羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

花咲舞が黙ってない 1

2015-08-06 22:19:54 | 日記
花咲がホテルで合コンしていると、別の会場では相馬が大学の同窓会に出席していた。「青井じゃないか! 久し振り!」「何年ぶりかな?」「もう10年か」相馬は青井と再会した。今は独立してデジタルブルーという会社を立ち上げていた。さらに、「久し振り、かわらないのねぇ」相馬は元妻の由美とも再会していた。その後、合コンで惨敗した花咲がホテルで女友達と別れたところで、同窓会帰りの相馬と由美に出くわした! 場所が場所だけに勘違いする花咲!「おめでとうございますぅ」慌てる相馬を仰々しく祝い、「私、相馬さんの単なる部下のっ! 花咲です」と由美にも挨拶する花咲。「あたし、相馬の元妻です」「あ~、元? 元妻?!」1度流そうとして驚く花咲だった。
後日、青井から電話で相馬に融資の相談がきた。「これも何かの縁だからな」「ありがたい、ウチにとっても嬉しい話だよ」二人は親しげに話し、相馬は松木を青井に紹介することにした。しかし、青井は松木に渡す決算書に偽造を施していた! 一週間後、そうとは知らない松木は5億の融資が決まりそうだと花咲の実家の店で素直に喜び、花咲の父に前祝いと好物のだし巻き卵を出され、「う~ん、美味しいです!」と益々上機嫌になっていた。また松木は上に上げる前に稟議書を相馬に見てほしいと頼んできた。「仕方ないな、俺でよけりゃ見てやるよ」相馬は引き受け、花咲は「意外と尊敬されてるんですねぇ」などと感心していた。
経費の判断が難しいIT企業で他行と分担もしないという話しに、相馬はやや戸惑った。相馬は松木を応援して送り出したが、花咲と二人になると、調べ直し始めた。デジタルブルーの現メインバンクからの融資額が減っていなかった。開発型企業は業績がよくなると融資は減るものだが、稟議書にあった業績は良いのに融資額は変わっていない。
     2に続く

花咲舞が黙ってない 2

2015-08-06 22:19:46 | 日記
PCで何か見付けたらしい相馬は花咲に事務仕事を任せ、一人で出掛けて行った。
青井の会社の入っているビルに来た相馬。青井の会社は3フロア使っているはずだが、1フロアしか使っていない。エレベーター前で見掛けた青井本人へ何か悔恨の様子で声を掛けられそうになかった。その頃、臨店オフィスに一人残された花咲はどうにも気になり、「失礼します」と手を合わせてから相馬のがパソコンで見ていた画面を開いた。相馬はデジタルブルーに関して検索していた。信憑性はともかく、ネガティブな書き込みが続いていた。
青井の会社のビルを訪ねた足で、相馬は由美とも喫茶店で待ち合わせしていた。「悪かったなぁ、急に呼び出したりして」「あなたから電話があるなんて、よっぽどのことだろうから」「青井のことだけど、ヤツの奥さんって君の後輩だったよな?」相馬は融資の話に少し触れ、青井の妻から青井のことを何か聞いていないか由美に尋ねた。「そういえば、最近あってないわねぇ」ここで青井の話は一旦止めた相馬。「幸せにやってるの?」「うん、夫婦仲良く、元気ならそれでいっかって」「十分だよ」また青井の話になると、「青井君、家では仕事の話は全然しないんだって」「ありがとう、また連絡する」相馬は財布から二千円取り出して足早に席を立った。二千円には相馬のキャッシュカードが挟まっていたが、相馬はもう店を出ていた。
相馬は松木に電話し、急いで五反田支店に向かった。中へ入ると花咲が待っていた。「どおして?」「私も調べました」支店の一室で支店長には内密に、松木が持ち出したデジタルブルーの決算書に目を通す相馬。花咲も見守った。決算書はコピーで、青井から直接渡された物だった。「原本は見てないのか?」「あ、はい」「不味いな」偽造防止の為、税務申告の書類は銀行で預かりコピーも銀行で取ることになっていたが、
     3に続く

花咲舞が黙ってない 3

2015-08-06 22:19:37 | 日記
鉄則が守られていない。「青井は俺達に何か隠してる」相馬は松木に稟議書を上に上げるのを止めさせ、本格的に調査を始めた。調査の結果、デジタルブルーへの支払いは大幅に水増しされて決算書に記載されていることがわかった。
「デジタルブルーの業績は悪化していて、とても融資できる状態じゃない」相馬は断じざる得なかった。「酷いですよ。これって詐欺じゃないですか?!」取り乱す松木。「許せない、友達である相馬さんを利用するなんて!」花咲も怒った。「松木、すまん」相馬は頭を下げた。「僕、青井さんに会ってきます」臨店オフィスから出て行こうとする松木を相馬は止めた。「俺に行かせてくれ。きっと事情があったはずなんだ」「騙そうとしたんですよ? 友達じゃない、そんな人」くって掛かる松木。「友達なんだよ、ヤツは俺の友達なんだ。頼む」相馬は再び頭を下げた。
夜、支店に戻る松木を送った後でロビーのソファで花咲が考え込んでいると、由美が現れた。「どおも、花咲? さん」「はい」キャッシュカードを届けに来た由美。花咲が預かった。「青井君のことで何かあったんでしょ?」ソファで話す花咲と由美。「相馬さんと青井さんって、どんな友達だったんですか?」二人はタイプは違うが気が合っていた。由美と相馬の結婚を一番喜んだのも青井だった。だが、お互い忙しく、相馬と由美が離婚し、いつか疎遠になっていた。「あんな辛そうな相馬さん、初めて見ました。私はなんの力にもなれなくて」「ああ見えて、意外と脆いとこあるから、私も何もできなかったなぁ」相馬は融資担当時代、支店長にミスを押し付けられ地方に飛ばされ、荒れていたことがあった。「相馬が一番辛い時に、ただ黙って傍にいてあげるだけでよかったのにね。じゃ、お話できてよかったわ」由美は帰って行った。
翌日、相馬は
     4に続く

花咲舞が黙ってない 4

2015-08-06 22:19:26 | 日記
青井の会社の入るビルの前に来ていた。後ろから花咲も現れた。「何しに来た?」キャッシュカードを相馬に渡す花咲。「私、なんっにも邪魔しませんから」「余計なこと言うなよ、最後まで黙ってろ」「はい」二人はビルへ入って行った。「東京第一銀行はデジタルブルーへの融資はできない」「何言い出すんだよ、いきなり」社長室で相馬は青井と対峙し、花咲は今のところ後ろに控えていた。偽の決算書に触れる相馬。「何のことだ?」「青井、経営者が孤独だってことぐらい、俺にも想像がつく。でもな、俺はお前の友達だろう?」「そっか、全部バレてあかぁ。相馬、わかった。俺はお前を騙そうとした」頭を下げる青井。「でもなぁ、どうしても必要な資金なんだ! 目をつむってくれないか?! こんなこと友達のお前にしか頼めないんだよ!」相馬にすがり付く青井。「5億がダメなら1億でもいい! いや、5千万でも」「やめてくれ」「必ず、必ず返すからさぁ! 相馬、頼むッ!」青井は土下座した。
「いい加減にして下さい」花咲が前に出て来た!「相馬さんが苦しんでるのがわからないんですか?!」青井の体を起こす花咲。「君に何がわかるんだ? 相馬と俺は昔からの友達なんだよ!」「お言葉を返すようですが、昔からの友達ならどうして相馬さんの気持ちがわからないんですか?!」「花咲黙ってろ!」「黙りません!!」相馬に従わない花咲は、相馬が青井が刑事告発されないよう、本部と担当の五反田支店に頭を下げて回ったことを青井に告げた。「あなたが大切な友達だからです。そんな相馬さんを騙して、お金を引き出そうとするなんて、そんなの間違ってます!!」一喝する花咲!
「相馬、すまん。すまんッ」青井が改めて頭を下げていると、松木が社長室に入ってきた。「調べてきました!」松木の調べでは青井は闇金から金を借りているという。
     5に続く

花咲舞が黙ってない 5

2015-08-06 22:19:16 | 日記
資金取りに困った青井は知り合い騙され、闇金と契約し、利息で詰み、家族にも危害を加えると脅され、今回の詐欺を持ち掛けられたのだった。「どうしても家族を守りたかった! すまん!! 俺はもう終わりだ」青井は泣いた。一緒に膝を付いていた相馬は青井の肩に手を置いた。「まだ終わりじゃない!」相馬は立ち上がった。
それから、青井を自己破産の申し立てをさせた相馬は一人で件の闇金会社の入るビルに乗り込んだ!!「どなたさんですか?」「東京第一銀行から参りました」強面達に囲まれる平静を保つ相馬はデジタルブルーへの融資を行わないことと、青井が自己破産したことを告げた。「今後、本人並びにご家族への接触は一切御遠慮願います」「何様のつもりだオラァッ!!」強面達に掴み掛かられる相馬!「それからもう1つ、あなた方がしたことは厳密に言えば脅迫、及び詐欺です。今後の出方次第では、告訴も検討させて頂きますので、そのおつもりで」相馬は最後まで毅然とした態度で闇金ビルから出てきたが、外で待っていた花咲と松木に迎えられると気が抜けて腰砕けになってしまった。「あいつらマジなんだもん」なんとか起こしてもらう相馬だった。
一段落して花咲の実家の店で寛ぐ相馬。普段着の花咲も同席していた。「青井さん、どうされてるんでしょうか?」「0からのやり直しだって、頑張ってたよ」「またいつの日か、笑いながら呑める日がきますよ」店の主人の花咲の父に言われ
、「ですよね」相馬は笑った。
・・・相馬回、相手がやらかしてるのは最初から提示してるから、人間関係と理由と事後処理までやってたね。