羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

俺物語!! 1

2015-08-27 20:26:42 | 日記
3月14日、猛男は大和に会うなりプレゼントの小箱を素早く差し出した!「もう? 嬉しいありがとう!」手作りクッキーだった。開けるとハートと星の形で、やや焼き強め。「何か固そうでよぉ」自信無い猛男。もったいないとスマホで写真を撮り、固いクッキーをバリバリ食べる大和。「超美味しいよ」笑顔の大和だった。
翌日? 猛男は砂川と歩いていた。「クッキー喜んでくれた?」「おう! お前も早く好きなヤツできるといいなぁ。そしてお前の好きなヤツは手作り煎餅好きだといい」「煎餅?」砂川は苦笑した。「間違えた!」(煎餅みたいになっちまった固いクッキーを笑って一緒に食べてくれるようなヤツだったら)などと思ってる途中で、猛男は気配を感じた! 背後に、何か、居る!「砂、先に帰ってくれ」「じゃあ、お先」砂川は喧嘩か何かとでも思ったのか? 大人しく帰って行った。振り返る猛男! 何者かが電柱の陰に隠れた!
「何か用か?」「ひぃーッ!」隠れていた眼鏡の女子は猛男が電柱の陰を覗き込むと悲鳴を上げて逃げ出した!「おい、何か用があるのか?」女子は走っているが猛男は早足で追い付き問うが、答える前に「あっ」と女子はすっ転び、はずみで手紙が鞄? から宙に舞った。手紙は川に落ちた。「砂川君に渡そうと思ったのに」「な?! ざぁぶんっ!」妙な気合いを入れて、川に入った猛男は水に漬かって透けていた手紙を拾った。『お返しはいらないので好きになって下さい』と書いてあるようだった。例の毎年来る砂川へのバレンタインチョコの手紙と同じ文面。
「すまん、勘違いして。あと、見ちまった」猛男は手紙を返した。赤面する眼鏡女子。「悪かった」「また書けばいいだけだか」言い終わらぬ内に猛男が顔を近付けてきて悲鳴をあげる眼鏡女子。「何かおわびさせてほしい!」
     2に続く

俺物語!! 2

2015-08-27 20:26:33 | 日記
赤面して手を振る眼鏡。「できそうなことを思い付いたら言ってくれ、じゃあな!」猛男は走って去って行ったが。「猛男君!」(猛男君?)いきなり眼鏡に名前で呼ばれ、猛男は振り返り、戻ってきた。「そしたら、今から私の話聞いて下さい。私に、砂川君について語らせて下さい!」「お、おう」「私のことわからないですよね?」幼稚園で猛男とも同じ組だったと言う眼鏡。「天海悠紀華です」(天海、悠紀華?)思い出せない猛男! どうにか記憶を探る猛男! ぼんやり、眼鏡の子供の姿が浮かぶ!「天海悠紀華ちゃんかぁ!!」思い出した!「です」取り敢えず、猛男は宝塚女優の様な名前だったよく知らない幼馴染みの眼鏡女子と公園に向かった。
濡れた靴を干し、そこらで猫が欠伸する中、ベンチで話を聞く姿勢の猛男。悠紀華はベンチの端に座ったまま何も話さない。戸惑う猛男。猛男も話上手では無いがラチが開かない、切り出すことにした。「ドンと来いッ!」自分の胸を打つ猛男! 悠紀華は慌てた。「ごめんなさい、男子と話すの苦手なんです。幼稚園の頃から男子って、女子がおままごとしてるのに砂場荒らしたりするし、虫とか教室に持って来るし、朝から泥んこだし、靴下黒いし」全部当てはまっている猛男、というか猛男についての感想!「でも、砂川君は違ったんです。雰囲気合って」砂川を真似て同じ絵本を読んだという悠紀華。
「砂川君は給食の食べ方も綺麗で、でも! ドッジボールも上手だったんです!」避けるのが上手かったらしい砂川。だが、「一回だけ」砂川は当時の悠紀華を庇ってボールに当たっていた。「眼鏡に当たったら、危ないかなぁって思って」試合後、悠紀華が謝りにゆくと砂川はそう言い、「わぁっ」子供の悠紀華はときめき、「凄く、好きに、なってしまって!!」ベタ惚れしたらしい。「それが、砂川君と直接話した最後の思い出」
     3に続く

俺物語!! 3

2015-08-27 20:26:25 | 日記
「それから話してねーのか?!」幼稚園の思い出な為、「10年前です」「10年ッ?! 10年何してたんだ?」驚く猛男。「見詰めてました。運動会とかの時も、何も無い時も、砂川君が生きているのを見ていました」未知の思考に遭遇し、困惑する猛男。「あとひたすら集められる情報を集めて占いとかしてました」(占い師?)「好きな人と何て絶対喋れません! どうしようも無いですよ。話し掛ける勇気も、告白する勇気も無くて、幼稚園でも小学校でも中学校でも高校でも女子が砂川君にフラれる度にホッとして、私のモノにならないならもういっそ一生誰とも付き合わないでほしいと思ったりもしてます」(呪いか?)それでもバレンタインの度に匿名チョコを間接的に渡していた悠紀華。
「外堀をうろついてばかりいるんです」(10年か、スゲーな)「猛男君の彼女の大和さん、感じのいい人ですね」「なっ?! おう!」急に大和の名が出て驚く猛男。悠紀華は砂川を『観察』する結果、猛男達にも詳しく、猛男と大和の様子を羨ましく思っていた。しかし1ヶ月間、件の手紙を渡せずにいた悠紀華。「砂川君はいつでも落ち着いてて、かっこよくて、変なこととか絶対しなくて」「そうでもねぇぞ?」真希に英語を教え、「お前のことbrotherとか言い出したら面白いかと思って」などと言ったりもする砂川。「そうですよね、猛男君といる時はよく笑っていますよね。ズルいなぁ、私が隣の家だったら良かったのに。そしたら幼稚園バスも一緒でお風呂とか一緒に入ったりできるじゃないですか?」「もう入らねーけどな」「お風呂で写真撮ったりできる」「そんなことしねぇッ!」「ずっとずっと羨ましかったです」「そうかぁ、すまん」妙な間が開いた。「だけど、俺も砂がいないと困る。砂は確かにカッコいい」「完璧理想ですっ」「確かに砂はカッコいいけど、普通だぞ? 転んだりもする。
     4に続く

俺物語!! 4

2015-08-27 20:26:15 | 日記
理想化してんじゃねぇか?」「違います。私の理想が砂川君なんじゃなくて、砂川君が私の理想になったんです」「猛男?」「おおう?!」つくづく自分の思考を越えてくる悠紀華にある種、圧倒されていると、突然私服に着替えた当の砂川に話し掛けられ、猛男は驚いた。振り向くと悠紀華の姿が無い!(気配がする!)木陰に隠れたらしい悠紀華。「帰んないの?」「おお、帰るか!」猛男は一応潜んでいる悠紀華の方に手を振り、帰って行った。
「タケ! あんた幾つになったら服汚さなくなるんだい?!」帰宅した猛男は真希を抱えた母に怒られ、風呂場で足を洗い、着替えるとすぐに砂川の部屋に向かった!「どうしたの?」「なんでもねぇ」猛男は砂川のアルバムを開いてみた。居る! 幼稚園から中学校まで様々な場面に眼鏡の悠紀華が写真に見切れていた。全てカメラ目線!「砂、人っつーのはよ、皆心の中には熱い固まりみてぇなのを持っていて、それを丸出しにして生きている訳でなくて、何でもねぇみたいにして暮らしてんだなぁ」「皆じゃないかもしれないけどね」猛男は砂川の肩を軽く叩いて部屋を出て行った。
翌日学校で、「猛男君」後ろからか細い声がして振り返ると、悠紀華。(普通に居るじゃねぇか!)同じ高校だった。「砂川君に話し掛けてみようと思いまして」悠紀華は自然に砂川に話し掛ける為、『設定』を決めて猛男に協力を求めてきた。「ずっと、私の世界と砂川君の世界は繋がっていなかったから」「わかった、夕方でいいか?」猛男は了解した。放課後、二人はコンビニの前に居た。二人とも砂川が3日に1度くらいコンビニ(スリーエフ?)にゆくことを知っていた。砂川がコンビニから出てくると、「砂! 俺が駅で迷子になっててなぁ! この娘さんに送ってきて貰ったんだぁ」凄い『設定』。「親切な娘さんだ」俯く悠紀華を示す猛男。
     5に続く

俺物語!! 5

2015-08-27 20:26:06 | 日記
「娘さんって、天海さんでしょ?」驚く悠紀華。「幼稚園から一緒だから」「おう、そうかぁ」「好きです」急に悠紀華が言い出し、砂川と猛男は振り向いた。「好きです砂川君! 何もいらないので、私のこと好きになって下さい!!」唐突過ぎて反応できない砂川と猛男。ハッとなる悠紀華。悠紀華は逃げ出した!「あ、おい!」追い掛ける猛男。砂川はチョコの文面を思い出した。「あっ」思わず声を出す砂川。
(告白する勇気ねぇんじゃなかったのか? 何で逃げる?)困惑しながら悠紀華を追う猛男。橋の所で転ける悠紀華!「危ねぇ!」猛男は巨体で飛び掛かった!「キャアアッ!」悲鳴を上げる悠紀華! 猛男は欄干に掴まり、反転してそのまま悠紀華の方を見た。「キャアじゃねぇ! 悠紀華ちゃん落ちると思ったじゃねぇか!」「落ちゃえばよかった。落ちて頭冷やしたぁいっ!!」「頭冷やすような川じゃねーぞ!!」結構な川幅、深さの川だった! 砂川の記憶を消したいと泣く悠紀華。覚えててくれたことで舞い上がってやっちまったらしい。「消せねぇ」「ごまかせないかな?」「ごまかせねぇ! あんな告白でいいのか?!」猛男は問うた。「私、10年もストーカーしてキモいとか思われませんか?」普通、キモいではなく、怖い。「あいつがそんなこという訳ねぇ」「ちゃんと伝えて、ちゃんとフラれようと思います! 終わりにします」猛男は聞き入れ、まずコンビニの前まで二人で引き返してみた。
コンビニの前に、砂川はまだ居た。「天海さん、バレンタインデーにずっとチョコレートくれてなかった? 名前書いてくれたら、返事出したのに」「あの! 私のこと嫌いですか?!」「いや、別に嫌いとか思ってないよ」「ですよね! 何かしらの感情が生まれる程、砂川君私のこと知らないじゃないですか? なので! 今返事とかはしないでほしいんですよ!
     6に続く