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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

マーベル・シネマティック・ユニバースの新ヒーロー!『ブラックパンサー』観て来ました!

2018-04-06 01:02:01 | Weblog


4/5(木)に『ブラックパンサー』を観て来ました!





予告編はこんな感じです。



アメコミを原作とし、アイアンマン、キャプテンアメリカなど様々なヒーローの映画を作りつつ、徐々にそれらをクロスオーバーさせながら展開しているマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のシリーズの第18弾!(そんなに!?)
映画一本一本のクオリティが非常に高いことで知られ評価も高いこのシリーズ、僕も「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」とか「スパイダーマン ホームカミングとか大好きです。

しかし、ここまでシリーズが進んで様々なヒーローたちの物語が複雑に入り組んでくると、正直僕のようなすべての作品をリアルタイムで追ってこなかった人間には一見さんお断り感も…
ですが、そんな僕にも嬉しいことに、この「ブラックパンサー」はまったく新しいヒーロー!

ということで、何の前情報もない僕みたいな人間も何も気にせず映画館に行けるぜ!
寧ろ、この映画がきっかけでマーベルのシリーズに興味を持って昔の作品を見返すのも面白そうですね!

そんなわけで観てきたので感想を書いていきますが、何しろ世界的に超絶大ヒットしているそうなのでわざわざ僕があらすじの説明とかするまでもないですかね…
一応軽く書いておくと、アフリカの架空のワカンダという国の国王が、先祖代々受け継がれるヒーローである「ブラックパンサー」となって戦う、という物語です。

MCUの映画は、ヒーローのカッコよさはもちろん、世の中へのメッセージなども込められていることで知られていますが、このブラックパンサー、アフリカ人の、しかも黒人が主人公でヒーローで、こういう映画がアメリカで作られ、しかも世界的に大ヒットしているという時点で、もう凄いことだと思います。
そして肝心の物語も、世界で繰り広げられている黒人差別の歴史を踏まえたものになっていて、ただカッコよくて面白いだけじゃない、この時代に世界中で観られることをしっかり意識した、強い平和へのメッセージを持った映画だったと思います。

まず、アフリカのワカンダ王国という設定が本当によく出来ていたと思います。
というのも、このワカンダ王国、高度な文明を持ちながら、それを世界に隠しながら表向きは発展途上国として生きている国なんですよね。

で、アフリカと言えば、多くの黒人が白人によって奴隷とされてアメリカや様々な植民地に連れていかれたという歴史があるわけですが、このワカンダ王国という国は、そこに関与していない、という設定なのです。
つまり、もしもワカンダ王国の高い技術力があれば奴隷として差別され続けてきた黒人たちを救うことだって出来たんじゃないのか?っていう疑問も出てくるわけです。

一応、ワカンダ王国が技術力を隠し続けているのは自国を守るためだという理由も示されるのですが、それは果たして正しかったのか!?
で、この問題は、自国の利益を第一優先するあまりに他国の国民を見捨てることは正しいのか!?という普遍的な問いにも繋がるわけです。

つまり、架空のワカンダ王国という設定があることで、黒人差別という普遍的な問題を新たな視点でとらえ直すことが出来るのです。
現実では有り得ない架空の物語によって、現実を浮き彫りにする、よく出来たSFやファンタジーにはそういう力があると思います。

『ブラックパンサー』はまさにそういう映画で、特に僕がすごいなと思ったのがこの映画の敵キャラの設定です。
最終的にこの物語の一番の敵となるキャラクターは、実は主人公のブラックパンサーと同じワカンダ国の出身の黒人であるということが判明します。

彼は黒人が差別され続けてきた歴史に怒りを覚え、もっと言えば自分の先祖や自分自身も差別され続けてきたという過去もあるため、言わばその復讐のために自分がワカンダ国の国王となり力を使おうとします。
結果的に彼は悪役となってしまいますが、その裏には彼が悪役になってしまうだけの非常に大きな理由があり、本当に間違っているのは社会なのではないか、という強いメッセージを感じました。

さらに、彼が復讐を誓った理由のもう一つに、彼の家族がワカンダ国に殺されたという過去があり、その理由としては一応国を守るために仕方がなかったという説明もなされているのですが、彼は当然納得できずに怒りを覚えるわけです。
ここにも、先程も書いたように自国の発展のためなら誰かを犠牲にしてもいいのか、寧ろそれこそが悲劇を生んでしまうのではないか、という社会に向けた非常に痛切なメッセージを感じました。

要するに、ただ絶対的な悪を正義のヒーローがやっつければハッピーエンドという過去の物語ではなく、何が正義で何が悪か分からない時代に、本当に間違っているのは人間ではなくて世の中なのではないだろうか、本当の意味で正義のヒーローとは何なのだろうか?という、新しい時代のヒーロー像を描いた映画になっているのです。
これは『スパイダー ホームカミング』の敵キャラが、もともとは社会の貧困の犠牲者だった、という設定に対しても思ったことです。、

悪役はキルモンガーという名前なんですが、ブラックパンサーとキルモンガーは、実は同じような境遇を生きた人間であり、表裏一体の存在であるかのように描かれています。
しかし、キルモンガーは武力による復讐を誓ってしまった、たったそれだけの違いでしかない存在なのですが、その違いは非常に大きな違いなのです。

そして、そんな不遇な境遇の中で、それでも人を憎まずに人を守るために力を使おうとするブラックパンサー。だからこそ彼はヒーローになれたわけです。
本当の意味で正義とは、ヒーローとは何なのだろうか…?その答えの先に、ブラックパンサーという新しい時代のヒーローは生まれているのです。

『ブラックパンサー』この時代に世界に向かって放たれた素晴らしいSF映画であり社会派映画であり、そしてもちろんヒーロー映画です。
という訳で、非常に素晴らしい映画であることは間違いない、物語の設定もストーリーも敵を含めたキャラクターも本当に素晴らしい、という気持ちにまったく嘘はないのですが…

ただ、一つだけ言わせていただくと、ヒーロー映画でありアクション映画であるにもかかわらず、アクションのシーンがあまり楽しめなかったのが残念だったなあと思いました。
例えば、前半は特に夜のアクションシーンばかりでどういうバトルが繰り広げられているのかイマイチ分かりにくかったり、同時並行的に様々なアクションを描くのですが誰と誰がどういう位置関係で誰と何のために戦っているのかが分かりにくかったり感じる部分が多かったと思います。

まあ、だからと言って面白くない映画ではまったくないんですけどね。
と言うか、おそらく世界最高峰の映像技術と莫大な予算と練りに練った脚本によって作られて世界的に大ヒットした映画に対してもこんなことを思ってしまうくらいなので、マーベルというブランドに対して僕を含む色々な人達が持っているハードル、めちゃくちゃ高いんだよなあ…でも嫌いじゃないんでこれからも頑張って欲しいです!
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