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全国一般東京東部労働組合の記録

阪急交通社と阪急トラベルサポートが労基署の是正指導を拒否!第9回団交報告

2007年11月03日 18時39分40秒 | 添乗員・旅行業界


asahi.com:朝日新聞の速報ニュースサイト
http://www.asahi.com/life/update/1103/TKY200711020516.html

労基署の「偽装みなし労働」是正指導を拒否!
阪急は法律に従って添乗員への残業代を払え!

旅行添乗員には「みなし労働」は認められないとして残業代を支払うよう東京・三田労働基準監督署から勧告指導を受けていた阪急交通社とその子会社で添乗員派遣会社の阪急トラベルサポートが、みなし労働を今後も続行し残業代支払いを事実上拒否する回答を労基署にしていることがわかりました。

昨日(11月1日)に東京都内で開かれた私たち全国一般東京東部労組HTS支部と阪急トラベルサポートとの第9回団体交渉で会社側が明らかにしました。

労基署の是正指導に従わないというのは、不誠実を通り越した「暴挙」です。法律や行政そして世論に対する挑戦と言わざるをえません。これがコンプライアンス(法令順守)をうたう大企業のやり方なのか、と私たちは信じがたい思いでいっぱいです。

三田労基署の勧告指導は、私たちの申告にもとづいて10月1日に文書で阪急交通社と阪急トラベルサポートに出されました。添乗員がどれだけ働いても定額の「日当」しかもらえず、会社が1円も残業代を支払っていないことを労働基準法(37条)違反と断定したものです。

旅行業界が残業代不払いの根拠にあげてきた「事業場外みなし労働」(労基法38条の2)の適用については、会社は添乗員に対してアイテナリー(行程指示書)などを通して具体的な指揮命令があり、「添乗日報」などから労働時間の把握は可能だとして、「認めない」ときっぱりと結論を下しました。

また、飛行機やバスなどに乗っている時間も添乗員はマニュアルなどで業務指示されていることから労働時間と認定したうえで、1日8時間・週40時間を超える労働には「日当」を8時間で割った額に法定の割増率をかけた残業代の支払いを勧告しました。

是正の期日は10月25日でした。阪急両社に労基署が出した勧告指導の内容は、このブログ記事をご覧ください。
(http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/8bcacd2f8fa07ca78e9e371d9c30636a)

昨日の団交での阪急トラベルサポート(上田・東京支店長)の話によると、会社側は10月25日に三田労基署を訪れ、是正指導の内容に反論し「事業場外みなし労働は今後も適用していきます」と回答したといいます。

会社側が労基署に出した回答(抜粋)は以下の通りです。

****************************************

アイテナリーは交通手段の手配会社からの予約確認書であり、各手配会社によって内容も大きく異なりますし、これの記載は予定であって、旅行先での変更もあり得ることから、これによって添乗員の現実の労働時間を把握することはできません。また、運行指示書も事前に行き先を大まかに指示するものであり、旅行先での予定の変更もあることから、これによる労働時間の把握も困難です。添乗日報についても旅行客向けの日程表記載の日程・内容が予定通りに進行したかを報告・確認する目的で作成されているものですから、添乗員の労働時間を示すものではありません。したがってアイテナリー、乗務員・添乗員運行指示書、添乗日報があることで添乗員の労働時間が把握できるわけではありません。

旅程管理の点についていえば、飛行機やバスといった移動手段に乗ってしまえば、派遣添乗員が運転をするわけではありませんので、あとは状況を見守るしかなく、添乗員の行動によって遅れを取り戻すことができる場合は多くありませんし、もし旅程が遅れた場合に添乗員が遅れを取り戻すべく働いた場合であっても、どれだけの時間がかかったのか、会社では把握することができません。またサービス内容変更の際の手続き等は海外旅行では現地ガイドが行うこともあり、必ずしも添乗員が行うわけではありません。さらに各手続きに要する時間はそれぞれの事情によって大きく異なることから、会社として労働時間を把握することは困難です。

たしかにマニュアルには航空機の場合、到着までに原則3回は全員の席におもむくことなどの記載がなされているのですが、実際にはマニュアル通りには運用されていないことがほとんどであり、また仮に作業をマニュアル通りに行っていたとしても、その作業に要する時間は個別の事情によって異なってきますので、やはり会社として労働時間の把握は困難です。

(略)

派遣先事業所(阪急交通社)からも労働時間の把握は困難である旨の連絡を受けております。

したがって会社としては派遣添乗員の労働については時間把握が困難であることから事業場外みなし労働時間制の適用を受ける要件は満たしているものと考えております。

****************************************

いずれも的外れなものであり、添乗員の労働実態を意図的にわい曲したものです。結論ありきの「偽装みなし労働」です。

アイテナリーや運行指示書に従って旅程(旅行に関する計画)を管理・遂行するのが添乗員の仕事ではないのでしょうか。それを会社は添乗日報で報告させ、確認しているのではないのでしょうか。具体的な業務指揮が及んでいること、労働時間の把握が可能であることは火を見るより明らかです。

飛行機やバスに乗っている時間は「派遣添乗員が運転するわけではありませんので」という理由で、労働時間かどうかわからない、その把握が困難であると言っていますが、こんな馬鹿げた話はありません。添乗員が飛行機を操縦しないと労働時間と認められないというのでしょうか。それでは客室乗務員はどうなるのでしょうか。

自分たちで作ったマニュアルを勝手に「運用されていないことがほとんど」と決めつけている点は論外です。添乗員は交通機関に乗っている間も一挙手一投足にいたるまで事細かく指示・命令されていると労基署は指摘し、みなし労働の要件を欠いていると言っているのです。

阪急トラベルサポートは「みなし続行」とする一方で、未払い残業代については「不足額があれば支払う所存です」と労基署に回答しているそうです。みなし労働、つまり残業代も「日当」に含まれていると主張しているのなら矛盾したことになります。行政や労働組合の追及から逃れることだけを考えた単なるゴマカシでしかありません。

実際、昨日の団交でも会社側はみなし労働を撤回することはなく、残業代の「不足額」の計算方法や対象となる労働時間について明解な考えを明らかにすることはありませんでした。労基署が勧告し、労基法で定めているとおりの残業代支払いを事実上拒否していると受け止めざるをえません。

なぜ、労基署から違法と断定された「みなし労働」の適用にそこまで会社は固執するのでしょうか。残業代を払わないまま添乗員に長時間のただ働きを強いることだけが理由です。そのためには法律も行政も無視して構わないと考えているのです。

これは阪急だけの問題ではありません。むしろ旅行業界全体の意思を反映しています。今年2月に日本旅行業協会(JATA)、日本添乗サービス協会(TCSA)、サービス連合の3者が厚生労働省に「みなし労働を認めろ」と要請していたことと、今回の阪急の対応はぴったり重なります。

全国に1万人以上いるすべての添乗員の未来がかかっています。私たちHTS支部は、今回の会社回答を認めません。

会社側は11月5日にも就業規則を労基署に提出する意向です。私たちは拙速な手続きをとらず、組合とよく話し合うよう求めました。

もし「みなし労働」を盛り込んだ就業規則を、労働基準法第2条「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」に違反して、就業規則の労使間の協議もないまま、一方的に強行するなら大変なことになると通告しました。

また、各支店の「労働者代表」が全添乗員や労組の意見も聞かず、勝手に「意見書」を提出することや36協定にサインすることにも絶対反対します。

みなし労働と残業代、就業規則以外に団交で話し合われたことは有給休暇と雇用保険の2点です。「添乗員に有給休暇を付与する」と会社は回答しました。ただ、どのように取得させるかは今後検討するとのことで全く不透明なままです。雇用保険については「要件を満たす組合員を雇用保険に加入させる」と確認することができました。

すべての添乗員のみなさん!法律や労基署の勧告にも従わず、添乗員の地位をおとしめようとする旅行業界に対して今こそ団結して声をあげていきましょう。

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35 コメント

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私も (岩井のやまのい)
2007-11-02 13:53:01
私は直接、旅行業に関わっている立場ではありませんが、国内旅行業務取扱主任者所持者として。第三者的な書き方になりますが、私も労基署から出された内容について真摯に受け入れるべきです。単純に業務として労働者を拘束しているのだからその対価を出すのは当然だと思います。私の勘違いかもしれませんが、レイバーネット日本のサイトで似たようなニュースを見た気がしますが。絶対に受け入れるようねばりずよく進展があるよう祈念いたします。
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サービス連合のせいだ (Unknown)
2007-11-02 19:55:07
労働組合のくせに裏切ったサービス連合のせいだ
この結果にどう責任をとるつもりか
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驚きです (HTS添乗員)
2007-11-02 20:08:15
ビックリする様な内容。ただただ呆れるばかりです。

先日から急にツアー打ち合わせ時に提出するモーニングコール書類に派遣契約書の添付とサイン、捺印を求められるようになりました。契約書にははっきりと労働は8時から20時と明記されています。これも後々の残業代申請を減らす為の布石なのかなと感じていました。

急なフライトキャンセルによる様々な手配とケア、通常通りの業務においても、事務とサービスを同時にいくらこなしても、反対にアンケートで「航空会社の遅れは添乗員の確認ミス」などとトンチンカンなお叱りをもらっているくらい。労働時間を管理できない? どれだけ皆頑張って無理な予定をこなしていると思っているのでしょうか? 時間を過ぎましたので今日の観光はここで終了します、と添乗員が言ったら…? それをしても良いと言う意味にならないのでしょうか?

会社がそんな事を堂々と言ってしまうなら、私はもう20時以降は一切働きません!と言っても何の問題もないと思います。 労働時間の管理が出来ないと言うなら、添乗員は部屋番号を毎晩伝える意味はなんなのでしょうか? 

利用され続ける事に本当に疲れました。あきれ果ててガッカリです。こんなおかしな事がまかり通っていいはずがありません。負けずに頑張りましょう!!!
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今こそ怒ろう (添乗員)
2007-11-02 20:18:59
今こそ怒る時です
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堪忍袋の緒が切れた (添乗員)
2007-11-02 20:24:32
絶対絶対許さない
JATA・TCSA・サービス連合
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厚生労働省に逆らった阪急 (大阪旅行社員)
2007-11-02 20:32:57
厚生労働省の青木労働基準局長の国会答弁に泥を塗った阪急!

三田労基署に大恥をかかせた阪急交通社!

全国の添乗員のうらみの的となった阪急!

経営者の名前を調べて子々孫々に伝える、君たちの悪逆非道を!

恥を知れ!
阪急!

返信する
詭弁 (o.m.)
2007-11-02 21:02:22
現場で働く人間には阪急トラベルサポートが言っていることは、苦し紛れの、ただの詭弁だということが一目瞭然です。
油に火を注いだ! 私達はますます燃え上がりますよ!

私達の仕事は、予定どおり進行することが稀です。10人10色、30人30色のPAXを抱え、最終アイテナリーを受け取ってからの変更も、不測の事態に於いても、全てマニュアルと
PAX向け日程表に基づいて調整しながら旅程を運行するので大変な仕事なのだと思います。

飽くまでも"みなし労働時間”を言い張るのなら、始めから1日15時間働くと"みなし”旅行中の予定変更及び不測の事態はつきものと"みなし”て日当を設定するのが"みなし労働時間”ではないでしょうか。
主催会社は、不測の事態が多い事を承知しているからこそ、添乗員派遣会社に"みなし労働時間”を主張させているのだと思います。
パリでも、日本でも派遣会社が乱立する以前から"みなし労働時間”があったのですから今回も主催会社阪急がトラサポ東京支店長に言わせているのだと思います。

これまでの日当に変更がないのなら、主催会社は添乗員の労働時間一日8時間の行程表を作成し、飛行機の中では遠慮なく眠り、観光バスの中でも、眠るなり好きな本を読むなり、マイクを持つ必要無し。病気のお客様が出たらお客様自身が主催会社に電話し、直接指示を仰いでいただき、予定便がキャンセルになったらお客様各自に変更手続き宿の交渉を行ってもらう。天候、ストライキ等による予定変更は原則として航空会社は何の補償もしませんから個人交渉では新たな航空代金、ホテルも食事も全て自己負担の可能性大ですから、一般の海外旅行者傷害保険では免責事項の、天候 ストライキ 戦争等の理由による旅程変更に関わる、航空券ホテル食事、移動費用、現地係員費用までカバーできる特約が付いている海外旅行者傷害保険にお客様の加入を義務付ける。添乗員無しのツアーのお客様はこの特約を付ける方が増えました。
会社としての対応が必要で有れば,不測の事態が起きたら添乗員さんが主催会社に報告し主催会社が現地手配会社に助っ人を依頼する。
これは、ボイコットではありません。

ノーマルなツアー料金でば不測の事態も主催会社の責任において行われていることを、格安ツアーではこれら全てを添乗員に行わせています。

私達フランス現地係員は、飛行機 列車の遅延に対してだけは超勤手当てが出ます。昔、先輩達が「飛行機遅れています。超勤手当て払われますか?払われないのであれば、このまま書類を事務所に持ち帰りますので、仕事の当日キャンセルという事でこのサービスの賃金だけはお支払いください。」
ボイコットではありません。私達も添乗員さんと同じアイテナリーに基づいての業務です、私達にとって業務終了予定時間は書かれていなくても、到着時間だけは明記されているので、アイテナリーと違えば当然主張出来る事だと思います。
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国家行政に逆らう阪急の思い上がり (大阪)
2007-11-02 21:59:54
三田労働義旬監督署是正勧告内容
「当該業務に従事する労働者については、事業場外みなし労働時間制の対象とは認められません。」

青木豊厚生労働省労働基準局長国会答弁内容
「事業場外みなし労働時間制の適用はないという旨を既に通達等でも示しているところでございます。」

官僚の天下りが多い旅行業界は厚生労働省など自分のいいなりになると思っているに違いありません。
連中のこの胸糞の悪くなる思い上がり。

労基署は粛々と逮捕すべきです。
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ドロボウ逮捕に賛成 (クラツー)
2007-11-02 22:18:54
逮捕してください。先輩たちが何百人過労で死んでいったと思っているのか。同僚が何百人倒れたと思っているのか。添乗員が何千人うつ病になったというのか。女性添乗員が何万人セクハラにあったというのか。どうして他人に怒鳴られてガマンしなくてはならないのか。
私の金(時間外割り増し賃金)を何百万円もドロボウしておいてテメエだけぬけぬけと贅沢な生活するんじゃねー。全添乗員から何十億円とドロボウしておいていけしゃーしゃーと能書き言えるな。
金返せ!謝ってかえせ!添乗員全員に人の金返せ!やめた人間にも耳揃えて金返せ!
ほんとに腹立つ。どうしてくれようか。
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これは酷い!! (ひばり)
2007-11-02 22:26:08
阪急交通社って、テレビ・ラジオに広告打ってますよね。

その会社に連絡します。

お上に逆らったら、行政指導あるのみ。

金融機関からの融資等も止まります。
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