新年明けましておめでとうございます。
全国一般東京東部労組の書記次長で、NPO法人労働相談センタースタッフの須田光照です。このブログで取り上げているコナカ支部やHTS支部を担当しています。すかいらーくなどの過労死・過労障害の問題も担当しています。
昨年末から対応に追われたのは、マスコミにも大きく取り上げられた「内定切り」でした。「100年に1度」という経済危機の影響で、「派遣切り」とともに4月からの採用内定を取り消された大学生や専門学校生からの相談が相次ぎました。
日本綜合地所が53人の内定を取り消した問題では、一部の学生が私たち東部労組に加入し団体交渉で会社の責任を追及しています(現在も話し合いは続行中)。「時間を返してほしい」「人生を狂わされた」「きちんと謝罪してほしい」……団交では会社側に学生たちが次々と怒りの声をあげました。
そこで考えたことがあります。多くの学生が泣き寝入りしている現実についてです。同じく内定を取り消され、一度は組合に加入しながらも「やっぱりやめます」とあきらめた学生もいます。こうした学生と、団交や記者会見で堂々と声をあげた学生とはいったい何がちがうのでしょうか。
人間をモノのように切り捨てる企業のやり方に怒りを持っているのは同じです。将来への不安を抱いているのも同じです。ちがうのは、本人の怒りを支え、励まし、ともに「たたかう」人が回りにいるかどうかではないでしょうか。
大学の教授から「労働組合に入って企業にたてつくような学生には今後の就職活動の世話をしない」と言われて泣く泣くあきらめた学生もいます。その一方で親や友人たちに応援されて立ち上がった学生がいます。
学生だけではありません。働く人にとって自分の社長に何かを要求するには不安がつきまといます。それが法律で定められた当たり前の権利であってもです。「自己責任」の風潮が強い中ではなおさらです。
人が立ち上がるためには、怒りや辛さを分かち合える仲間が必要です。声をあげても守られる仕組みが必要です。
だから、まず私たちは相談者に「あなたは、間違ってない」と語りかけるのです。あなたの悩みや苦しみは、あなただけのものではありません。そして、このブログを見てもらいます。このブログには労働組合という仕組みを使って声をあげている仲間がたくさん登場します。敢然とたたかっている仲間がたくさん登場します。彼ら彼女らはブログを通してまだ見ぬ仲間に呼びかけているのです。「泣き寝入りせず、いっしょにたたかおう」と。
今年も私たちは1人でも多くの人が労働組合で団結し声をあげてほしいと心から願っています。ともにたたかいましょう!
目次は以下の通りです。
●「金融危機と派遣切り ―派遣政策の抜本的転換を」
今野晴貴(POSSE)
●「内定取り消しで泣かない方法」
川村遼平(POSSE)
―特集1 『蟹工船』ブームの先へ―
■対談「ナショナリズムが答えなのか ~承認と暴力のポリティクス~」
高橋哲哉(東京大学教授)×萱野稔人(津田塾大学准教授)
■「プロレタリア文学の「手紙」が世界に舞う」
楜沢健(文芸批評家)
■「「現代の蟹工船」から脱出するために」
雨宮処凛(作家)×土屋トカチ(映画監督)
■「国会議員に聞く!『蟹工船』ブームの真実」
小池晃(日本共産党参議院議員)/亀井亜紀子(国民新党参議院議員)
■「若者と『蟹工船』のリアリティ ~ブームを普遍性にするには~」
『POSSE』編集部
―特集2 名ばかり管理職/労働組合―
■「偽装管理職問題の周辺 ―正社員を追いつめる構造と労働側の戦略―」
熊沢誠(甲南大学名誉教授)
■「名ばかり管理職」の法律的問題
棗一郎(弁護士)
■過労死つくる「名ばかり管理職」「名ばかり労組」
須田光照(NPO法人労働相談センター)
■「「名ばかり管理職」と非正規労働者 ―マクドナルドとSHOP99の現場から―」
梁英聖(フリーライター)
■「記録をつけて、職場を変える~日本マクドナルドユニオンと『しごとダイアリー』~」
『POSSE』編集部
■「08年POSSE「若者の仕事アンケート調査」結果 ~やりがいと違法状態の狭間で~」
今野晴貴(POSSE)
■「POSSE調査の意義と課題」
本田由紀(東京大学准教授)
■「労働と思想2 グローバル資本主義と不自由賃労働 ―マリア・ミースに寄せて」
足立眞理子(お茶の水女子大学准教授)
定価850円。雑誌に関する関する問い合わせはNPO法人POSSE雑誌編集部(電話090-4157-3868)まで。
そうですね、それぞれの「思い込み」をいい意味で裏切るようなたたかいをつくっていきたいものです。
浅尾さんと、浅尾さんが編集長をつとめる雑誌『ロスジェネ』がますます前進されることを願っています。
今年もよろしくお願いします。
同時に、僕は、それぞれの人間観・社会観が大きく影響を与えているとも感じます。
東部労組のたたかいが、従来の、「人間なんてこんなものだよ」「たたかいなんてそんなものだよ」という思い込みを乗り越えていくことを期待します。
今年もよろしくお願いします。