https://www.epochtimes.jp/p/2019/12/44578.html
序文
ルネサンスの頃から、人類の歴史は劇的な変化の時代に突入した。18世紀後期に始まった産業革命により、生産力は飛躍的に伸びた。世界各国の国力は大きく変化し、国際秩序が激変し、同時に社会構造、思想、宗教、伝統が変貌した。正統な信仰は衰え、社会は混乱し、人間の行為の判断基準である普遍的価値観が失われた。この歴史的背景の中で、共産主義が芽吹いたのである。
1917年のボルシェビキ革命の後、コミンテルンとして知られる共産主義インターナショナルは、共産主義の輸出を始めた。
1919年にアメリカ共産党が設立され、1921年に中国共産党が誕生した。1920年代末期から1930年代初頭に起きた世界的な大恐慌が、さらに共産主義イデオロギーを後押しした。世界の政治経済が左へと舵を切る中、ソ連は着実に足場を固め、中国共産党は発展のチャンスを掴んだ。
1949年、中国共産党が中国を奪取し、暴力的な共産主義政権が誕生した。ソ連と中国共産党は世界数十カ国をまとめ、世界の三分の一を支配し、西側諸国に対抗する共産主義陣営を形成した。
その後、半世紀に及ぶ冷戦が続いた。
暴力的な共産主義が人類を脅かす一方、欧米の自由社会にいる人々は、自国で静かに浸透している共産主義に対して全く警戒していなかった。
ソ連による浸透工作の他に、共産主義色の強いイデオロギーや運動(明白な共産主義者、ファビアン協会、社会民主党など)が、政府、ビジネス、教育、文化サークルの中に浸透していたのである。
1960年代に起きた反文化運動(カウンターカルチャー)や中国の文化大革命も、共産主義の要素がもたらしたものである。
1970年代の欧米の反抗的な若者たちは、「制度内への長征」を掲げ、内部から伝統文化を破壊し、社会的・文化的なリーダーになった。ほんの十数年の間に、彼らは驚異的な成功を収めた。
ベルリンの壁は崩壊し、ソ連が解体した。人々は冷戦の終結を祝い、共産主義の終焉を喜んだ。一部の人々が文明の衝突を懸念していたが、共産主義が外見を偽装し、新たに世界支配を目論んでいたことに気づく人は少なかった。彼らは、グローバル化という新しい看板を掲げたのである。
産業革命と科学技術の発達により、人の移動、経済、政治は目まぐるしく変化した。現代の遠距離通信、移動手段、コンピューター、デジタルネットワークが世界を縮め、数千年間存在した国境がなくなった。
世界は小さくなり、国同士の接触や交易はこれまでにないほど活発になった。これは、技術の発達や製造量の増大、移民増加に伴う自然な現象である。この種のグローバル化は、自然発生的な歴史のプロセスである。
しかし、もう一つのグローバル化が存在する。それは人類を破壊するために、自然なグローバル化をハイジャックした共産主義である。この2番目のグローバル化を検証するのが当章の目的である。
共産主義下のグローバル化とは、基本的に、共産主義および非共産主義政権の最悪の部分を、最速で拡散することである。
普及の手段は、大規模な政治、経済、金融、文化のオペレーションであり、非常に早いスピードで国家間および民族間の境界を消滅する。その目的は、人々が救われ、生き残るための心の砦としていた信仰、道徳、伝統文化を破壊するためである。
本書で何度も強調しているように、共産主義は単なる理論ではなく、邪悪な霊である。それは生命であり、最終的な目的は人類の破壊である。
この邪霊はひとつの政治イデオロギーに固執することなく、状況が変われば、古典的な共産主義に反する思想であってもそれを利用する。
1990年代以降、グローバル化は民主化の促進、市場経済、自由貿易を謳い、左翼団体から抗議を受けたりもする。
しかし、これらの左翼団体は、共産邪霊がもっと高いところで、巧妙に物事を操っていることを知らない。
経済のグローバル化、政治のグローバル・ガバナンス、アジェンダ21(地球サミットで採択された行動計画)を含むさまざまな環境条約や国際協定は、人類を支配し破壊するための手段である。
共産邪霊が操るグローバル化は、「グローバリズム」とも称される。それは驚異的なスピードでさまざまな分野に浸透し、あらゆる手段やルートを通じて世界中に触手を伸ばしている。当章はグローバリズムの経済、政治、文化的な側面を検証する。
この三つの側面が一つに融合し、グローバル化という世俗のイデオロギーが形成された。このイデオロギーは異なる時期にさまざまな外見を呈し、時には矛盾する内容を利用する。
しかし、基本的には、このグローバル化は共産主義と非常に似通っている。グローバル化は無神論と物質主義を信奉し、豊かで平等な、搾取、抑圧、差別のない社会を描写する。
それは世界政府によって管理されるユートピアである。
また、グローバル化は、神への信仰とその価値観を理念とする全ての民族の伝統文化を排斥する。
最近、このイデオロギーは、ますます「ポリティカル・コレクトネス」(政治的に正しい言葉遣い)「社会公正」「価値中立性」「絶対平等主義」という左翼の思想をあらわにしている。
これが、グローバル化のイデオロギーである。
各国それぞれに独自の文化が存在するが、それらは伝統的に、普遍的価値観の上に成り立っている。
それぞれの民族にとって、国家の主権と伝統文化は国家遺産や自決権を有するための要であり、それによって共産主義を含む強大な外部勢力から自らを守ることができる。
いったん世界的な超大型政府が樹立されれば、共産主義はいとも簡単に私有財産を廃止し、国家、民族、伝統文化を消滅させるだろう。
グローバル化は人類の伝統文化と民族を破壊し、甚大な力で左翼イデオロギーと共産主義を伝播する。グローバル化の根底にある共産主義と、その二つの相似性について議論することは非常に厄介だが、早急に検証すべき重要な問題である。
1. グローバル化と共産主義
マルクスは「グローバル化」という概念は用いなかったが、「世界史」という言葉を使った。この二つには似たような意味合いがある。
マルクスは『共産党宣言』の中で、世界的な資本主義の拡大は必然的に大量のプロレタリアートを生み、従って、プロレタリアートによる革命が世界を席巻し、資本主義を転覆して共産主義の「楽園」に到達すると主張した。
【1】 マルクスは、「従って、プロレタリアートは世界史にのみ存在し、共産主義と同様に、その活動も「世界史」にのみ存在する」と書いている。【2】 つまり、共産主義の実現には、プロレタリアートが共同し、世界で行動を起こすことが不可欠である。
共産主義革命は、グローバルな運動でなければならない。
レーニンがマルクスの教義を修正し、資本主義との繋がりが薄い場所(ロシア)でも革命は起こせると主張したが、共産主義は決して世界規模の革命をあきらめてはいなかった。1919年、ソ連の共産主義者はコミンテルンをモスクワに設立し、その後、60カ国以上に支部を広げた。
レーニンは、世界社会主義共和国の樹立を目標に掲げた。【3】
アメリカの思想家エドワード・グリフィン(Edward Griffin)は、スターリンが提唱した共産主義の世界革命について、下記のようにまとめている。
1. 混乱させ、秩序を乱し、世界中の資本主義勢力を破壊する。
2. ひとつの世界経済のもとに、すべての国々を集結させる。
3. 先進国から発展途上国へ提供される資金援助を長引かせる。
4. 世界政府への移行段階として、世界を地域別にグループ化する(例えば現存のNATO(北大西洋条約機構)、SEATO(東南アジア条約機構)、米州機構など)。人々はますます国家への忠誠心を失い、あいまいな地域の忠誠心や、世界的な権威に屈する。
2. ひとつの世界経済のもとに、すべての国々を集結させる。
3. 先進国から発展途上国へ提供される資金援助を長引かせる。
4. 世界政府への移行段階として、世界を地域別にグループ化する(例えば現存のNATO(北大西洋条約機構)、SEATO(東南アジア条約機構)、米州機構など)。人々はますます国家への忠誠心を失い、あいまいな地域の忠誠心や、世界的な権威に屈する。
5. 後に、地域をひとつにまとめて、プロレタリアートによる世界専制政治で統治する。【4】
アメリカ共産党の議長を務めたウィリアム・フォスター(William Foster)は、次のように書いている。
「共産主義の世界は統一された、組織的な世界である。経済制度は、ソビエト連邦で今幕開けしようとしている計画理念に基づく、一つの大きな組織である。この世界政府の中で、ソビエト政府は重要なセクションになる」【5】マルクス、レーニン、スターリン、フォスターの文章や、中国共産党が提案する「人類運命共同体」を見ると、共産主義が数カ国を支配するだけでは満足していないことは明らかである。
最初から最後まで、共産主義のイデオロギーには人類すべてを支配するという野望が含まれている。
マルクスが予見したプロレタリアートによる世界革命は起こらなかった。彼が廃れて消滅すると言った資本主義は勝利し、繁栄し、栄えている。
ソ連と東欧が崩壊し、残ったのは中国共産党といくつかの政権のみだった。共産主義は終焉に直面したかのように見なされ、表向きは自由社会の勝利だった。しかし、西側が共産主義の消滅を期待している間に、社会主義(共産主義の初期段階)が再び息を吹き返し、成長した。
共産主義の邪霊は消滅しなかった。それはさまざまな教義や運動の裏に潜り込み、浸透し、共産主義イデオロギーで自由社会のすべての分野を腐敗させた。それは偶然だろうか?
もちろん、そうではない。グローバル化は一見、自然現象のように見えるが、その発展過程で共産主義が果たした役割は明確である。共産主義がグローバル化のイデオロギーを先導しているのである。
第二次世界大戦後、ヨーロッパの左翼勢力は絶え間なく拡大した。民主社会主義を掲げる社会主義インターナショナルは、100カ国以上の政党を抱える国際組織に成長した。
これらの政党は各国で権力を握り、ヨーロッパ中に広まった。この背景のもと、ヨーロッパ全体が高額の税金、高水準の社会福祉、国有化の政策をとった。
グローバル化がアメリカ企業を空洞化させ、中間層を縮小し、収入の低下、貧困層と富裕層の二極化、社会の分断を招いた。
これらがアメリカの左翼と社会主義の台頭を招き、過去十数年、世界の政治は極端に左傾化した。一方、世界の左翼勢力は、グローバル化が所得格差の元凶であると批判した。
資本主義に対抗する社会主義の波が、反グローバル化運動とともに広がった。
冷戦終結後、共産主義がグローバル経済に浸透した。共産主義の目的は、各国の経済的自立を妨げ、経済基盤を破壊することである。
同時に、人間の欲望を存分に利用し、西側経済の富(数百年かけて社会に蓄積された富)を、いち早く中国共産党に移行した。
中国共産党はその莫大な富を利用し、他国を束ねて人間の道徳を一気に堕落させた。
共産主義勢力の先導として、中国共産党は絶えず経済力を伸ばし、世界中の左翼や共産党に強壮剤を注入した。
共産党は全体主義のルールを用いて世界の貿易ルールを乱し、世界の資本主義経済から得た利益を用いて、自身の社会主義政策を強化した。中国共産党は圧倒的な経済力で政治・軍事力を拡大し、共産主義モデルを世界に輸出している。
グローバルな見地からいえば、反グローバル化を掲げる左翼も、中国共産党も、どちらもグローバル化から利益を得た集団である。実際、今の世界は、スターリンが過去に夢描いた世界と非常に近いのだ。
2.経済のグローバル化
経済のグローバル化とは、1940~50年代に始まり、1970~80年代に成熟した世界の資本、製造、貿易の統合のことである。この仕組みは、1990年代に世界的な規準となった。
それを背後で動かしていたのは、国際機関や大企業であり、それらは規制や資本の自由な流通を理由に規制緩和を要求した。
表面的にみると、経済のグローバル化を推進し、世界的な資本主義を推進してきたのは、西側諸国にみえる。
しかし、残念ながら、グローバル化は共産主義の拡大を促進する道具となった。グローバル化によって、欧米諸国は中国共産党政権に莫大な資金を提供し、西側の市場経済と中国の社会主義経済は相互に依存するようになった。経済利益の見返りとして、欧米諸国は良心や普遍的価値観を犠牲にし、中国共産党は経済的な脅しを使って欧米を黙らせた。
まさに、共産主義が世界を支配している構図である。
a. 共産主義型経済を生んだグローバル化
グローバル化は世界の各経済を一つの経済システムに統合し、その過程で大規模な国際組織、条約、規制がつくられた。
表面的に、これは資本主義と自由市場の成長と映るかもしれない。しかし、これは支配的な統一経済体制が形成される過程であり、指令を出せば多くの国々の企業の命運を決めることのできるシステムである。
つまり、中央集権型の、専制経済システムである。この国際的な統一体制が設立された後、先進国から発展途上国への長期的な経済援助が始まった。まさに、スターリンが思い描いた三つめのゴールである。
国際経済機関は通常、経済支援の条件として、被援助国のマクロ経済に介入することを要求する。その手法は往々にして独裁的であり、被援助国の社会、文化、歴史的な状況を考慮しない。
その結果、被援助国では自由が制限され、中央集権による支配が拡大する。アメリカの政策アナリスト、ジェームス・ボバード(James Bovard)は、世界銀行が「第三世界の経済の国有化を甚だしく促進し、貧困の中の貧困にいる人々に対する政治的・官僚的な支配を強めた」と書いている。【6】
また、経済のグローバル化はグローバルな均質性を促す。消費者の流行が類似し、製造と消費システムが大幅に統一化された。小さい会社、特に伝統芸術や工芸を扱う会社は存続の危機に晒された。地元の民族が担っていた小さな会社はグローバル化の波によって消滅させられた。
ますます多くの人々が、自国で自由に商業を営むことができなくなった。
発展途上国がグローバルな製造チェーンの一部となり、経済的な主権が奪われ、一部の国は衰退した。ある国は莫大な債務に追われ、国内の自由資本主義経済の基盤が破壊された。
b. 発展途上国の共産主義を育てるグローバル化
2000年初期、ジャマイカは市場を解放し、安価な牛乳を大量に輸入した。これにより、より多くの人々が牛乳を入手したが、地元の酪農業者は倒産した。メキシコは軽工業が盛んだったが、中国がWTOに加盟すると、仕事はメキシコから中国に流出した。
メキシコには高級品を製造するスキルがなく、経済は停滞した。資源の豊富なアフリカ諸国は外資が流入したが、採掘された鉱物は外国に輸出され、地元経済を潤すことはなかった。
海外資本は同時に、政府高官たちを腐敗させる。グローバル化は民主主義をもたらすと謳っているが、実際には腐敗した独裁官僚を富ませ、貧困を悪化させた。
2015年に発表された世界銀行の統計によると、「極貧層の半分以上はサブサハラアフリカ地域に居住している。実際、同地域の貧困層は900万人に増加し、2015年では、4億1300万人が一日あたり1.90米ドル以下の生活を送っている」【7】
タイはその脆弱な金融システムを開放し、一時的な繁栄を得たが、外国資本が撤退すると、経済は大きな打撃を受けた。タイ通貨暴落は周辺国にもマイナスの影響をもたらし、アジア通貨危機が起こった。
通信技術と移動手段の発達により、世界は一つの村になった。グローバル化が経済的な繁栄と民主化の価値観を世界中にもたらすとみなされた。
しかし、ハーバード大学ケネディー・スクールのダニ・ロドリック(Dani Rodrick)によれば、グローバル化には「三つのジレンマ」があるという。
「われわれは、民主主義、民族自決、経済のグローバル化を同時に追求することはできない」。【8】 これはグローバル化の隠れた欠点であり、共産主義に利用される原因でもある。
グローバル化によってチャンスや利益を得たのは少数の人間である。その他の地域では、グローバル化が貧富の差を拡大し、解決困難な貧困問題を生んでいる。
グローバル化は国家の主権を奪い、地域の混乱を激化させ、「抑圧者」と「被抑圧者」を対立させる。抑圧、搾取、不平等、貧困は、左翼が資本主義と戦うための決まり文句である。
なぜならば、抑圧される者が抑圧する者に対抗するのは、共産主義の典型的なやり方だからである。共産主義が説く絶対平等主義と闘争精神は、グローバル化の波に乗って世界中に拡散した。
c. グローバル化が富の集中を生み、共産主義イデオロギーを可能にした
産業の大規模な流出と失業率の増加で打撃を受けた欧米諸国は、グローバル化の被害者でもある。
アメリカを例にしよう。巨額の資本と技術が中国へ流出し、数多くの製造業が倒産した。2000~11年にかけて、570万人の労働者が仕事を失い、6万5千の工場が閉鎖された。【9】
国内の格差は年々広がっている。過去30年間、平均収入の伸び率(インフレーション調整済み)は停滞し、労働貧困層が増加した。彼らは年27週間仕事に従事、あるいは求職している労働者たちで、彼らの収入は法定貧困レベルを下回る。
2016年、760万人のアメリカ人が働く貧困者(ワーキングプア)と認定された。【10】
貧富の格差拡大は、共産主義が繁栄する環境を醸成する。経済問題は経済の範囲を超えて増長していく。「社会公正」や収入格差の是正に対する要求が、社会主義イデオロギーを促進する。
他方、社会保障への要求も高まるため、より多くの貧困家庭が生まれ、悪循環に陥る。
2000年以降、アメリカの政治的スペクトルにおける左翼政党の影響は極めて強くなった。2016年大統領選以前、アメリカでは社会主義への要求が高まり、党利党略のため、政治の分極化が起こっていた。
この現象の裏にあったのは、グローバル化である。欧米の民主社会が混乱に見舞われると、共産主義勢力が勝ち組として、世界の舞台に躍り出るのである。
d. 反グローバル化も共産主義イデオロギーを推進する
グローバル化の前進と共に台頭してきたのは、反グローバル化である。1999年11月30日、シアトルで起きたWTO閣僚会議前での大規模な抗議活動がそのきっかけを作った。2001年に開催された三つの大規模な国際会議(カナダ・ケベックでの米州首脳会議、スイス・ヨーテボリでのEUサミット、イタリア・ジェノバでのG8経済サミット)は、大規模な抗議活動に取り囲まれた。2002年、イタリア・フィレンツェでは参加者100万人という最大規模の反グローバル化運動が起こった。
反グローバル化運動に参加する人々の出自はさまざまである。大部分は資本主義に反対する明白な左翼であり、その中には労働組合や環境団体(これも共産主義に浸透され、すでにハイジャックされている)、あるいはグローバル化の被害者や社会的弱者である。
その結果、グローバル化の支持者であろうが反対者であろうが、彼らは無意識に共産主義を助けている。
e. 中国共産党を育んだ欧米の資本主義
グローバル化の是非を判断する時、専門家は往々にして中国を一つの成功例として挙げる。
中国はグローバル化から多大な利益を得ており、世界第二位の経済大国にまで上り詰めた。多くの専門家は、中国がやがてアメリカを追い抜くだろうと予測している。
軽工業が主流のメキシコと異なり、中国共産党は欧米の最新技術を導入し、競合国を圧倒した。
中国共産党は国内市場を開放する見返りに、先進国企業との合併事業(ジョイント・ベンチャー)設立を条件とし、相手から主要な技術を引き出した。
中国共産党のやり方は、無節操な技術移転の強制から、ハッキングによるあからさまな窃盗などさまざまである。
先進技術を得た後、中国共産党はその優位な立場を利用して、安価な製品を世界市場で売りさばいた。輸出割戻し(リベート)や輸出補助金によって、市場価格を下回る製品でライバルを打ち負かし、世界の自由市場の秩序を乱した。
国内市場を開放した他の発展途上国と違って、中国共産党はさまざまな貿易規制をかけている。WTO加盟後はそのルールの恩恵にあずかると同時に、グローバル化を利用して世界中に自国の製品をばら撒いた。
ルールの上にずっしりと乗っかりながら、中国共産党は莫大な経済利益を得た。しかし、共産党は主要分野の開放には着手しなかった。
通信、銀行、エネルギーである。そこで、中国はグローバル経済を利用しながら、約束を守らないということができたのである。
経済利益で買収された欧米は、中国の人権問題に目をつぶり、口を閉ざした。悪名高い中国共産党に対して、国際社会は寛大な恩恵を与え続けた。
前進するグローバル化、力をつけた中国共産党、さらに道徳の堕落した中国社会の三つが市場経済に打撃を与え、欧米の貿易ルールを打ち壊した。
ルールの破壊者として、中国共産党はグローバル化の旨みを全て吸い取った。
グローバル化はある意味で、中国共産党の輸血装置といえるだろう。息絶え絶えだった共産党を甦らせたからである。
グローバル化の裏に隠された真の目的は、富の再分配によって中国共産党を強大にすることである。中国共産党は不正に富を蓄える一方、最も残忍な人権侵害を犯しているのである。
グローバル化は中国共産党を助け、合法化してきた。中国共産党は資本主義から流入する養分で社会主義の筋肉をつけているが、それに比べて欧米は衰退している。
中国共産党は自信をつけ、さらなる世界制覇への野望を持つようになった。多くの社会主義者と世界制覇を目論む一部の左翼は、中国の台頭に歓喜した。
経済成長を続けながら、中国共産党はWTO、IMF、世界銀行、国連、国連工業開発企業など世界の経済組織に浸透した。組織内の主要な地位に就任した人は、党幹部から中国共産党に協力するよう求められる。彼らは中国共産党の計画を承認し、実行する。
中国共産党は国際的な経済組織を利用し、自身の経済アジェンダとコーポラティスト・モデル(集団のコントロールされた状態、協調組合主義)を実行する。もしこの計画が継続していくならば、同政権が世界の政治経済にもたらす災難は計り知れないだろう。
上記で、共産主義がグローバル化を利用して拡大した数例を挙げた。通信技術と移動手段の発達により、経済活動は国境を越えるようになった。
これは自然な過程であるが、今回に限っては、中国共産党に世界支配のチャンスを与えることになってしまった。
現在、何が起こっているのかを見極め、警戒する時期が来ている。共産主義のグローバル化を止めなければならない。
そうすれば、各国が主権を取り戻し、人々の幸福が実現するチャンスもあるだろう。
(中略)
結論
さまざまな国家や国々が、千年の時を超えて存在している。地域、社会形式、政治制度が異なり、また言語、文化、精神的気質もさまざまだが、すべては共通の普遍的価値観を持っている。この価値観こそが、あらゆる民族に備わった伝統文化の核である。
100年前に共産主義が世界の舞台に踊り出た後、伝統文化は堕落し、大規模に破壊された。人類はすでに非常に危険な状況にある。
10月革命の後、共産主義はロシアと中国を支配した。この東側の強国は伝統文化の担い手だったエリート層を抹殺し、伝統文化を破壊した。
第二次世界大戦後、共産主義国家は国連やその他の国際機関に浸透し、民主的なプロセスを悪用して小国を買収した。その結果、多数派が少数派を圧倒し、国連を大きな政府として利用した。まさに、国連を利用して世界を汚職まみれにした。
冷戦終結後、共産主義は世界で政治、経済、文化の協力関係を結び、グローバル化を広げてコントロールし、逸脱した価値観を世界中に普及させた。普遍的価値観と伝統は系統的に破壊された。今はまさに、共産邪霊が世界を統治している。
今日、国家を越えた政治や経済グループが膨大な資源を保有している。彼らの影響力が人類社会のすべてに及んでいる。
環境、経済、貿易、軍事、外交、科学技術、教育、エネルギー、戦争、移民などの大きな問題から、娯楽、ファッション、生活スタイルなどの小さな事まで、すべてはこのグローバリスト(グローバル化を支配する人たち)によって操られている。
もし世界政府が形成されるならば、彼らの一声ですべての人類を変異させ、破壊することも可能である。
共産邪霊はグローバル化とその他の手段を利用し、人類社会をほんの数百年で荒廃させた。西側も東側も、完全に破壊寸前である。
人類が伝統文化に立ち戻れば、主権国家と国際交流の場に、普遍的価値観と伝統文化を取り戻すことができる。これは普遍的価値観と伝統文化を取り戻すために必要な事であり、神の加護と恵みのもとで、人類が共産邪霊を追い払い、輝く未来へと進むための道である。