1/30(水)、イオンシネマ新潟南で『夜明け』を観て来ました。
新潟ではイオンシネマ新潟南だけでの上映だったようです。
予告編はこんな感じです。
この映画は、是枝裕和監督や西川美和監督(お二人とも好きな監督です)の監督助手を務めてきた広瀬奈々子監督のデビュー作だそうです。
是枝監督も西川監督も、静かながらも丁寧に人間を描写し、見応えのある映画を作る監督だと思うのですが、本作もまさにそんな魅力のある映画でした。
物語は、とある田舎町で一人暮らしの男性・哲郎が、倒れていた青年を助けたことから、家族のような不思議な共同生活が始まる…というものです。
哲郎には妻と子を交通事故で失った過去があり、青年のことを亡くなった息子のように受け止めていきます。
一見、疑似親子的な平和な生活が始まったようにも見えるのですが、青年は過去を決して語らず、哲郎に決して心を開くことはありません。
哲郎は青年を自分の職場で働かせたりと歩み寄るのですが、その溝は決して埋まることはありません。
そのうち、哲郎の周囲では青年に対する不穏な噂も流れ始め、不穏な雰囲気が流れはじめます。
というか、実はこの映画、実は最初から一度も平和な雰囲気にはならずに、常にヒリヒリした雰囲気が付きまとっているのです。
そんな中、哲郎だけが青年との関係に親子を見出しており、それが彼の孤独をより一層引き立てていたのもまた、切なかったです。
そして、青年は徐々に過去を告白するのですが、それはおそらく彼にとっては別れを意味し、それでも哲郎は彼を受け入れようとし続けるも空回りする一方で、最後の最後まで二人はすれ違い続けるのです。
だからこの映画は、疑似親子的な物語に見えて、実は人と人の分かり合えなさを描いた映画なのかなと思いました。
さらに言うと、田舎特有の排他的な雰囲気や世代間の断絶などの細かい描写もまた、その分かり合えなさを引き立てていたと思います
だから、考えれば考えるほど切ない映画なんですが、ただ、こういう題材を扱ってくれたことに救われる自分もいました。
映画などの作品は、残酷な現実を描くことで、「ああ、こういう気持ちを見過ごさずにすくい取ってくれる人がいるのだ」と気付かされ、それがある種の救いになることがあるものだと思っているのですが、まさにそんな映画だったんじゃないかと思います。