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HTS支部 時給制による不利益変更撤回求め裁判を提起

2015年11月26日 10時57分46秒 | 添乗員・旅行業界

(記者会見で訴える原告組合員)

新たな裁判闘争開始!
添乗員に不利益を強いる時給制撤廃!
阪急トラベルサポートは司法判断をねじ曲げるな!

「偽装みなし労働」撤廃を求める不払い残業代請求裁判の勝利から約2年、東部労組HTS支部は再び裁判闘争に突入することとなりました。11月25日、時給制の導入による労働条件不利益変更の撤廃などを求める不払い賃金請求裁判を東京地裁に提起したのです。

2014年1月、最高裁は「添乗業務については・・・『労働時間を算定し難いとき』に当たるとはいえないと解するのが相当」と判断し、添乗業務への「事業場外みなし労働」適用を否定し、これにより不払い残業代の支払いも確定しました。「偽装みなし労働」撤廃を求めて闘ってきたHTS支部の勝利でした。

参考 「偽装みなし労働」残業代請求裁判(労働審判異議訴訟) 最高裁で勝利判決!
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/072ea6b2417416923f8279dbefe6f729

最高裁が「事業場外みなし労働」についての判断を示したこの裁判については、「阪急トラベルサポート事件」として知られることとなりました。

この最高裁の判断をうけ、阪急トラベルサポートは2014年2月、「添乗員の勤務状況を把握し、労働時間の管理を行う」と表明しました。それ自体は当然の方針です。しかし会社は同時に、賃金体系の変更=時給制への移行を表明しました。これにつき組合は、それが労働条件の不利益変更=賃下げを伴うことが予想される以上、反対であるし、そもそも組合は時給制の導入を求めていない、として反対を表明してきましたが、会社は同年10月、時給制への移行を強行しました。

参考
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/c/f6f077e2913f9cdf847abac9fa0ec287

この時給制への移行は労働条件の不利益変更に他なりません。
前回の訴訟において裁判所は、従来の日当は8時間分の労働の対価であると判断しています。そうである以上、会社は8時間分の賃金は確保しつつ、8時間超の時間について残業代を支払わなければならないはずです。しかし会社は、各自の日当を13で割って時給を算出しています。これにより時給は千数百円代と、それ自体が低額になっていますし、司法判断によって示された「あるべき賃金」よりもさらに低額となっています。

また、時給制への移行により従来の賃金水準を維持するためには長い時間働くことが必要となります。そうすると、長時間労働の改善を労働者側からは要求しづらくなるのは明らかです。労働時間の短縮は収入の減少に直結するからです。長時間労働が続けば、添乗員の心身の健康に悪影響を及ぼすことは明らかです。
組合はこのような観点から、時給制の導入に反対してきました。

何より、会社のやり方は、司法によって示された正当に計算して支払うべき賃金・残業代の支払いを免れる目的で時給制への移行=賃金の切り下げを行ったものであり、最高裁の判断をねじ曲げ、添乗員に不利益を強いるものと言わざるを得ません。

会社は、組合の反対にもかかわらず時給制の運用を続けています。そこで組合は、HTS支部組合員2名(大島組合員・境組合員)を代表に、日当が8時間分の労働の対価であることを前提として、最高裁によって示された「あるべき賃金」との差額=未払い賃金の支払いを求める訴訟を11月25日、東京地裁に提起しました。請求額は付加金等も含め、原告2名で1000万円近くになります。
この訴訟は同時に、時給制への移行が労働条件の不利益変更であることを確認するためのものでもあります。

提訴前日の11月24日、組合は厚労省記者会にて会見を行いました。
原告代理人の松浪弁護士は訴訟の意義について訴え、会社のやり方を批判しました。原告である大島組合員・境組合員も「阪急トラベルサポート・業界は誠実に添乗員の待遇改善を行ってほしい」「添乗員は使い捨てではない。添乗員あってのツアーだ」と訴えました。

阪急トラベルサポートは時給制をただちに撤廃するべきです!
全国のみなさん、HTS支部の第二次裁判闘争に激励・ご支援をお願いいたします!


朝日新聞ウェブ版に記事が掲載されました。
http://www.asahi.com/articles/ASHCT54K7HCTULFA01P.html

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3 コメント

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時給制 (他社派遣添乗員)
2015-12-05 19:46:46
阪急トラベルサポートの皆様
新たな裁判闘争開始 頭が下がる思いで応援致します。
勇気ある皆様お姿を拝見し、他社所属の私も
何か出来ないか考えております。
比較的若者の多い客層の大手H旅行者も時間給になる様子です。 フリータイムの多いツアーが特色なこの会社が時間給? みなやるきが薄れますよね。
家に帰ることもできない待機時間は無給?
考えただけでもおかしいです。
日当を13時間で割る話も納得いきません。
8時間で割って下さいませ。
最大手のJさんは11時間 フリータイムのある日でも日当保障確約です。さすがと言わざる負えません。 一流の会社は従業員である私たちを人間として扱って下さっているようです。
これから時間給導入を考えていらっしゃっている旅行会社OR派遣会社?さんどちらが導入を決めたのでしょうか? 時間給導入ならば以前より給料が上がら負ければ 断固反対!  
返信する
厚生年金 (ななし)
2016-01-14 15:30:37
いまニュースで厚生年金をカバーしたくない企業が半数あって大問題になっています
中小でもない大きい会社側がそんなことを長きにわたって不正に近いことをしていながら私たちに権利を与えず、さらに時給を課すなんて。
旅行業界問題ではないですか。
小企業ではないですよ。
大手でいながらそのツアーを担っていく柱である添乗員に時給という結果を平気で課すとは。
厚生年金不正(これから始めるかもしれませんが)でもって時給制度も廃止すべきです。
会社はなにも痛くもかゆくない。
痛いのは私たち添乗だけ。
厚生年金どころか世に渡るツアーを新聞雑誌で広告していながら働く添乗員は時給でやってることをもっと世間に訴えるべきです。
返信する
収入が減りました。 (派遣添乗員)
2016-12-14 07:08:57
時給制度になってから収入が減りました。
飛行機に乗っている時間が無給なのが納得いきません。仕事はしていないとの事ですが業務を遂行するために拘束されているのです。
残業代が付いたところでフライト時間が無給では、トータル収入が少なくなりました。
フライト手当を出して欲しいです。
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