宮中では、大晦日には1年の穢れを祓う儀式が執り行われる
■午後2時 節折(よおり)
内廷庁舎表拝謁ノ間で行われ、天皇の心体のお祓いをする行事
昔の宮中の普段着にあたる小直衣(このうし)を身につけた天皇が出御し、御服地に息を3度吹き掛け、次に御麻(みぬさ・榊)で自らの体を清める
さらに細長い竹で侍従が天皇の体の各部位を測り、それに合わせて竹を折り、御壺に天皇が息を3度吹き込む
以上を2回繰り返す。30分程で終了する
■午後3時 大祓
宮中三殿の神嘉殿前庭で、皇族をはじめ国民の心身をお祓いする行事。皇族代表や宮内省職員などが列席
掌典が大祓の詞を読み上げ、次に大麻(榊に麻と稲穂を結びつけたもの)で皇族代表を祓い、次に参列者一同を祓う
大晦日から1月3日にかけて、侍医による朝、夜の診察は中止される。宮中祭祀に備えて身を清めている天皇の身体に触れることは医者といえどもできないからだ。明日早暁の四方拝に備えて天皇皇后は早めに御寝室に入る
午前0時になると賢所では
火打ち石で清らかな火が灯され、新年を迎える儀式が始まる。夜が明ければ天皇の「人間宣言」を掲載した新聞が、空襲の傷が癒えない街に配られてゆくだろう。GHQは事実上禁止していた日章旗を元旦、3日、5日、に限り掲揚しても差し支えない旨の通知を出していたので、全国各地で久々に日章旗が翻ることだろう
来る年がどのようなものになるか、誰もわからない。今年以上に厳しい日々が待っているかもしれない。しかし今はあれこれと悩むのをやめて、瞳を閉じよう。天皇はしばしの間夢路を辿る
完