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全国一般東京東部労働組合の記録

11/19 東京東部労組メトロコマース支部 非正規差別なくせ裁判控訴審結審報告

2018年11月20日 12時25分13秒 | 東京メトロ売店

写真=裁判後の報告集会で結集した仲間ととも団結ガンバローするメトロコマース支部(2018年11月19日)

11/19 東京東部労組メトロコマース支部 非正規差別なくせ裁判控訴審結審報告
判決日は来年2/20 東京高裁の裁判官は非正規労働者への差別を許すな!

東京メトロ駅売店の非正規労働者でつくる全国一般東京東部労組メトロコマース支部が、正社員との賃金差別をなくすために起こした裁判の控訴審が11月19日の東京高裁で結審し、来年2月20日(水)午後3時に東京高裁812号法廷で判決が言い渡されることが決まりました。

判決までの約3カ月間、同支部と東部労組は東京高裁の裁判官に対して、東京地裁の裁判官と同じように非正規差別を容認して全国2000万人の非正規労働者からの怨嗟の的になるのか、それとも差別を許さない正義を示して歴史に評価されるのかを迫る闘いを続ける決意です。すべての労働者のよってたかっての決起を呼びかけます。

この日の裁判行動には、前段のアピール行動、裁判傍聴、裁判後の参議院議員会館での報告集会に計130人が集まりました。

アピール行動では、この間、全国から送っていただいた高裁宛の署名を東部労組の菅野委員長と同支部の後呂委員長が代表して裁判所に提出しました。JAL解雇撤回争議団、全労ユナイテッド闘争団、総合サポートユニオンのジャパンビバレッジ争議当該、京成労組の民主主義を守る会、国労千葉地本、全国一般全国協、郵政ユニオン、ユニオンネットお互いさま(みずま雪絵葛飾区議)から連帯の発言をいただきました。また、報告集会では山添拓参院議員とジャーナリストで和光大教授の竹信三恵子さんからも激励の発言を受けました。

結審を迎えた法廷では、組合側弁護団を代表して井上幸夫弁護士が、今年6月に出た労働契約法20条の最高裁判決に照らしても、メトロコマースによる賃金差別は認められないことを意見陳述しました。その後、原告団の支部組合員4人が順番に意見陳述しました。いずれも聞く者の魂にふれる内容で、陳述後には満席の法廷から拍手が起きました。

組合員4人の意見陳述は以下の通りです(実際の陳述したものとは表現等で若干異なっています)。

(1)瀬沼京子さん
 私が最後に言いたいことは、本当にお金が必要な時に受けた理不尽な差別です。同じ職場で働く者がけがや病気をした時に、正社員の場合は有給の休職期間が2年6カ月も認められます。しかし、私たちは無給のまま4カ月休んだらクビです。
 私が骨折で4カ月休んだ年は、手取り10万しか出ないボーナスが6割しか出ませんでした。入院などで一番お金が出る時に、給料が出ないうえに、ボーナスまで半分近く減らされました。病気して休んだのが悪いということです。踏んだり蹴ったりで、まるで懲罰のような扱いだと思いました。
 団交でもこの時、せめてボーナスぐらいちゃんと出してほしいと要求しましたが、正社員も同じように減額するのだからと、聞き入れてもらえませんでした。正社員と契約Bはボーナスの金額も月の給料も、またその他の扱いも全く違うのに、規則がそうだからと要求を拒否されました。
 同じ職場で同じ仕事をしているのに、非正規というだけでなぜここまで差別されなければならないのか、まったく納得がいきません。
 就業規則でそうだから仕方がないと会社側は言います。
 有期雇用とはいえ何年も更新して、10年以上も働いているベテランの契約社員が4カ月でクビ。長年、売店での仕事に誇りを持ち、責任を持って働き続けた社員を退職金もなく、慰労金も一切出さず、ご苦労様のひと言もなく、追い出すように退職に追い込む会社のやり方には本当に自尊心を傷つけられました。
 地裁は、さまざまな差別の実態をまったく見てくれませんでした。
 いつまで待てば私たち非正規のまっとうな思いが受け入れられるのでしょうか。
 就業規則がそうなっているからと、それだけしか説明のできないような、理由なきこういう差別を一日も早く撤廃していただきたく、陳述いたします。
 裁判長をはじめ、司法の皆様方の心ある公正な判決を望みます。

(2)加納一美さん
 私は10年間の間に多い時には年に5~6回代務をやるように指示されてやっておりました。他の契約社員もそうです。
 代務の連絡を受けたら、その売店に出向きカギの開け方、シャッターの扱い方、商品入荷の時間、ゴミの置き場所などなど事前に聞きに行きます。それから指示された売店には入ります。
 代務をやるのが当たり前のように指示されました。
 定年を迎えるにあたり会社から封筒が渡され、その中に「退職願い」という一枚の紙切れが入っておりました。私は退職金が一円も出ないので継続雇用を訴えておりましたので「退職願い」は提出しませんでした。
 その後、会社から内容証明付きの封筒が自宅に届き、必ず書いて出すようにとの文面が書いてあり、私はとうとう退職に追い込まれました。
 一生懸命、会社の一員として笑顔を絶やさず会社の顔として働いてきたのになぜこのような差別を受けなければならないのでしょうか。
 納得がいきません。
 差別是正のための公正な判決をお願いします。

(3)疋田節子さん
 私たち原告が加入する労働組合は会社との団体交渉で「同じ仕事をしているのだから同じ待遇を」と要求しておりました。ある時、会社側は団体交渉の席で「そんなに金がほしいのならダブルワークでもしたらいい」と言いました。
 早番・遅番の仕事を一週ずつ繰り返すシフトで正社員よりも労働時間の長い契約Bにダブルワークができるわけがありません。他方で会社は正社員の兼業を禁止しています。このような団体交渉での会社役員の発言は決して忘れられない非道な言葉でした。
 契約Bは65歳で定年退職となり継続雇用の制度はありませんでした。私は定年の65歳以降も働かなければ生活は成り立たないので継続雇用を求めました。全国各地からたくさんの支援を受け粘り強く座り込みや交渉をした結果、契約Bにも定年後に登録社員という形で継続雇用される制度を勝ちとりました。
 私は登録社員として今年3月まで週2日、4月からは週1日働いていますが、1日4時間で月1万6000円にしかなりません。これだけの収入では到底生活できないので残りの日は他の会社で働いています。休みはありません。定年後の3年半の間、突発性難聴になり、1時間の点滴を10日間受け続けました。その後、ぼうこう炎になりました。昨年12月にはインフルエンザにかかり5日間外出禁止、定年後初めての休息でしたが、5日分の収入はゼロ。体重は5キロ減りました。
 今年3月28日早朝、妹から母の訃報が届きました。その時、ハッと気づいたのです。3日前の25日は92歳の誕生日だったこと。疲れ果て思考能力さえなくなり、母の誕生日すら気づかなかった情けない気持ちと申し訳ない気持ちが入り乱れ号泣しました。
 同じ仕事をしていた正社員には退職金が支給され、毎年の賞与で貯金もできたでしょう。同じように退職金があれば賞与が支給されていれば無理して働くこともなく身体をこわすこともありませんでした。また母の誕生日を祝うこともできたでしょう。
 入社時は3形態の雇用があるとさえ知らされず、社内組合加入申し入れも排除されました。私はメトロコマース売店員として10年7カ月一生懸命働きました。しかし、全て同じ仕事をする正社員と差別され、全人格を否定され続けました。この差別は定年後も私たちに「死ぬまで働け」との叫びがずっとつきまとっています。私たち底辺で働く労働者の目の前の現実、実態を見据えて判断してください。

(4)後呂良子さん
 地下鉄の駅の売店内はとても狭いです。私物は空いたダンボール箱の中に入れています。私の給料明細が正社員さんのバッグの中に落ちてしまって、そのまま持っていかれたことがあります。次の日に返してもらいましたが、給料明細は開封されていました。そして、「悪いけど見ちゃったよ。少ないね」と言われました。その時の給料は3カ月分の定期代がついていたので、いつもより多く16万円の支給でした。
 同じ売店で同じ仕事をしていても、労働時間は私たち契約社員Bは1週40時間、正社員は1週39時間10分で、私たちの方が長いのです。「給料少ないね」と言った正社員さんの顔を忘れることはありません。
 正社員は定年退職しても希望すれば少なくとも1年間は全員が雇用されます。定年後、1年目の税金を払うのが大変だろうという配慮からです。契約社員Bは3カ月、6カ月の更新を経て今は1年更新となっていますが、更新の時にはいつも雇い止めの不安があり、おかしいと思うことがあっても言えないのが現状です。契約社員Bはみんな更新を繰り返して65歳定年まで働いています。実質的には無期雇用と同じなのです。それなのに賃金は少なく、賞与は契約社員を導入した平成8年からずっと上がっていません。高裁の裁判で会社側から出された正社員のモデル賃金表を見ると55歳で入社しても60歳で入社しても初年度の年収は320万円で、4年目には全員が昇格しています。65歳定年時の年収は362万円で、勤続13年目の私の昨年の年収よりも114万円も多く、勤続10年間で1140万円の差になります。
 私たち契約社員は何年働いても退職金は1円も出ず、今のままだと退職となった時にはダブルワーク、トリプルワークをして身体を痛めながら死ぬまで働き続けていくしかないのです。まじめに働いても働いても報われない不公正な待遇に歯止めをかけられるのは司法の力しかありません。私たちはだからこそ控訴しました。この判決には全国に2000万人以上もいる非正規労働者の生活と尊厳がかかっています。私たちはあきらめるわけにはいかないのです。命続く限り、改善を求めていくしかありません。
 川神裁判長、松田裁判官、森裁判官。
 私たち非正規労働者が納得できる判決を、少しでも希望を持って働ける判決を、私たちは全国各地の支援の皆様と共に非正規差別撤廃の声を上げ、運動を広げながら、判決を待つことといたします。

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