラボ作品は続き、2017年には『劇場版 BiS誕生の詩』、『WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩』が作られました。
が、この映画は新潟では上映されなかったので、僕は観ていません。(観たいです!)

そして2017年、WACKに所属する、BiS、BiSH、GANG PARADEの3組の新メンバーオーディションが行われました。
そこで、これまでキャノンボールシリーズを撮ってきたハマジムのAV監督に加え、ミュージックビデオの監督も加わり、彼らが3組に分かれてそれぞれBiS、BiSH、GANG PARADEに密着してドキュメンタリーを撮影(の裏で、またしてもハメ撮りを狙う!)という様子をまとめたのが、この『劇場版アイドルキャノンボール』がという映画です。



ちなみに、この映画が作られる過程で、BiSHに密着していたエリザベス宮地監督が、どんどんBiSHへの思い入れが強くなっていってしまった結果、スピンオフ的な映画『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』も作られました。
この映画は、シネ・ウインドでは2/10(土)~16(金)の一週間限定で上映されました。

感想はここに書きました。
シネ・ウインドでエリザベス宮地監督によるBiSHドキュメンタリー映画『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』を観て来ました!



さて、前置きが長くなりましたが、ここから感想を書いていくことにします。



で、一番最初に書いておきますけど、僕はこの映画、好きですよ!
好きですけど、この映画を語る上で、ここだけははっきり断言しておく必要があると思います…この映画、基本的に物凄く下世話で低俗なことをやっていることは、もう言うまでもないと思います!



まず、この映画は基本的にはWACKという事務所のアイドルオーディションに密着したドキュメンタリーなわけですが、そもそもオーディションという企画そのものが、もう本当に低俗の極みだと思うのです。
同じ事務所に所属するBiS、BiSH、GANG PARADEの3グループの現役メンバーと、アイドルを目指す一般応募の女の子が、3つのグループに分かれてそれぞれ4泊5日の合宿をしながら、合同オーディションを行って競い合うわけですが、このルールがとにかく、とんでもなく過酷なのです。

基本的には、毎日3つのグループごとに歌とダンスの練習をして、その成果を発表するのですが、それを審査するのは審査員だけでなく、オーディションの模様はネットで生中継され、視聴者による投票制度もあるのです。
プロのアイドルだけならまだしも、オーディションに参加する一般の女の子たちまで、不特定多数の視聴者の目にさらされてしまうのです。

しかも、そこで点数の低かった女の子は、毎日容赦なく脱落していったり、さらには3つのグループで競い合って、点数の高かったグループは低かったグループの曲を奪えるという残酷すぎる制度まであるのです。
さらに、歌やダンスだけでなく、毎朝マラソンで競い合ったり、さらには食事の時間までがオーディションの対象になっており、早食いや激辛ソースに挑戦するなど、今時下手なバラエティでもやらんぞ!っていうレベルの、露悪的と言えるほどの過酷な試練にアイドルと、アイドル志望の女の子たちは追い込まれていくのです。

そして何より一番残酷なのは、そうやって女の子達を残酷に追い込む姿を、見世物として世の中に提供していることですよね。
まさに鬼畜!WACK、恐るべし…



この時点で相当とんでもないアイドル事務所ですが、そんなアイドルオーディションに密着取材するのが、AV監督たち(MV監督もいるけど)というのが、もう冷静に考えるとまともじゃないですよね!
アイドルとAv監督、普通に考えたら有り得ない組み合わせなわけです。

さらに、裏テーマとしてAV監督たちはアイドルたちとどこまで接近できるか、どこまで撮れたかを、ポイントで競い合う、しかもアイドルと内緒で…というこの映画のルールそのものが、考え方によっては「アイドルを何だと思ってるんだ!」って言われても仕方ない世界!
しかも監督たちは密かにハメ撮りを狙っており、そういうエロい行為が撮れた場合は高得点が加算される…という、これはもう、完全にゲスの極み!



まあ、このアイドルに内緒でAV監督が密着取材をしながら、エロいポイントを競い合うという企画は、前作の「BiSキャノンボール」でもやっていたことなんですけどね…
「テレクラキャノンボール」なんていうとんでもない企画を世に送り出してきたAVメーカー・ハマジムと、とんでもない過激なオーディションやパフォーマンスで世間を驚かせてきたアイドル事務所・WACKが組むと、やっぱりとんでもないものが生まれてしまった…というか、彼らにしか絶対出来ないことだと思います!



で、この映画、何度も言いますけど、ものすごーく下世話で低俗なことをやっていることは言うまでもないと思いますよ…
それでも、やっぱり!僕はこの映画がすごく好きなんです!



まず、WACKのあのオーディションについてですけど、確かに過酷すぎるとは思いますよ。
こういうアイドルを競争させたり、アイドルに試練を課したりするパフォーマンス、個人的には好きではないですよ。

しかし、これは見方によっては、今の日本で流行している「アイドル」という文化に対する、ある意味、自己批評的なパフォーマンスでもあるのではないか?と僕は思ってしまうのです。
要するに、何だかんだ言っても昨今の「アイドル」という文化には、女の子をある状況に追い込むことで隠れていた部分を露呈させ、結果的にファンはそこに魅力を見出したり感動させられたりしてしまう、という、そもそもそういう残酷な構造があると思うのです。AKB総選挙なんていい例ですよね。

それを、このWACKという事務所はものすごーく露悪的に誇張させたパフォーマンスを行うことによって「要するにお前らの好きなアイドルってこういうもんだからな!」と世間を挑発しているようにも見えるのです。
現に僕は、前作「BiSキャノンボール」を観て、ひどい企画だなあ…と思いながらも、そんな企画の問題点にちゃんと怒ったファーストサマー・ウイカさんを見て「真面目な方だなあ…」と感動してしまったわけで、結局この映画を観ている時点で、「アイドル」という文化の残酷な構造を見せつけられながらも、まんまとその構造に感動してしまうという、本当にとんでもなく自己批評的な映画なんじゃないかと思います。

しかも、こんなにも過激で邪道なパフォーマンスをしながらも、ちゃんと魅力あるアイドルを育て上げてちゃんと売れている!ということに成功しているという、いや、確かにやり方はゲスの極みかも知れませんけど、誰も真似できないことを成し遂げている事務所であることは間違いないと思うのです。
どんなにパフォーマンスの過激さにドン引きしようとも、ここまでのものを見せられたら、もう、「すごい」としか言えないよなあ…と思ってしまうのです。



結局、アイドルという活動は、綺麗事だけでは語れないものだと思うのです。
その、綺麗事じゃない部分を、隠すこともなく見せ付けられると、たじろいでしまう部分はありますが、それでも「結局、人間が生きることって綺麗事じゃないんだよなあ…」という、アイドルを超えた謎の感動さえも感じてしまうのです。



さて、続けてAV監督(ここではMV監督も含まれる)のキャノンボールについてですが、言うの3回目ですが、物凄く下世話で低俗なことをやっていることは間違いありませんよ!
しかし…それでも僕はこのキャノンボールのシリーズが大好きなのです!

キャノンボールシリーズのそんなAV監督たちを見ていると、謎の感動があるというか、どこか心の琴線に触れる何かがあるのです。
で、これも結局、先程書いたような、人間の綺麗事じゃない部分が、しっかり記録されてしまっているからだと思うのです。

まず、AV監督が素人の女の子たちとハメ撮りを目指してカメラで密着する、という行為自体が、何度も言うようにゲスの極みですが、それでも、それを目指して必死でカメラを回すAV監督たちを見ていると、やっぱり謎の感動があるのです。
これはやっぱり、どんなに下らないものであっても人間の必死な姿は魅力的で見た者を感動させる何かがあると思うんですよね。

もしかしたら、下らないものであればあるほど、その魅力は大きくなってしまうのかも知れません。
キャノンボールに必死になるいい大人であるAV監督たちの姿を見ると、そこに彼らの生き様を見るというか…何というか、青春!って感じがしてしまうのです。

さらに、彼らがカメラを向ける対象は、基本的に素人の女の子たちだし、さらに何のやらせも台本もない世界なので、必ずしも美しい姿ばかりが映るわけではないし、時には彼女たちの生々しい本音や内面、それまでの人生背景などが浮き彫りになってしまうこともあります。
で、時にそこに人間というものの本質みたいなものが見え隠れすることもあるという、これはもう完全に、ドキュメンタリーの感動だと思うのです。



そんなこの映画の魅力、一言で言うなら、「人間臭さ」だと思います。
アイドルのめちゃくちゃなオーディションも、そこに密着取材してハメ撮りを目指すAV監督たちも、やっていることはとにかくめちゃくちゃですが、そこで彼らから発せられる、色々な人間臭さが時にカッコ良かったり、バカバカしかったり、キツかったり、その一つ一つが、やっぱり魅力的なのです。

そういう「綺麗事じゃなくて人間が生きている!」という生々しくて人間臭い姿が、こんなにも感じられる映画はなかなかないと思うんです。
で、あるがままの人間の姿に記録して、そこに感動を見出すっていうのは、これぞまさに、ドキュメンタリーの感動だと思うのですよね。



映画の中盤、カンパニー松尾監督が、オーディションに落ちた一人の女の子との会話で、ふと自分がAV監督であることをカミングアウトするシーンがあるのです。
そこでカンパニー松尾監督がつぶやく一言「僕は君が生まれる前からAVを撮ってるよ」に、何だかよく分からないけど、すごくぐっときてしまったんですよね。



変な状況に居合わせてしまったアイドルを目指す女の子とAV監督が、出会って言葉を交わすすべてが、なんだか人間臭くて魅力的に見えてしまうこの映画、観られて良かったです!
あ、ちなみにキャノンボール対決には最後にちゃんと決着がつきますが、それに関してはネタバレなしで書いておきました!
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