羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

花咲舞が黙ってない 1

2015-08-13 22:29:11 | 日記
臨店班は検査部による与信検査の手伝いにゆくことになった。「我々の足を引っ張らないでくれ」会うなり検査部主任の氷室に一撃入れられる花咲! 検査先は花咲の実家に近い深川支店。検討会前に融資課で扱っているクレジットファイルを大量に見る検査部。融資課出身の相馬はともかく、花咲の仕事はお茶汲みにコピーと、雑用だった。融資課課長の手伝いに回された花咲はそこで同期で新人融資マンの江藤と再会した。松木と違いごく普通の融資マンの江藤だが、「がんばってんだぁ」「そっちもな」と花咲とは気安い様子だった。
だが、今回の臨店班の応援、実は辛島部長の命による内偵だった。氷室は支店の不正をタネにゆすりを繰り返している疑惑があった。ただし花咲は隠せそうに無いので知らされていなかった。午後4時、支店長、融資課課長、融資課行員を集め検査部による与信検査検討会が始まった。「どうなってんだこの支店は! なんらかの問題があって上げたのがほぼ3割じゃないか!! 深川支店はタルんでるじゃないですか?」高圧的な氷室!「まずは深川プリント」担当は課長だった。深川プリントはいつ倒産してもおかしくない経営状況だったが、3000万円の資金を調達している。出所不明だった。「はっきりとはわからないです」「はぁ? そんなんでよく融資課長が勤まるなぁ! 上の教育がなってないんじゃないですか?」課長に合わせ、支店長もなじる氷室! その後も細かな点を吊し上げ、江藤も付属明細云々で絞り上げられていた。
「何なんですか、あのクソ主任!」夜、実家の店でビールグラス片手に荒れる花咲! 内偵を知らない花咲には氷室はただのパワハラ男にしか見えなかった。店には場所が深川だけに江藤と課長も来ていた。相馬も含め、4人で同席することになった。父からは鱧の蒸籠蒸しがサービスされた。
     2に続く

花咲舞が黙ってない 2

2015-08-13 22:29:02 | 日記
この店には支店長が来たこともあるという。花咲達が店で呑んでいる同じ頃、深川支店の支店長室に氷室が現れた。「お話しがありまして」氷室は自分の眼鏡を押し上げた。花咲の実家の店では江藤が課長が深川プリントに関して氷室にイビられたのは納得いかないと、話し出していた。「その会社に何かあるんですか?」相馬に問われ、課長は逡巡したが、深川プリントが支店長の友人が経営する会社であることを打ち明けた。「気になる会社がありましてね」支店長室の氷室は支店長に夏目木材を挙げた。「あなたは銀行員としてやってはいけないことをしているようだ」氷室は指を5本立て、金を要求した。「わかりました、明日の朝、必ずお渡しします。何卒!」支店長は氷室に土下座するのだった。
翌日、氷室は検討会前の下調べ用の資料から夏目木材のクレジットファイルを引き抜き、花咲に融資課に戻すよう、指示した。相馬は腹が痛いフリをして検査部の詰めた部屋を出ると、花咲に追い付き、夏目木材のクレジットファイルを手にした!「この会社には何かある」花咲達は融資課課長と夏目木材担当の江藤にも相談した。夏目木材は業績はいい、しかし突然3000万円の融資を求め、これを支店長決裁で認めていた。調べてみると、融資された当日に現金で引き出していた。深川プリントへの迂回融資の疑いが出てきた! 花咲は江藤と共に夏目木材へ向かった。
花咲達は途中で買い出し中の父と出会し、支店長と夏目木材の社長が店に来ていたことを聞き、二人は疑惑を強めた!「緊急融資した3000万円についてなんですが」夏目木材で江藤が切り出すと夏目木材の社長は顔色を変えた。「このままだと、社長も荷担したことになってしまいます」「え? そうなの?」花咲の言葉によくわかっていなかった社長は驚いた。「本当のことを教えて頂けないでしょうか?
     3に続く

花咲舞が黙ってない 3

2015-08-13 22:28:52 | 日記
絶対、ご迷惑はおかけしませんから、お願いします!」江藤は花咲と共に頭を下げた。
夏目木材社長と話を着けた花咲達は深川支店に戻り、相馬と融資課課長と合流した。花咲達は夏目木材から深川プリントへの3000万円貸したという借用書を夏目社長から手に入れていた! 迂回融資の証拠は揃った。「できることなら支店の恥を晒したくはないですが、取引先にそんなことをさせていたなんて、許されませんから!」融資課課長はそう言い切った。一方で、氷室に関しては決めてに欠けていた。相馬は花咲だけを資料室に連れてゆき、実は氷室の内偵であることをようやく話した。朝、支店長が口止め料と見られる50万円を引き出すのは確認されたが、氷室は現金で受け取っており、口座に証拠が無い。「今日のところは諦めるしかないだろうなぁ」相馬は言ったが、花咲は資料室の監視カメラに目を付けた!
二日目で、最終日でもある与信検査検討会が始まった。相馬達は出席しているが、花咲は一人で監視カメラの映像と格闘していた。絶対今日、深川支店でやっつけたいらしい。支店長が金を封筒に詰め、駐車場で氷室に何か渡したのはわかったが、カメラの角度が悪い、あれこれ試す花咲! 視点を変えて、撮れてた! 封筒から金を取り出す氷室がバッチリ映ってる! おもむろに画像をプリントし出す花咲!! 検討会は予定を全て消化し終了となり、融資課課長が慌て、江藤が立ち上がったところで「あのぉ」相馬が流れを止めた。
「もう一社、取り上げて頂きたい会社があるんですが」相馬は夏目木材を挙げた。「そこは問題無い」氷室打ち消そうとしたが、相馬は続け、件の借用書を取り出し、支店長の迂回融資を暴いた!「このことは報告をさせてもらいます!」掌を返す氷室!「話が違うじゃないですか!」訴える支店長を氷室は取り合わなかった。
     4に続く

花咲舞が黙ってない 4

2015-08-13 22:28:43 | 日記
「待って下さい!」花咲がプリントした画像を持って現れた!
「迂回融資のことご存知でしたよね? あるいはゆすったんじゃないですか?」氷室は笑い、激怒した。「無礼なことを言うなッ!」花咲はプリント画像を紙芝居の様に繰って見せながら、金の受け渡しを解説した。行員達も集まり見ている!「そうですよね、支店長」「そうだ!」裏切った氷室を許さない支店長!「まだ内ポケットに入ってるんじゃないですか? 与信検査の責任者であるあなたが、間違いを正すどころか、お金を貰って見逃すなんて、やってることが全く逆です!!」「うるさい黙れ!!」「黙りません!!」「支店の間違いを正す前に、ご自分の間違いを正すべきです」「失礼します」「あっ」相馬は氷室の内ポケットから支店長から受け取った金の入った封筒を抜き取り、中身を出した。「お金ですね、ちょうど50万くらい、ありそうですよ?」氷室は、力無く膝を折った。
騒動後、花咲達は堂島専務に呼び出された。「ご苦労だったね」握手してくる堂島。そこへ真藤常務が児玉次長と共に現れた。「待っていたよ、君も礼を言いたいだろうと思ってね。深川支店の支店長は君が目をかけていたそうだから」「目をかけていたという程では」「表沙汰にならず、当行に傷が付かずに済んだんだ、感謝すべきだと思うが、んん?」気まずい花咲達。「そうですね、ありがとう」「いえ」「いえ」相当困惑する花咲達だった。
不正に関し、深川支店長は出向、氷室は人事部預かりとなった。改めて辛島部長達に労われ、相馬が花咲は例え内偵を隠しても必ず不正に気付くと辛島達に言っていたと聞かされると、「私のいない所では誉めてくれてるんですねぇ」と花咲は調子に乗るのだった。
・・・臨店というより、さすらい不正Gメン。堂島が何をやらかして真藤に敗れるのか、見物だな。

俺物語!! 1

2015-08-13 22:28:32 | 日記
猛男は公園で大和に母の安産の御守りを貰ったが、「今から家来ねーか? 直接渡してやった方が喜ぶだろう」「うん」やはり、家で大和が渡すことになった。家に戻ると、身重の母が元気よく掃除をしていて猛男を驚かせ、さらに10キロの米を買ってくると言い出し、「俺が買ってくる!」猛男が買い出しにゆくとこになった。母と二人になった大和は猛男の幼い頃の話を聞いた。「あの馬鹿、車道にジャンプしてね。あたし、とっさにタケ(猛男)は止めたんだけど、腕擦っちゃってねぇ」今でもうっすら残る傷痕を大和に見せる母。「そしたらタケ」「母ちゃん、死ぬなぁ!!」と大泣きしてしまった。「猛男君、小さい頃から優しかったんだぁ」「弱虫なんだよ。男なんて意外と弱いとこあるんだよ、ついててやって」「はい」猛男が買い出しから戻ると生まれた時、かなり大きかった猛男の話で母と大和は盛り上がっていた。
入れ替わりに母が病院に検診に出掛けようとすると、大和がようやく御守りを差し出した。「あらあら、まあまあ、ありがとねぇ大和さん」母はとても喜んで出掛けて行った。「猛男君、4300グラムもあったんだね」猛男と二人になって炬燵で話す大和。大和自身は未熟児ですぐには保護ケースから出られなかった。「でも、超元気っ!」「そうか、良かったなぁ」二人は和やかに話していた。それから何事も無く帰ってきた母に、猛男は大和が未熟児だったことを話すと、「猛男、人が生まれて育つ、つーのはねぇ、当たり前のことじゃ無いんだよ」と言って聞かせた。
翌日、母が買い物袋を提げて歩いていると、通り掛かった砂川が持ってくれた。「あんたもかい? 皆して心配性なんだから」「猛男程じゃないです」「誠君みたいな優しい友達もいて、可愛い彼女もいて、猛男は幸せモンだねぇ」「いい男だからですよ」「あたしにはまだまだガキにしか見えないけどねぇ」
     2に続く