舞い上がる。

日々を笑い、日々を愛す。
ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「おもかげ」観てきました。

2021-07-16 23:14:12 | Weblog


7/16(金)、シネ・ウインドで「おもかげ」を観てきました。





予告編はこちら。



スペインで暮らすエレナは、ある日、離婚した夫とはぐれた幼い息子がフランスの海岸から電話をかけてきて、そのまま息子は消息不明になる。
10年後、その海岸で働きながら暮らし始めたエレナは、息子の面影を感じる少年と出会い、次第に不思議な愛情が芽生えるが周囲の人間関係は混乱していく…というドラマ。

まず冒頭、何気ない生活の一コマが息子からの助けを求める電話で一変する下りを、家から一歩も出ずに電話をするエレナだけを長回しにして表現していて、次第に彼女が混乱していく様子が生々しく伝わってきました。
そこから息子を探すサスペンス的展開になるかと思いきや、いきなり10年後に話が飛ぶあたりも「えっ?」って感じで引き込まれました。

ある日、エレナがジャンと出会う下りも、エレナが彼に息子の面影を見出しているんだな…という戸惑いが、何の説明台詞もないのに気持ちが伝わってくるんですよね。
どうやらジャンはエレナに惹かれていて、親子ほども年齢の離れた、しかも息子の面影のあるジャンにエレナは戸惑うわけですが、ここも台詞なしで伝わってくるという、言葉ではなく演技で物語を表現するという丁寧に作られた映画だと思いました。

そこで、ジャンはエレナの消息不明の息子なのか…?というサスペンスになっていくかと思いきや、実はそっちの方向に物語は全然進まず、エレナとジャンの出会いによる周囲の人間関係の混乱というドラマが展開していきます。
エレナの束縛的な新しい恋人、突然連絡してくる元夫、一方ジャンも家族とすれ違っていて、孤独な2人にとって次第にお互いが大切な存在なっていきます。

というか、最後まで見てもエレナの10年前の喪失はまったく何も解決しないんですよね。
それでも、今の自分にとっての様々な人間関係の問題に、エレナは一つ一つ立ち向かっていきます。

そうやってエレナが自分の人生を歩んでいくために、ジャンの存在はとても大きかったんだろうなあ…
決してハッピーエンドではないけど、それでも生きていくというギリギリの希望を感じる映画でした。
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