羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

俺物語!! 1

2015-08-20 23:04:51 | 日記
「真実の希望と書いて、真希だ!」猛男は電話で大和に妹の名を知らせた。その名は真希ッ!! 4000グラム越えで生まれてきた健康優良児である。頭髪は逆立っていた。電話の後で猛男は真希にバレンタインデーの話をした。「もうすぐその日がくる!」「みっしょっ!」反応して力む真希!「うむッ!」なんとなく赤ん坊の妹と会話が成立する猛男だった。
「大和さん、どんなチョコくれるんだろうね」街頭でショップのチョコが気になる様子の猛男に砂川は言った。「くれると思うか?!」「くれるでしょ?」「ふぉおッ! 超楽しみだ!!」期待する猛男は路上で万歳して自分の鞄をすっ飛ばし、砂川が何度も拾いにゆかねばならなかった。猛男はバレンタインにチョコを貰ったことがなかったのだ!
女子達にも動きがあった。「凛子、チョコレートの作り方教えて!」大和の学校で短髪が大和に頼み込んでいた。バレンタインにアフロに渡したいが、菓子など作ったことも無いという。「あたしも猛男君に作るし!」大和は『猛男に作る』と明言した! 彼氏のいない他の暇な女子達を含め、13日に皆で大和家でチョコ菓子を作ることになった。
バレンタイン近いある日、大和の財布が軽かった為、「なんか飲んで喋ろ?」と猛男と砂川は付き合ってフードコートに向かった。中々男子には無い発想! こういう時、男子は本屋かCD屋で1回バラバラになるか、ゲーセンで50円ゲームで粘るか、学校で暇な友達のいる文化部の部室を冷やかしにゆくか、女子の体育部の部活を学術的に品評にゆくか、校庭の鉄棒で「俺、逆上がり連続でできる。マジで」とか言って本気で鉄棒して、翌日筋肉痛になったりするのが定番だよな。
「もうすぐバレンタインだから限定チョコいっぱいでてるよねぇ」大和がチョコのチラシを持ってきた。
     2に続く

俺物語!! 2

2015-08-20 23:04:43 | 日記
意外と高い限定チョコ!「2000円?! こんな一口で?」驚く猛男は(高くなくていい、失敗でもいいから、チョコレート待ってるからな、大和)と願うのだった。
さらに後日、アフロ以外の男子達は猛男にバレンタインデーに大和以外の女子達と一緒に遊べないかと頼んできた。毎年暇らしい。「猛男に頼り過ぎじゃない?」砂川が嗜めてきた。クリスマスも猛男は大和と二人きりでは過ごせてなかった。「俺はいいぞ、大和に聞いてみよう」アフロ以外の男子達には猛男から後光が差すように見えた!「ありがとうな、砂」「お人好し」砂川は呆れた。
2月13日、女子達は大和の家に集まって菓子を作り出した。立派なキッチン! 短髪は苦戦した。「ねぇ、これ、いつまで混ぜんの?」メレンゲでも作ろうとしているらしい。「ウチやろっか?」大和が代わろうとすると、「自分でやる。自分でやらないと、意味ないじゃん」照れながら言う短髪だった。同日? 猛男は真希を見ながら考えていた。(幼稚園の時、砂の自転車のカゴにチョコが入っててて)名無しのチョコだったが手紙は付いていて。『すなかわくんへ おかえしはいらないので、すきになってください』と書いてあった。(これが本命チョコかと思ったなぁ。今年のバレンタインデーは愛があるなぁ。お前も愛を与える側だな、妹よ)真希は無邪気に笑っていた。
そしてバレンタインデー当日! 登校すると、砂川の下駄箱からチョコがどっさり!「さすがだなぁ! お前さぁ、そういうのどうすんの?」ふと聞いてみる猛男。「名前があるヤツは、ホワイトデーにお返しして終わり」「終わり?!」「終わり」淡々としている砂川。教室の砂川の机には手紙付きのチョコが一つ入っていた。猛男は砂川が告白した女子達が自分の悪口を言っていたことを怒っていたことを思い出した。
放課後、
     3に続く

俺物語!! 3

2015-08-20 23:04:33 | 日記
猛男はアフロ以外の男子達と結局砂川も連れて、カフェで女子達と待ち合わせた。「これ、皆で作ってきたんだぁ」アフロとデートの短髪以外の女子を代表し、大和は小分けのチョコクッキーの入った大袋を取り出した。「はい、猛男君。はい、砂川君」順に配り出す大和!「待ったぁッ!」堪らず男子の一人が止めた!「一人が一人にくれるみたいな渡し方にしてくれない?」擬似的に本命チョコ感を味わいたいらしい。女子達がおずおずと提案通りにそれぞれチョコを渡すと男子達は大喜びだった。「超ありがとうっ!!」声を揃える男子達!「なんか作ってよかったね」戸惑いつつ、女子達も満更でもなかった。「旨いな」猛男はその場で食べてしまい。「猛男君、お店では食べちゃダメ!」と大和に軽く注意されていた。
クッキー配布後、中々本命チョコをくれる気配の無い大和! 猛男は動揺し、店のメニューのチョコ菓子やチョコが入ってるだろう大和の鞄に目がゆき、移動中の階段でのじゃんけん遊びでは「チ、ヨ、コ、レ、イ、ト!」を連発する猛男。ゲームセンターのクレーンゲームではチョコ菓子ばかり取る猛男! 1日そんな調子だったが、夜になって解散する段になっても大和がクッキーとは別に本命チョコをくれる気配はなかった。「あのさぁ、こんどからさぁ。猛男と大和さんいなくても、俺らだけで遊んだりしない?」言ってみる男子その1ッ!「いいよ」「いいよね?」「別に」「いいよぉ」女子達は了解した。会話と合意に砂川は含まれていない!「やったぜぇ!」ともかく喜びまくる男子達だった。(良かったじゃねぇか)見届けた猛男はここで押すことにした。「大和! 家まで送るぞっ」だが、「ウチ、ちょっと今日急いでて。お家、帰ってて!」大和は走って一人で帰ってしまった。
     4に続く

俺物語!! 4

2015-08-20 23:04:24 | 日記
茫然とする猛男は街灯に引っ掛かり、「そこ通れないから」電柱に登り、「帰り道そっちじゃないから」ただいまと自販機を横にズラして壁の中に入ろうとして、「そこ家じゃないから」と連続で砂川に突っ込まれていた。
(もしかして付き合ってると、わざわざあげたりしねぇもんなのか?)砂川に心配されて帰宅すると、母がどう見ても明治の板チョコを差し出した。「タケ、和泉さんのおばあちゃんが、バレンタインだからアンタにって、会ったらお礼言っときなよ」茫然としたまま明治の板チョコを受け取る猛男。(真希、お兄ちゃん本命チョコ貰えなかったぞ)眠る真希に報告する猛男。(ん? 待てよ?)クッキー貰ってすぐ食べたことを思い出す猛男!(貰ったぞ! 貰ってたぁ!!)「なぁああッ!!」畳に頭を打ち付ける猛男! 味あわず食べたことを後悔していた。「何騒いでんのっ? 真希が起きるだろ?!」母に怒られる猛男! 味を思い出した猛男はベランダに飛び出した!「うーまーいーっ!!!」叫ぶ猛男! 母に窓とカーテンを閉められてしまった。大和にちゃんと礼を言ってないことに気付く猛男! 眼下を見ると買い出しの帰りらしい砂川を見付けた。
「砂ぁ! 大和に限定チョコやりてぇんだ!!」どこから声を掛けられているのかわからず困惑する砂川。頭上に気付いた。「ああ、上か。いいけど、もう閉店してるし、明日」答えたが、途中で猛男は家に入ってしまった。うるさいと母に怒られつつ、猛男が家を飛び出すと、玄関のドアの前に大きな箱を持った大和がいた。固まる猛男。「はい、これ、バレンタインチョコ!」大きな箱を差し出す大和。砂川が上階に上がって来たが、状況を察して黙って素通りして行った。「チョコ、さっきくれたじゃねぇか?」「違うよあれは、皆用だよ! こっちは特別だから」笑顔を見せる大和。大和を見送り、
     5に続く

俺物語!! 5

2015-08-20 23:04:15 | 日記
箱を開けるとチョコレートというより多段チョコケーキだった。「すげぇーっ!!」感動する猛男。「頂きます」素手で食べ出す猛男。「うまーい! 甘い! 美味い! 甘い! 美味い!」猛男は大騒ぎして食べ、また母に怒られていた。
翌日、「師匠っ、はい! 義理チョコ」まりやもチョコをくれた。「おお、ありがとう」「砂川にもあげるよ」「どうも」「じゃ!」まりやは笑顔で去った。「気ぃ使って、当日じゃなくくれたんだろうね」「なるほど」「いい子だね」猛男は砂川は自分を嫌う女子を嫌って断って来たが、チョコをくれた女子の中にはそうではない女子もいるのではないかと思っていた。『砂川誠様 お返しはいらないので好きになって下さい』昨日、砂川の机に入っていたチョコに付いていた手紙は、幼稚園の時にくれた名無しのチョコに付いていた手紙と同じ文面だった。下駄箱の陰から、秘かに砂川の後ろ姿を見詰める眼鏡の女子の姿もあった。
・・・次は砂川回か、その前に猛男はずっと愛から本命チョコ貰い続けていたんだろうにね。言わないとな。しかし挙げ句に織田をあてがわれるのはどうなのかと、議論の余地があるところだぜ。