(写真:4月7日の品川労基署交渉)
「就業規則変更手続きに労基法違反」
品川労基署に申告
事業場外みなし労働(偽装みなし労働)を否定した今年1月の最高裁判決を逆手に取るように、阪急トラベルサポートは時給制への賃金体系移行を進め、10月1日からそれを実行しています。
■ 参考 HTS支部 第36回団体交渉
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/e637a69b98751ab99b3b5347c540c9c8
この時給制導入にあたり、会社は就業規則変更の手続きも進め、9月はじめ、労基署に対する就業規則変更届の要件である労働者代表の意見書作成に必要な労働者過半数代表選挙を告示しました。この選挙には東部労組HTS支部から大島組合員、そして第2組合である阪急トラベルサポート添乗員労働組合(サービス連合加盟)から1名、他1名(A氏)の合計3名が立候補しました。HTS支部大島組合員と第2組合候補者は「時給制反対」を掲げて支持を求めました。結果は、大島組合員19票、第2組合候補者109票、A氏122票となりました。会社はこの結果をうけ、上位得票者2名の連名での意見書を作成し、所轄の品川労基署に届け出、同労基署もこれを受理しました。
上記経過には問題が2点あります。
一つ目は第2組合の対応です。
就業規則の変更にあたっては労働者過半数代表の意見書を添付して労基署に届け出ることが必要です。意見書は「添付」だけが要件であって、どんな反対意見を意見書に書こうとも意見書が作成され、それが届け出られてしまうと変更が有効とされてしまうのです。つまり、就業規則の変更に反対であってその変更を阻止したいのであれば「意見書は書かない」というのが具体的な抵抗手段になるということです。
しかし第2組合候補者は、意見書を書いてしまいました。会社が変更を狙った就業規則には明確に「賃金は時給制とする」旨規定されています。添乗員に不利益を与える時給制に本当に反対であってその導入を阻止したいという趣旨で選挙運動を行い、その趣旨に賛同して109名の人が投票してくれているにもかかわらず、時給制導入を事実上後押ししてしまう、それは投票者に対する裏切りではないでしょうか。
第2組合は過去、偽装みなし労働を是としていますし、上部団体のサービス連合も厚労省に対し「みなし労働を認めろ」との要望書を業界団体との連名で提出しています。
■ 参考 労働組合サービス連合は、厚労省への要望書「みなし労働を認めろ」を撤回してください
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/f92f227e50645430c869bff5e00b238f
時給制導入阻止の土壇場になって、時給制導入を事実上後押しする挙に出た第2組合。過去の経過から考えると、本当に添乗員の生活・利益を考えているのか、疑念を抱かざるを得ません。東部労組HTS支部はこのような実質上の利敵行為に及んだ第2組合候補者と第2組合執行部に対し失望を感じるとともに、強く抗議するものです。
二つ目は、会社が行った労働者代表選出手続きの問題です。
意見書を作成できるのは、労働者の「過半数」を代表する者です。得票が有権者の過半数に達している人が「過半数代表」です。しかし、第2組合候補者・A氏の得票はいずれも過半数に達していません。通常であれば上位得票者2名で決戦投票が行われるべきところ、会社はそれをおこなわず、いずれも過半数得票に達していない2名を「労働者代表」として労基署に届け出ているのです。
組合はこれにつき10月20日、所轄の品川労働基準監督署に実態を報告するとともに、労基法90条違反で申告を行いました。
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第90条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
2 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
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品川労基署の監督官も、今回会社が行ったやり方につき、「それは認められない」旨明言しました。そして、「申告を受け、対応する」と述べました。
阪急トラベルサポートはただちに就業規則変更届を取り下げ、時給制導入を撤回すべきです!
企業だけが、得をして、労働者は泣き寝入り
労働者が、我慢するから、企業は、つけあがる。1人1人が、勇気を持って立ち上がらなければ、なしくずしになる。
それでいいはずはない。