羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

探偵の探偵 3

2015-08-21 21:31:06 | 日記
娘が落胆して悲しそうにし出すと、「わかった」玲奈は思わず同意してしまった。「やったぁ! 約束だからね!」娘は機嫌を直し、「おやすみなさい!」「おやすみ」窪塚の母に連れられて居間から出て行った。「悪いな、気使わして。食べてくれ」率先して食べ出す窪塚。窪塚の妻は2年前に亡くなっていた。窪塚は妻を愛していおり、妻同士の序列の厳しい官舎時代は出世を目指していたと語った。「今は?」「どうも組織に馴染めない」生き甲斐は娘だと語る窪塚。「だからあの時、言ったのね。何をしたって、亡くなった人は帰ってこないって」「赤の他人よりは、君の気持ちがわかるつもりだ」答えない玲奈。「すまない、つまらない話を」「つまらなくなんかない」二人は言葉少なに食事を続けた。
スマ・リサーチでは伊根達が出社して来ず、事情も判然としない玲奈に苛立ちを爆発させていた。「言い分はわかった。なら、紗崎が何をしているのか調べてみるといい。君達だって探偵だろう?」須磨はそう言って、所長室へと入って行った。その頃、野放図とDV加害者達は焦り、互いのミスをなじり合い、掴み合いに発展して破綻しかけていた。淀野はおもむろに、野放図の中でも頑丈そうな一人を折檻した。「お客様に対してなんて口の聞き方するんだだ?」淀野はDV加害者達に向き直り、頭を下げた。「大変申し訳ありませんでした。今夜中に、お引き渡しをしますので、今しばらく、お待ち下さい」野放図とDV加害者達はなんとか収まった。
食事後、情報を交換する玲奈と窪塚。淀野は実質的な野放図のリーダーで弁護士資格を持つ。暴力団との調整役を行うかなりのキレ者で、件の升瀬のGPSも玲奈脱出後、処分されていた。引き渡しは今夜中で、場所は池袋から3時間以内。玲奈と窪塚は失踪女性が自分から逃れたという話に疑問を持った。二人はもう1度DVシェルターを探ることにした。
     4に続く

探偵の探偵 1

2015-08-21 21:29:59 | 日記
拘束されたまま、営業中のクラブの一室で目覚めた玲奈。騒ぐ野放図のメンバー達と女達。DV加害者達も所在無げにその場にいた。そこへ男が入ってきた。「淀野さん、向こうに連絡しといた。女処分するから出発遅れるって」淀野と呼ばれた男は野放図の一人らしい女から報告を受けていた。「起きてたのか」淀野は玲奈の様子に気付いた。「お前誰だ?」盗聴機もバレていた。「答えなよ」「あなたがマリコ?」間に入ってきた野放図の女に探偵を使う手口と共に問う玲奈。「ホントお喋りね、あの人」野放図の女は呆れた。死神と思われる探偵の話に「秋子」淀野は野放図と騒ぐ女達の一人に促したが、「その内聞いとく」と女は無愛想に答えた。「あなたがパイプ役なの?」「だったら何?」「連れてきてくれない? 仲間なんでしょ?」「無理。てゆうか仲間なんかじゃないし」「じゃあどういう関係?」「あんたさぁ、この状況わかってんの?」「おい」淀野が止めた。「探偵ごっこは終わりだ」スマホも当然取られていた。
「ホントに殺しちゃうんですか?」升瀬達数名が、トラブルで妻との再会が遅れてることを引き合いにゴネ、殺す前に玲奈を輪姦させろと言い出した。「わかりました」淀野は了解した。倉庫? に連れて行かれた玲奈は升瀬と他二人に迫られた。「気の強ぇ女だな」玲奈を殴る升瀬。睨み返す玲奈!「へぇ! こんな時も涙一つ見せねーのか。嫌いじゃない」他の二人に玲奈を押さえさせる升瀬。升瀬が上着を脱ぐと、ガンッ! 後ろから鉄パイプで升瀬を殴り気絶させる窪塚! 他の二人も剣道の技等であっという倒された。「立てるか?」頭の打撲かガスの影響でフラつく玲奈に自分の上着を掛け、窪塚は外の自分の車まで支えて運んだ。
「一人で来たの?」「探偵も小説と違うだろうが刑事も同じだ」車で移動しながら窪塚は銃の携帯を含め、
     2に続く

探偵の探偵 2

2015-08-21 21:29:52 | 日記
許可を取っていては間に合わなかったと語った。「君が残してくれた手懸かりのおかげだ」玲奈が残したメモを渡す窪塚。「現場では外壁と路面の接点を見て回るのが遺留捜査の鉄則だ」メモにはフリーメールのアカウントとパスワードが書かれ、升瀬のスマホのGPSで居場所の特定ができていた。「俺が動けたのは彼女が連絡してきたからだ」「琴葉が?」窪塚は玲奈に琴葉に連絡を取るよう促した。「もしもし!」「琴葉」「無事だったんですね」車を止め、自分のスマホで電話させている窪塚。野放図の車両はパンクさせてあり、即座の追手のリスク低いとみられた。「ごめん、心配かけて」簡単な状況説明と今夜は戻れないことを告げ、玲奈は電話を終えた。
窪塚は玲奈を連れ、身元のバレていない自分の家に向かった。警察での処分は覚悟していた。「夜分遅くにすいません」「どうぞ、ゆっくりしてって」窪塚の母は事情は聞かず、玲奈を迎えた。玲奈が洗面所で用意された服に着替えを済ますと、窪塚の娘が洗面所に来た。「誰?」「ごめん、起こしちゃったか?」窪塚も来た。「あれ、お母さんのお洋服。新しいお母さん?」気の早い窪塚の娘。「違うよ、お父さんの仕事関係の人だ」窪塚は居間の方に娘を連れて行った。玲奈は上手く対応できずにいた。「ごめんなさいね、夕飯の残り物くらいしか用意できなくて」窪塚の母に夕飯を出される玲奈。窪塚も同じテーブルに着き、夕飯を食べるつもりらしい。窪塚の娘は傍らに座り、玲奈の様子を見ていた。
「今度ねぇ、授業参観があるの。来てくれる?」「何言ってんだよ」苦笑する窪塚。「だって、みんなお母さんが来るって。新しいお母さんに来てほしい」「もう遅いから、寝よっか?」窪塚の母もフォローに入った。「やーだ。約束してくれなきゃ寝ない。ねぇ、来て。絶対来て。いいでしょう?」答えかねる玲奈。
     3に続く

探偵の探偵 4

2015-08-21 21:29:24 | 日記
「刑事辞めたら、探偵にでもなるよ」冗談めかす窪塚だったが、探偵への考えを改めたようでもあった。出立前、窪塚は眠る娘の額にキスをして、車に乗り込んだ。
シェルターで、内部からしか開けられない裏口は既に開き、警報もスイッチが切られ鳴らなかったことを述べる職員。失踪時、女達を拐ったワンボックスカーは左向きで用意周到。逃げる女達は1度も振り返らなかった。「本人確認はできない」玲奈は逃げた女達は偽者で、本物の被害者はそれ以前に拐われたとみた。また一人、急病で休業した職員がいる! 失踪前夜、お粥のトラックが二時間以上止まっており、担当は急病の職員だった! トラックは保安の為、内容量を外部表示する仕様だが、トラックは最初水分99%、重量1000キロ。引き返す際、お粥の蒸発により水分が98%、重量は10キロ減っていた。「おかしい」米の割合が2%に増えたということは水が相当異常に蒸発しており、重量は500キロでなければならない。990キロは重過ぎる! 490キロは失踪した11人の体重に相当する! 急病職員とドライバーは、実際は潜んでいる急病職員を他の職員に探させている内に玲奈も食らった吸引麻酔を使い被害者達を連れ去ったのだった!
急病職員のフリーメールから発信元が栃木の那須町岩沢であることがわかった。池袋から車で3時間! 急病職員のPCを調べる玲奈。フリーメールのアカウントを共有し、下書きを保存することで個人アドレスに履歴を残さず連絡を取り合っていた。最新の『保存』は、『明朝5時より引き渡し会開催 マリコ』とあった。栃木に向かう前、玲奈は備品室で注射器に灯油? を詰め、窪塚は琴葉に電話で何か頼み、備品室ではポケットナイフを手に入れていた。
夜間に高速を飛ばす窪塚の車両はスピード違反で
     5に続く

探偵の探偵 5

2015-08-21 21:29:16 | 日記
パトカーに追われた。「どうする?」ライターに注射器で灯油? を詰め込みながら助手席の玲奈が聞くと「構わない、好都合だ」窪塚は現場まで連れてゆくつもりだった。「高速隊って一般道まで追ってくるの?」「当たり前だ。管轄は関係無いからな」何気にチートな高速隊! パトカーはスピードを落とし、窪塚達は降りきってしまった。「くっそ、諦めたか」窪塚は落胆していた。
早朝、秋子の父だったお粥車の運転手の運転するマイクロバスで那須町岩沢の引き渡し場所に来たDV加害者達! 腕を縛られ野放図達に引き立てられた被害者達と対面する! 怯える被害者達。様子を見る淀野、秋子、マリコ。「リン、久し振りだな、どおした?」リンと呼ばれた被害者に迫る背広の加害者。他の被害者も加害者に捕まっていた。「ねぇ! もっとやっちゃいなよッ!」煽る秋子! 多くは早速暴行を始めている。「あと1時間もすれば何人か死んでるかもねぇ?」マリコに気楽に言う秋子。玲奈と窪塚も遠巻きにその有り様を目撃した! 淀野以外は笑って見ている野放図達!「来ないで」「ふざけんよ、お前連れ戻すのにいくら使ったと思ってんだよ」升瀬も元妻に迫った。「それだって、あたしのお金」「はぁ? 聞こえない。」「あたしのお金!」「おおいぃっ」升瀬は元妻の髪を掴んだ!「いつからそんなに偉くなったんだよッ!」「ごめんなさい! ごめんなさい!」「生意気言ってんじゃねぇぞ?」升瀬は元妻を地面に打ち付けた。
「放っては置けない」突貫しようとする窪塚を止める玲奈。手立てが無い中、ヘリの飛行音が響いた! 警察ヘリだ!! 混乱する加害者達!「上空からの追尾に委ねたんだ」高速隊はスピード違反は絶対許さん主義!
「行こう」「うん」好機と見て、窪塚と玲奈は混乱する引き渡し現場に突入した!
警察手帳を升瀬に示す窪塚!「彼女を離せ」
     6に続く