羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

探偵の探偵 1

2015-08-07 20:46:07 | 日記
咲良の事件の証拠品と檜池から手に入れた証拠品を照らし合わした後で、顔に怪我のある玲奈は生活安全課の女性警官けらDVシェルターのパンフレットを渡されていた。そのDVシェルターでは、予定に無い『お粥』を積んだトラックの扱いに困っていた。規則で担当者以外は荷台も開けられない。「ずーと温めてるから、お粥、蒸発しちゃうよ」運転手がそう言ってると担当者が戻って来た。お粥は手違いだという、「都の承認を得てないと荷下ろしできないんです」担当者はそのまま、1度も荷台を開けることなく『お粥』を積んだ業者のトラックを帰してしまった。
翌朝、シェルターに奇妙なアナウンスが流れた。11名の入所者の名が読み上げられ、裏庭に集合しろという。職員は不審に思った。「何、今の放送?」「デスクにメモがあったので」「あたしこんなの書いてないけど!」職員が裏庭に急行すると、フェンスで囲われた一角にある裏口が開いている! 職員が裏口から出ると、入所者11名が走って逃げてゆく!!「待って!」職員は追ったが、11名は車道で待ち構えていたワゴン車3台に乗り込み、そのまま運ばれて行ってしまった。
「君の目的はどこにある?」檜池が意識を取り戻したという病院に向かう玲奈に須磨は問うた。「先のことはわかりません」固い表情で玲奈は所長室から出て行った。檜池の容態がさらに回復し取り調べが始まると、もう玲奈は手出しできない。窪塚達はそう踏み、病院を念入りに張っていた。玲奈は、来た! 警官の一人が後をつけるが、玲奈はエレベーターに乗った。警官は閉め出し、救急患者用の操作で途中操作を受け付けずエレベーターを上昇させる玲奈! 6階の警備室へ向かう。警官達も急行した!「今ここに若い女が来ましたよね?」窪塚が警備員達に問うと、「奥で休んでます、妊婦の方で陣痛が始まってたんです!」
     2に続く

探偵の探偵 2

2015-08-07 20:45:59 | 日記
窪塚が奥の部屋に入ると毛布だけ置かれ、人影は無い! さらにキーボックスから院内の鍵が多数抜き取られていた! 玲奈は裏口から逃れたようだった。「モニターだ!」坂東の指示で警備室のモニターに殺到する警官達! モニターに不審な医師と、ストレッチャーで覆いを被され、運ばれる若い女が映った! 警官は対応しようとしたが、不審な二人に近い者は扉を施錠され、上手く現場に向かえない! 他に対応できそうなのは檜池の病室前を警備していた長谷部のみ。「長谷部すぐに向かえ!」窪塚は反対したが、坂東は長谷部を不審な二人の方へ向かわせた!「おい待て! そこで何してんだ?」長谷部が向かい、患者の覆いを取ると女は玲奈とは別人だった。一人警備室に残った窪塚は姿が光って、モニターにまるで映らない者が檜池の病室に向かうのを認め、警備室を飛び出した!
光る人影は玲奈がLEDライトを監視カメラに当てて歩いたものだった。檜池の病室前の廊下で、玲奈は一人の看護師と肩をぶつけたが、看護師は素通りしてゆき、玲奈も構わず檜池の病室へ入った。檜池の病室にアラームが鳴り響く! 檜池は既に息をしていない。床には注射器と薬剤のケースが落ちていた。「なんで?」玲奈は戸惑ったが、すぐに病院を脱出した!
一方、琴葉は消されていた姉のPCの玲奈の動画を復元した。動画は「ほらぁ? カメラ回ったよぉ?」と、楽しげな彩音とその夫、さらに彩音達の男友達と思われる連中に玲奈が殴られ、土下座させられ、シャワーを浴びせ掛けられ、罵倒嘲笑され、琴葉を傷付けたことを謝罪させられるものだった。「どうしてこんな酷いことを?」彩音と対峙する琴葉。「琴葉の為を思ってやってあげたんだよ?」「お姉ちゃんがやったことは犯罪だよ!」「人間以下のクズの教育をしてやっただけ」琴葉は話を切り上げ夕飯の支度を始めようとする彩音を見切り、
     3に続く

探偵の探偵 3

2015-08-07 20:45:50 | 日記
彩音の家を出て行った。
病院の偽医師と偽患者の女はただのカップルで、『女医』に1万円貰ってストレッチャーで遊ぶよう頼まれたと証言した。窪塚は否定したが、警察は檜池殺害を玲奈によるものと見て、坂東の指揮で捜査することになった。窪塚と長谷部は捜査から外され、件のDVシェルターの集団失踪事件の捜査を担当することになった。
容疑者扱いされている当の玲奈は檜池殺害は捜査を恐れた死神の手の者によると考えていると須磨に電話で報告していた。「大丈夫なのか?」「問題ありません」ここで玲奈のマンションのチャイムが鳴り、また連絡しますと玲奈は通話を切った。来たのは琴葉だった。「玲奈さん、ごめんなさい」頭を下げて泣く琴葉。玲奈の部屋に向かえ入れられた琴葉。彩音から何度も着信が入ったが、無視していた。「あの時、一緒に行きたいって言ったのはあたしです。玲奈さんが悪い訳なんかじゃ」「遅くならないうちに家に帰って」「ここに居ちゃダメですか? また一緒に」黙って琴葉を見詰める玲奈。「そうですか、わかりました。だったらせめて今日1日だけ泊めて下さい」玲奈は何も答えなかったが、琴葉は泊まることにした。そして朝になり、目覚めた琴葉はサイレントモードにしていたが、彩音からの着信が延々と続いていたことにうんざりしつつ、玲奈の家に置き忘れていた自分の書籍を手に取った。探偵業法の本だった。付箋をたくさん付け、蛍光ペンを引き、かつて自分が熱心に仕事の勉強していたことを琴葉は思い出した。
捜査でシェルターを訪れた窪塚と長谷部は職員から話を聞き、職員が脱走者自ら出て行ったのでは? と疑っていることを聞いたが、今回のケースは内部の手引きが無ければ難しい感触を窪塚は感じた。帰りしな、淡々と新しい事件に当たる様子の窪塚に長谷部は、「もういいんですか?」
     4に続く

探偵の探偵 4

2015-08-07 20:45:42 | 日記
と玲奈の件を蒸し返した。窪塚はもう玲奈が派手に活動することは無く、会うことも無いと考えていた。
スマ・リサーチに一人で出勤した玲奈は残る手懸かりの以前シリコンスプレーで撃退した太った違法探偵の堤を再び追うことを須磨に報告していた。堤から死神に繋がる可能性は低いなどと須磨が指摘していると、「私にも手伝わせて下さい」所長室に琴葉が入ってきた。「どうして来たの?」「玲奈さん、見習いでもなんでも構いません! 傍に居させて下さい」「私とは一緒にいない方がいい」「強くなりたいんです。今までは、なんとなく、流されるまま生きてきた。皆に構って貰って、それが当たり前になっていた。けどわかったんです! 私が強くならなきゃダメだって。じゃなきゃ何も変わらない。これからは自分の道は自分で決めます!」黙る玲奈。「君のことは休職扱いにしていた。復職の手続きはできる。後は上司の判断に任せよう」「好きにしたら」玲奈は退室し、「はいっ!」琴葉は後を追った。
行方を眩ました堤は、以前確認したETCカードと車のナンバーからETC利用履歴を閲覧可能。玲奈は桐島の協力を得て、最近の出没場所を絞れた。「行こう、琴葉」「はいっ!」玲奈は琴葉と共にスマ・リサーチか現場に向かった。「これ、あなたに返す」車で堤を待ち構える中、玲奈は例の縫いぐるみを琴葉に差し出した。「咲良とのいい思い出なんでしょ?」「ありがとうございます」琴葉は笑顔で受け取った。
玲奈は一時、感傷に浸ったが、後方にそれらしい車を認め、サングラスをカーナビの上に置いた。「レンズを見て、カーミラーは絶対に目を向けないで」「はい」近付いてきた車は以前と違う車種だが、堤だ! 堤の車両が通り過ぎる前に、玲奈は自分と一緒に琴葉を座席に屈ませた。そのまま慎重に、車で追跡すると、
     5に続く

探偵の探偵 5

2015-08-07 20:45:32 | 日記
堤は弁当屋に車を停め、中へ入って行った。「あたしがやります」琴葉は玲奈が堤の車に取り付けにゆこうとしたGPSを引き受けた。堤が唐揚げ弁当などを頼む中、琴葉は車のボディ下にGPSを取り付けようとしたが上手くゆかず何度も落とす! 玲奈は車から見守ったが、上手くゆかないまま、堤が弁当屋から出てきた! ギリギリGPSは取り付けるが、腕を車下に入れたまま堤に見付かった!「オイッ」「あ、すいません。化粧ポーチ落としちゃって、車の下にリップが」「リップ?」車の下を覗く堤! リップは確かに落ちていた。GPSは潜り込んで見ないと見えない位置だった。「今どかすよ」「すいません」琴葉はなんとか乗り切り、堤は弁当屋の駐車場を車で出て行った。「取り付けました!」小走りに戻ってきた琴葉。「咄嗟の判断にしては上出来だった」「初めて誉められました、玲奈さんに」喜ぶ琴葉。「けど! 居所を特定したら、すぐに回収に向かうわ」「はい」玲奈はPCを開いた。
町外れのあばら家の家を堤はアジトにしていた。堤は何気に弁当を食べながら、テレビのニュースを流していると、DVシェルター集団脱走のニュースが流れ、『実名』が報じられていた。「芦原遥香さん」と名が読み上げられると、テレビの画面を振り返る堤。同じ頃、窪塚達も酷いDV被害を受けたにも関わらず施設を逃げ出した『芦原遥香』の元夫、『升瀬淳史』から捜査を始めることを決めていた。翌日、堤が買い出しを終えてアジトに戻ると、PC1台と封筒を除いて部屋の荷物が全て持ち出されていた! PCに電話着信が入ると堤は部屋の鍵を締め、PCの電話に出た。
「驚いた?」「やっぱり君か」「あなたの荷物はレンタルボックスに運んだ」「今度は何の用だよ?」「封筒の中にある写真、檜池にあった報告書、誰が書いたかわかる?」封筒から写真を取り出し確認する堤。
     6に続く