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(1・2陣原告組合員と支援の仲間。9月29日判決後、東京地裁前で)
「付加金(ペナルティ)・遅延損害金逃れ」の巧妙なやり方
原告6名は受け取りを拒否しました
9月29日、東京地裁村田裁判官は、私たち東部労組HTS支部の原告6名が提訴していた裁判につき、被告阪急トラベルサポートに対し、不払い残業代の支払いを命じながらも「偽装みなし労働」を容認するという不当判決を下しました。
(詳細はhttp://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/7e7392ff0868619fe0b27f15356a4f11)
これに対しHTS支部各原告・弁護団は、控訴して争う決意を固めました。
しかし会社は判決直後、組合側弁護団に「未払い残業代を支払う」と通知してきたのです。組合が求めているのは「偽装みなし労働」の撤廃です。従って、「偽装みなし労働」を容認した不当判決、その結果としての「未払い残業代」を受け取るわけにはいきません。
組合原告は弁護団を通じ、会社側に受け取り拒否を通知しました。しかし会社はこれに対し、原告各人に「ご通知」と題する書面を送り、「貴殿らの代理人からは受領を拒否されましたので・・・貴殿の銀行口座宛・・・振り込む」と一方的に通知してきたのです。そして実際に、各原告に会社から「未払い残業代」と「遅延損害金」が振り込まれました。
未払い賃金請求裁判の判決では、未払い賃金そのものに加え、「遅延損害金」=「払うべきものを支払っていなかったことに対するペナルティ」として、在職者であれば年6%の支払いが命じられるのが通常です。
今回の判決でも、過去2年を超える分についての不払い残業代と、それについての遅延損害金6%の支払いが命じられており、遅延損害金の額はかなりのものになっています。そしてこの遅延損害金は、会社が支払いをしなければそれだけ増えていくのです。
つまり、会社は、この「遅延損害金」をこれ以上払いたくないために、一方的に「支払い」をしてきた、と考えられるのです。
また、会社が「支払う」としてきた金額の中に、裁判所が支払いを命じた未払い残業代と同額の「付加金」(ペナルティ)はありませんでした。
「使用者が事実審の口頭弁論終結までに未払金の支払いをすれば、付加金の支払い義務を免れ、裁判所は付加金支払い命令を発することができない」という最高裁判所の判例があります。つまり、今回の裁判の控訴審の口頭弁論が終わるまでに会社が未払い残業代の支払いを行えば、付加金支払い義務は消滅する、というものです。会社はこれを根拠に、付加金の支払い義務を免れるため、「支払い」をしてきたものと考えられます。
一方で、第3陣および労働審判異議訴訟判決での支払い命令に対しては、会社は従っていません。第3陣の判決での不払い残業代は付加金含め112万円余り、異議訴訟では付加金含め24万円余り。それに比べ、今回の判決では付加金含め2200万円余り。付加金・遅延損害金だけでも莫大な金額になります。
その意味で、今回の会社のやり方は、「付加金(ペナルティ)・遅延損害金逃れ」の巧妙なやり方と言えるのではないでしょうか。
このようなやり方を組合・原告は認めることはできません。会社に対しては改めて受け取り拒否の意思を表明するとともに、会社に対して「未払い残業代」の返送先を明らかにするよう求めます。それが知らされるまで、「未払い残業代」は組合側弁護団管理の口座にて凍結します。
一方で今回の会社の対応は、「『みなし労働』の適用があるとしても、未払い残業代は存在する」ということを会社自身が認めた、ということになるのです。
だとすれば、HTS支部原告に対し「未払い残業代」を「支払う」のであれば、同じ期間に仕事をしていた添乗員に対し、同じように「未払い残業代」を会社は支払うべきではないでしょうか。
HTS支部原告は、10月12日付で東京高裁に控訴しました。「偽装みなし労働」について、今後高裁で争っていきます。
阪急トラベルサポートは所属全添乗員に「未払い残業代」を支払え!
全く、悪いことをしている意識がないばかりか、自分達の正当性のみ主張することを更にエスカレートさせている。この自信は何処から来るのでしょうか?私は他の添乗員さん達の協力がもっと必要だと思います。怒れ!!!です。
私たちの安全は、労働条件の悪い中でも守られてきたけど、賃金のカットまで許せません。
ひとり添乗も大変ですね。控訴で大いに戦うべし。